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交通事故外傷と後遺障害


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6労災給付Q&A

労災保険
 

6労災給付Q&A

 

Q1 温泉療養やマッサージも労災保険に請求ができますか?

A可能ですが、これは自賠責・任意保険と同じ考え方です。
温泉療養とは、医師の指導監督のもとに温泉を利用した療養施設で治療を受けることで、北陸辺りの温泉に浸かってくつろぐことではありません。 後者は温泉保養と説明します。

現在の治療先の医師の指示が必要で、温泉病院に入院して治療を受けます。
独断で温泉療養を行った場合、労災保険からの給付はなされません。
これを知ってしまうと、行きたくなくなるから不思議です。

次に、マッサージについては、医師の同意が必要とされています。
これは、マッサージ治療によって治療効果が期待できることを医師が認めた場合に限って給付が行われると理解しておかなければなりません。

近年、整形外科医は、厚生労働省の方針で治療単価が押えられており、西洋医学の医師と柔道整復師、東洋医学の
鍼灸、マッサージは同じマーケットで熾烈な競争関係にあります。
簡単に考えて医師に許可を求めても、常識的には許可されることはありません。

 

Q2 夫の交通事故受傷で妻が付き添ったが、付添看護料の請求はできますか?

A労災保険の看護料が認められる支給要件は、
傷病の状態が重篤であって、絶対安静を必要とし、常時医師または看護婦の監視と随時適切な処置を講ずることを必要としているとき、

傷病の状態は必ずしも重篤ではないが、 手術などによって比較的長時間にわたり常時医師または看護婦の監視と随時適切な処置を講ずる必要が認められるとき、

傷病労働者の病状から判断して、常態として体位変換または床上起座が禁止されている、または不可能な状態であるとき、

傷病労働者の病状から判断して食事、用便ともに自由を弁じ得ないため、常態として介助が必要であると認められるときと決められています。

例によって、お役所の文章ですから、「弁じ得ない、」「常態として、」 理解困難な文字の羅列が続いていますが、基準看護病院以外で、先の4つの支給要件に該当すれば 支払がなされます。
しかし、厚生労働省の基準看護を取得していない治療先を探し出すことが奇跡に近いのです。 
ほとんど支給されることはないと理解すべきです。
看護費用の範囲ですが、看護料、受付手数料、紹介手数料、看護担当者の往復旅費、食事代、寝具料の一切の費用が認められます。

 
Q 個室の差額ベッド料は請求ができますか?

A 室料差額の支給要件です。
医師が医学上、他の患者から隔離しなければ適切な診療ができないと認めたとき、
傷病の状態から隔離しなければ他の患者の療養を著しく妨げると認められるとき、
傷病労働者が入院する病院の普通室が満床で、かつ緊急に入院療養を必要とするとき、
上記の要件を満たしていれば、差額ベッド料の支給はなされます。
被害者の希望によって個室や上級室に入室したときは、当たり前ですが、差額は被害者負担となります。

 

Q4 治癒とは、どんな状態を言うのですか?

A通常、治癒とは、治療の必要がなくなったことです。
では、労災保険ではどうなのか、S23-1-13基災発第3号では、
負傷にあっては創面の治癒したとき、
疾病にあっては急性症状が消退し、慢性症状に持続しても医療効果を期待し得ない状態となったときなどであって、これらの結果として残された欠損、機能障害、神経症状などは廃失として障害補償の対象となると解説しています。つまり、医師が症状固定であり、治療の効果が得られないと認定した日となります。 
理屈はその通りとなりますが、症状を訴えて通院してくる限り、主治医も症状固定とは言いません。 
傷病には精神作用が伴いますから、被害者によっては治療が長期化することも考えられます。 
そこで、労災保険はその目安を受傷から1年6ヵ月後と定めています。
これは、脊髄損傷や高次脳機能障害であってもそのように取り扱っています。

後遺障害は、傷病名ごとに等級のハードルが設定されています。
例えば高次脳機能障害では1、2、3、5、7、9級の6つのハードルが設定されているのです。
被害者の自然治癒力が働いて、このハードルを飛び越えたときは、等級は薄められ、損害賠償額は大幅に減額されることになります。
後遺障害等級は症状固定時の所見で決定がなされているのです。
その後の回復は、被害者の努力によるもので、改善がなされても等級に変更はありません。
当然、獲得した損害賠償金を返還する必要もありませんし、請求もなされません。

