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交通事故外傷と後遺障害


脾臓・片腎の喪失 

脾臓・片腎の喪失  8 級 11 号

 

( 1 )判例傾向

骨盤骨の奇形  12 級 5 号

期間・地裁名

S53-5-28 岐阜地裁多治見〜 H13-9-26 東京地裁八王子

訴えの件数

22 件

認・否

認 21 件、否 1 件、

労働能力喪失率

5 〜 79 %、最多は 20 %で 14 件、

喪失期間

全件 67 才までのフル期間を認める

8 級 11 号が認定されたものが 11 件、併合 7 級が 8 件、
併合 6 級が 1 件、併合 5 級が 2 件です。
逓減法は 2 件で、いずれも公務員です。

否定されたものは、 75 才女性で無職、生活保護を受給しており、
あまり参考になりません。
上記の判例には、治療による C 型肝炎と慢性肝炎のケースが含まれています。

さて、 8 級に対する自賠責保険の評価は、
慰謝料 317 万円、逸失利益 502 万円 合計 819 万円です。

事故当初は、家族も周囲も大騒ぎとなりますが、時間の経過とともに、
意外に被害者が元気を取り戻すものですから、示談の時点では
その重大さを忘れてしまっている傾向です。

この状況で 819 万円が提示されるのですから、多くの被害者が納得して捺印しています。
保険屋さんの術中にスッポリはまりこんだ状況です。

現在までに 22 件の訴えがなされています。
逸失利益については全て 67 才迄の就労可能年数のフル期間を認めています。

でも問題があります。
8 級の労働能力喪失率は 45 %ですが、裁判で 45 %以上の
喪失率が認められたのは 5 件に過ぎません。

残りの 11 件については、 15 %が 4 件、 20 %が 2 件、
25 %が 4 件、 40 %が 1 件、となっています。

つまり、担当弁護士が被害者の支障について、
「心証形成を失敗した?」
「十分でなかった?」 これらを 理由にしています。
この観点で判例をチェックします。

東京地裁 H9-12-24 判決
脾臓と片側の腎臓を摘出した 18 才の高校生に対して、
22 〜 67 才までの 45 年間について 45 %の喪失率を認め 4319 万円の
逸失利益を認めています。 

腎臓は、左右1対の4分の1程度になっても人間の生命、
健康の維持に必要な機能は最小限保たれ、
従って1つを失っても生命や健康上何らの問題もない!

脾臓は、生命の維持に不可欠な臓器ではなく、
これを失なっても他の臓器がその機能を代行し特別の支障はない!
失った被害者が聞けば、気絶しそうな保険屋さんの主張です。

京都地裁 H12-8-17 判決
右腎臓が無機能腎となった 25 才男子アルバイトに対して、
労働に対する支障等が一切不明であるが、
腎機能の負担増加や健康への配慮を控えめに考慮して、
67 才まで賃金センサス全年令平均をベースに 15 %の喪失率を認め、
逸失利益として 2090 万円の支払を認めています。

テイタラクな弁護士の立証を見越しての稀な判決ですが、
喪失率は 15 %に押さえ込まれています。
45 %で 4319 万円、 15 %で 2090 万円?
これが担当した弁護士の能力の差です。
2 次被害ではないのか!やるせなくなります。

脾臓はソラマメのような形をした臓器です。 リンパ性の器官で血液をろ過し、
古くなった赤血球を破壊して肝臓に移しています。リンパ球はここで作られており、
抗体を作って免疫付与の役割をみたしています。

脾臓を摘出しても、肝臓や他の臓器が補完の役目を果たします。
従って一般的には、人体に著しい影響がないものと考えられているのです。

しかし長期的な観点に立つと血液に変性を生じ、
敗血症の可能性を否定は出来ません。
これらを原因とする易疲労性は深刻であり、
職業によっては大きな支障が認められるのです。

腎臓は背中側の腰の高さにある一対の臓器です。
血液中の老廃物をろ過し、尿を作る体の排水処理場です。

拳よりもやや大きめで 130 gの重さがあり、
脾臓と同じくソラマメの形をしています。

余談ですが、腎臓には心臓が送り出す血液の 4 分の 1 が送り込まれ、
糸球体でろ過します。

ほぼドラム缶一本 180ml の原尿をろ過し続け、
1 日に 1.5 リットルの尿を排泄するのです。

後遺障害等級は、脾臓及び 1 側の腎臓を失ったものは、
それぞれ 8 級 11 号です。

両方を喪失した場合、併合で 6 級が認定されるのではなく、
その程度が、軽易な労務にしか服せない状態であれば 7 級相当、
その程度に達しないものは、 8 級相当が認定されます。

( 2 )地裁、保険屋さんの比較

地裁、任意保険支払基準の比較

損害項目

地裁基準

任意基準

後遺障害慰謝料

830 万円

400 万円

喪失率

20 %

逸失利益を否定

喪失期間

67 才までフル期間

自賠内

( 3 )シミュレーション

37 才男子会社員、喪失率 14 %、喪失期間 12 年が認められた場合、

後遺障害慰謝料

830 万円

逸失利益

544 万 5700 円× 0.2 × 12.462 = 1357 万円

合計

2187 万円

保険屋さん

自賠内

544 万 5700 円は男性・産業計・年令別平均賃金( H14 賃金センサス)、 12.462 は 20 年に対応するライプニッツ係数、

訴訟で獲得できた損害賠償額は 2187 万円ですが、
この内の 819 万円は自賠責保険に対する被害者請求で先行取得しています。 
2187 − 819 万円= 1368 万円、裁判所が弁護士に認める報酬は
10 %の 136 万円ですから、訴訟対応が可能と思われます。

交通事故 110 番では、将来にわたる支障について、
学位論文による立証を展開しています。

被害者自身の日常の支障を医学論文で補強し、
心証形成をバックアップしています。


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