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交通事故外傷と後遺障害


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頭部外傷 傷病名と後遺障害

 

17外傷性てんかん

(1)病態
頭部外傷後に、てんかん発作を発症したとしても、必ずしも、それを外傷性てんかんと断定することは不可能です。 一般的には下記の条件を満たすものを外傷性てんかんと説明しています。
先天性のてんかんは、症候性てんかんと説明されます。

‘部外傷以前に、てんかん発作を発症したことがない、
頭部外傷以外に、てんかん発作を発症する要素がないこと、
F蓋内にてんかんを起こすような脳腫瘍などの病変等が認められないこと、
て部外傷により脳が損傷を起こした医学的根拠があること、
テ部外傷後、最初のてんかん発作まで長期間を経過していないこと、

長期間に定説はありませんが、一般的に閉鎖的外傷で5年以内、開放性外傷では10年以内とされています。
頭部外傷後のてんかんの初期発作は、約75%が1年以内となっています。




開放性脳損傷は、閉鎖性脳損傷に比較すれば外傷性てんかんの発生頻度が著しく高く、陥没骨折後の発作頻度は、約30%となっています。

(2)診断
実際に被害者の方々が訴えている症状と照らし合わせた脳損傷の程度と、CT、脳波、MRIなどの所見、外傷を受けてから初めての発作までの期間等を、総合的に診断します。

特に、外傷以外で、てんかんを起こすような疾患、髄膜腫・星細胞腫・乏突起膠腫等の腫瘍、くも膜下血腫・脳内出血などの出血の除外が重要となります。

(3)治療と後遺障害
てんかん発作を起こす確率の高い症例に対しては、予防的に抗てんかん薬の投与を行います。てんかんが発症した場合にも、適切な種類の抗てんかん薬および、適切量を投与すれば、ほとんどすべての症例に対してコントロールが可能です。

コラム 私の経験則?

この事故は平成7年3月に大阪の郊外で発生しました。 被害者は39歳の男性です。
4トントラックの荷台から運転席後部のはしごを伝って道路に降りる際、通りかかった2トントラックに跳ね上げられ、頭部から路面に落下しました。
加害者は後日に出頭しましたが、事故現場から逃走、いわゆるひき逃げ事故でした。
傷病名は、脳挫傷・急性硬膜下血腫・頭蓋骨陥没骨折で、搬送先の病院でただちに開頭の上、骨片・血腫の除去、硬膜修復術を受けました。
2ヵ月後に頭蓋骨形成術を行う極めつけの重篤でしたが、順調に回復し平成7年6月には退院にこぎつけました。

通院で左半身不全麻痺の猛烈なリハビリ訓練中の平成7年10月に、最初のてんかん発作を発症したのです。
意識喪失・尿失禁を伴う大発作です。
この直後から大阪大学医学部付属病院脳神経外科に転院、再入院となりました。
病院では脳神経外科と神経内科が共同で治療に当りましたが、この被害者は症状固定の平成11年5月までの5年間にわたって苦しみ続けました。

外傷性てんかんは、脳挫傷・頭蓋骨陥没骨折後の後遺障害として代表的なものです。
上記の傷病により脳の実質部についた瘢痕は、手術による摘出以外にこれを消すことはできません。 
この瘢痕部から発せられる異常な信号に、周りの正常な脳神経細胞が付和雷同して大騒ぎをしている状態を外傷性てんかんと呼びます。

発作を繰り返しますと、周辺の正常な脳神経細胞も傷つき、性格変化や知能低下の精神障害を来します。 
高度になると痴呆・人格崩壊に至り大変深刻なものです。
このように恐ろしい傷害なのですが、治療の方法は発作を抑える抗痙攣剤の内服を続ける以外にありません。 抗痙攣剤は代表的なデパケンRをはじめとしてフェニトイン、カルバマゼピンなどがあります。 
これらの内服を続けながら、脳波検査にて、てんかんを示すスパイク波・鋭波の消失を待つのです。 
抗痙攣剤を内服中の女性は妊娠を避ける必要があるのです。