このことを、フローレンス・ジョイナーはハードルを飛び越えて金メダルを獲得しましたが、被害者は後遺障害等級のハードルを超えてはならないと分かりやすく説明しているのです。

顔面の醜状痕は、5儖幣紊寮状痕で7級12号、3儖幣紊12級12号の2つのハードルが設定されています。

7級は1051万円、12級は224万円、これは自賠責保険の評価です。
では、4.9僂蓮5儖焚爾12級です。
2.9僂蓮3儖焚爾波鶻催、0評価です。
ご承知と思いますが、キズは日時の経過で少しずつ縮まるのです。
5僂2僂暴未泙襪海箸呂△蠅泙擦鵑、4.5僂砲呂覆襪里任后
3僂眈辰┐討覆なることは絶対にありませんが、2.5僂砲呂覆襪里任后
1051万円が224万円に、224万円が0円になって動じない被害者はいません。
「1个笋掘△泙韻董◆廖Nliro調査事務所の爺さんには、そんな冗談は一切通じないのです。

右足関節部の骨折で、動きが悪くなりました。

この場合、左足と比較して、全く動かなければ8級7号、2分の1以下であれば10級11号、4分の3以下であれば12級7号となり、3つのハードルが設定されています。
8級は819万円、10級は461万円、12級は224万円、自賠責保険の評価です。
この場合でも、2分の1+1°は12級、4分の3+1°は非該当で、0評価です。
時間が経過すれば、自然治癒力が働きます。
大きな改善は得られませんが、4分の3+1°は充分あり得るのです。
では、どうしたらいいのか、受傷後6ヵ月を経過したら症状固定として、後遺障害診断を受けるのです。
胃癌で胃の全摘術を受けても、心臓移植であっても、6ヵ月もすれば、皆さん、社会復帰しておられます。
交通事故に限って、治療が長期化するなんて、そんなことは通常、あり得ないのです。

男女交際でも、お金儲けでも、タイミングがあるのです。
タイミングを逃して、ハードルを跳び越し後遺障害が非該当では、泣くに泣けない大失態で、交通事故110番で勉強している被害者に限って、あってはなりません。

 

Q 転職前の疾病が、転職後に悪化したときは?

A先に治癒について説明をいたしました。

労災保険の治癒とは、負傷にあっては、創面が癒着して、その症状が安定し医療効果がもはや期待できなくなった状態、疾病にあっては急性症状が消退し、慢性症状は持続していても、その症状が安定し医療効果がこれ以上期待し得ない状態になったときと規定されています。
つまり、労災保険の治癒の概念は傷病の全治を意味しているのではありません。
これは保険屋さん、裁判所だって、同じ考えです。
今回は再発を問題にしています。
一旦、治癒と認定されても、その後の自然的経過の中で再発するケースが予想されます。
私の担当する被害者は1976年に右股関節脱臼骨折で人工骨頭置換術を受けました。
その後、1994年に再置換術を受け、2003年6月に再々置換術を予定しており、現在入院中です。
再発が、労災事故を原因としたものと医学的に認められ、さらに、療養によって症状が改善する見込みがある場合は、制度上これを再発とし、治癒と同時に消滅した災害補償法上の権利義務を再び発生させる法律効果を持たせています。
先の件も、これが再発と認められるときは、転職前の事業所で支給されていた平均賃金で休業給付が支給され、転職前の会社の労災保険で処理がなされるのです。

治療の結果、前の治癒時の状態にまで回復しないケースは、残存障害について改めて障害等級の認定を申請することになります。

 

Q 外国の医療機関で治療を受けたが、労災保険に請求できるでしょうか?

A 労災保険の治療費の給付には、療養の給付と療養の費用の給付の2つがあります。
労災病院や労災保険指定病院で療養を受けることが困難な場合は、「療養の費用の給付」の書式で申請を行うこととなります。
つまり、療養に要する費用を被害者が負担し、後にその費用を労災保険に請求します。
仕切っているのは、労基署ですから、「療養補償給付たる療養の費用請求書」 この書式に外国の医師の証明を取り付けて請求することになります。
これに代わる請求書となれば、
傷病の部位および傷病名
傷病の経過の概要
療養期間と診療実日数
療養の内容および金額、 
上記の4つの項目について証明を受けなければなりません。

言うまでもないことですが、ブードゥ教の呪術で治療を受けても、支払われることはありません。

 

Q 労災保険の休業給付は、休業4日目から支給される?

A労災保険法14条は、「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため、労働することができないことで賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。」と規定しています。

第4日目と60%の支払は、自賠責保険や任意保険の休業損害支払基準とは異なるポイントです。
もっとも60%は、休業特別支給金として20%が支給されるので、実際は80%が支給されることになります。

自賠責保険、任意保険では受傷当日から100%を休業損害として認めています。
支払は、被害者の過失割合が関係するので、必ずしも100%分が確実に履行される訳ではありません。 
労災保険では3日間の休業給付については事業主がその補償を実行するように求めていますが、交通事故受傷では、被害者過失が70%以上でない限り、この損害は自賠責保険から補填がなされます。

 

Q 年2回のボーナスは、賃金総額に含まれるのか?

A 労災保険は給付基礎日額を元に保険給付額を積算します。
給付基礎日額=事故前3ヵ月間の賃金総額÷3ヵ月間の暦日数で求めます。
自賠責保険、任意保険は、事故前3ヵ月間の賃金総額÷90日で休業損害の日額を決定しています。
暦日数か、一律で90日なのかの違いはありますが、基本的には同じ考え方です。
この給付基礎日額と休業損害日額には、いずれもボーナスの部分を含んでいません。
労災保険では、ボーナス部分を特別給与として、自賠や任意保険では賞与減額証明書に基づいて、別途に支給されています。

さて、給付基礎日額には最低額が設定されています。
これは都道府県ごと、職種ごとにきめ細かく決められています。
京都では時給677円となっています。
この金額は職種ごとの最低賃金を平均化したもので、8時間労働ですから、これを8倍した5336円が最低賃金の日額と理解することができます。
なお、自賠責保険は家事従事者の休業損害の日額を5700円としています。
いずれも、この水準に満たない給付基礎日額は5336円に、休業損害日額は5700円に引上げられています。

 
Q 会社で20%を負担しても、休業補償給付を労災保険に請求できるか?

Aさて、交通事故110番の労災制度の説明をしておきます。
交通事故110番では、小粒ながらも、社会保険制度を完備しています。

ショボイ規模ですから、事業所の負担はかなりなボデーブローとなっていますが、ご相談の被害者の皆様に健康保険や労災保険の適用を説明している以上、実は、未加入ですとなると、格好がつきません。 
さらに、労保連労働災害共済に加入しており、仲間が労災事故で休業したときには、労災保険に上乗せの給付金が支給されます。
労災保険は休業補償給付として給付基礎日額の60%を、労働福祉事業の一環として休業特別支給金が20%支給されており、休業すれば80%が労災保険から支給されるのですが、交通事故110番では、共済から、さらに20%が上乗せ支給されるのです。
これにより仲間は、100%の休業給付が補償されているのです。

大企業では、会社の制度として上乗せを実施しているところがあります。
労災保険では、60%未満の賃金支給であれば、労災保険としての支給制限はありません。
例えば、40%を会社が上乗せ支給している場合、労働者は労災保険から80%を受領しますから、現実的には120%の支給を受けていることになります。

健康保険でも傷病手当金の請求が可能です。 この場合は、3分の2、66.66%が支給されるのですが、会社から補助がなされたときは、その分はカットされます。 これが労災保険との大きな違いです。
どうして、健康保険法58条では、「疾病に罹り、負傷しまたは分娩したる場合において、報酬の全部 または一部を受ける者に対してこれを受けることができる期間について傷病手当金または出産手当金を支給しない。
ただし、その受けることができる報酬の額が傷病手当金または出産手当金の額より小さいときは、その差額を支給する。」 と規定されているからです。

 

Q 労災保険の支給制限について?

A労災保険法12条の2第1項は、「労働者が故意に負傷、疾病、障害もしくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。」と規定しています。
さらに、2項では、「労働者が故意の犯罪行為もしくは重大な過失により、または正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害もしくは死亡もしくはこれらの原因となった事故を生じさせ、または負傷、疾病、もしくは障害の程度を増進させ、もしくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部または、一部を行わないことができる。」と追加的に規定しており、これを支給制限規定と言います。

具体的な制限の範囲は、休業補償給付、障害補償給付または障害給付であり、支給制限は保険給付の都度、給付額の30%とされています。

なにが、支給制限に該当するのでしょうか?

事故発生の直接の原因となった行為が、労働基準法、鉱山保安法、道路交通法等の法令上の危険防止に関する規定で罰則の付されているものに違反すると認められる場合とされています。
私の解釈では、交通事故では重過失がこれに該当します。
重過失とは飲酒運転、無免許運転、信号無視、踏み切りの警報機の無視、無謀運転等により交通事故が発生した場合、過労状態で居眠り運転をし、結果として信号無視で交通事故となったときも、これに該当します。

 

Q 頚部に疼痛があっても14級?