先の被害者に戻ります。 私が彼を担当したのは平成10年12月です。すでに事故から4年が経過していました。 保険屋さんは例によって休業損害の内払いを停止し、打ち切り攻勢です。
治療は、労災保険の適用を受けておりましたので、私は労災保険の特別支給金の申請を急ぎました。 
12月中の支給は間に合いませんでしたが、翌年の1月の末に振込みがなされました。
特別支給金は、給与の20%に相当する金額です。 
保険屋さんから休業損害の内払いを受けていても申請すれば支払われます。 労災保険独自の恩典なのです。
しかし請求は2年で時効が成立するのです。
この被害者は平成9、10年分は支給を受けたのですが、平成7、8年分は時効成立により棒に振ってしまったのです。 金額にして168万円です。
入院直後に病院で、「治療を労災保険の扱いにしてほしい!」と懇願したのは保険屋さんです。
その手続きを担当したのは保険屋さんから依頼を受けたリサーチ会社です。
「知らなかった?」と言えば、それまでのことですが大変やるせなくなりました。
もう一つあります。 治療費は初診の病院が労災保険の扱い、大阪大学医学部付属病院が健康保険の扱い、大阪大学医学部付属病院が指定した被害者の自宅近くの治療先はなんと自由診療の扱いです。 
どうしてなのか?「転勤による担当者間の引き継ぎがうまく機能しなかった?」保険屋さんの言いわけです。
払わなくてもいい治療費を120万円も支払って、その後に20%の過失相殺を押し付けてきたのです。 
怒る気力も萎えてしまったのを、はっきりと覚えています。
拒否したことは言うまでもありません。
このような「泥縄」の保険屋さんを相手に平成11年5月、症状固定としました。
この時点で被害者も弁護士に依頼し後遺障害部分について、被害者請求の委任請求を実施したのです。 
等級認定までに5ヵ月を要しましたが結果 は2級3号が認められました。
自賠責保険で2590万円を受領したのです。

この傷病の被害者の家族が気をつけなければならないのは、発作の回数にこだわるだけでなく、性格変化・人格低下について日常生活で十分なチェックをすることです。
性格変化・人格低下は日常生活の中でよほど注意をしていないと見落としてしまうものなのです。
私は仕事で「小学校2年生程度の知能・情緒」と診断された、被害者の対応を何度も経験しておりますが、難しい政治や経済も普通に話し、どこから見てもごく普通の一般人です。
何かの決断に迫られたときに大きな段落に落ち込むとのことですが、わかりやすく表現すれば何から何まで小学校2年生ではないのです。

先の被害者は受傷から症状固定までに5年を要しました。
てんかん発作を多発しておりましたので、やむを得ないと判断されます。
これほどの外傷性てんかんを経験したのは30年間でたったの1回だけですが、発作に至らないものはそれこそ無数に経験しています。
一般的に外傷性てんかんの症状固定は遅れがちであるとの印象を強く持っています。
特に子どもさんの交通事故では、8年間のフォローも珍しくありません。

しかし等級認定基準を理解すれば、賠償上の打ち切りは、もう少し早く持っていくのがポイントです。
つまり抗痙攣剤の内服は積極的な治療ではないのです。
1ヵ月に1回程度の脳波検査と抗痙攣剤の内服を8年も続けて脳波が安定すれば評価は0になるのです。
交通事故そのものは、加害者の不注意を原因として発生するものが大半です。
しかしこうむった被害の回復は、被害者自身の力で勝ち取っていくものです。
加害者や保険屋さんの対応に憤っているだけでは、何も前に進みはしないのです。
私の持論ですが、ここのところは大変重要な示唆を含んでいるのです。

先の被害者は平成13年5月、示談金9000万円で円満解決となりました。
自賠分と併せて1億1590万円となりました。

これ以外に労災からは月額30万円の障害年金が支給されており、これは一生涯続きます。
今後も治療を継続していくのですが、それは労災保険が負担してくれます。
てんかん発作の爆弾を抱え、就労のめどは全く立ってはおりませんが、家族4人が生活できる基盤だけは確保できました。


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