A労災保険法施行規則14条1項は、「対象となる身体障害の等級は障害等級表に定められたところによる。」と規定しています。障害等級表の仕組みは、先ず、労働能力の喪失程度に応じて障害の等級を1〜14級の14段階に区分し、その中で138種の類型的な身体障害を当てはめています。

人間の身体を解剖学的な観点から10の部位に分類し、次に機能面を重視した35種の系列、例えば眼であれば、視力の障害、眼球の運動障害、調節機能の障害、視野の障害の4種に分類しています。 
それぞれの障害は労働能力の喪失度合いに応じて一定の順序で配列され、これを障害の序列と言います。

さて、頚部に疼痛では、「神経系統の機能または精神」「奇形」「醜状」「機能」の系列から選択することになります。 本件の場合は疼痛とされていますから、奇形、醜状には該当しません。
頚部の運動可能領域が一定以下に制限されていれば、機能障害に該当しますが、この場合は、圧迫骨折や固定術の器質的損傷が立証されることが必要です。

つまり、さしたる医学的所見が認められない状況で、頚部の運動可能領域の制限を訴えても、それが今後、生涯にわたって続くとは到底考えられないからです。

一方、神経系統の機能または精神の障害については、脳・脊髄の中枢神経系と末梢神経系に分けて等級が決定されます。本件の疼痛が受傷部位の疼痛に止まるものであれば、労働には通常差し支えがないが、ときには、強度の疼痛のためある程度差し支える場合があるものとして12級12号、労働には差し支えがないが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すものとして14級9号?の選択となります。 
さらに、12級は、他覚的に神経系統の障害が証明されるもので、14級は、12級よりも軽度のものが該当するものであると解説されています。
12級の上位には9級が存在しますが、通常の労働を行うことはできるが、就労可能な職種が相当程度に制限されるものであり、私は、タクシーの運転手が、事故受傷後タクシーを運転できなくなった状況と理解しています。

疼痛や痺れが残存し、しばしば欠勤する状況であっても、他覚的に神経系統の障害が立証されないもの、つまり、XPやMRI上、顕著な変性が証明されず、神経学的所見に異常を示していなければ、就労可能な職種が相当程度に制限されるものとはなりません。
この状況が生涯、継続するとは考えられないところから、14級が認定されたと理解しなければなりません。

 

Q 障害補償年金額の変更?

A労災保険給付の内、休業補償給付と障害補償給付は被災労働者の賃金を基礎とした給付基礎日額によって決められています。
休業補償給付、障害補償年金は、その性質から長期間にわたって継続的に行われますので、この間に賃金水準や物価の変動が当然に予想されます。
そこで、休業補償給付と障害補償年金、遺族補償年金、傷病補償年金等の年金給付については、スライド制が採用されています。
年金給付のスライド方法ですが、厚生労働省では、全産業の労働者1人当りの平均給与額を毎月勤労統計で発表しているのですが、この統計による平均給与額が6%を超えて上下するに至った場合には、上下した割合に応じて翌年の8月1日から支給される年金についてスライドが実施されます。

例えば、後遺障害等級が6級の被害者が給付基礎日額5000円であった場合、障害補償年金は、5000円×156日分=624000円です。仮にスライド率が11%の場合、5000円×156日分×1.11=865800円となるのです。 
年金給付は年4回に分けて支払がなされています。
2〜4月分は5月、5〜7月分は8月、8〜10月分は11月、11〜1月分は2月にそれぞれ支給されています。

 

Q 障害補償給付の時効?

A労災保険法42条は、「療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、療養給付、休業給付、葬祭給付を受ける権利は2年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付、遺族給付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効により消滅する。」と規定しています。
時効の起算点は、休業補償給付と休業給付については、休業の日ごとにその翌日から2年、障害補償給付と障害給付については、傷病の治った日の翌日から5年、遺族補償給付と遺族給付は被害者が死亡した日の翌日から5年となっています。
それぞれの保険給付については、時効期間内に請求をしなければ、保険給付を受ける権利は消滅します。 
この点、シッカリと理解しておくことです。

私の保険調査員時代の失敗例です。
被害者の治療費について、健康保険の適用をするようにとの保険屋さんの依頼でした。
ご本人は重傷ですから、ご家族と面談し、事故当時が業務中であることを知りました。
この場合は労災保険の業務災害の適用となります。
書式を作成し、勤務先の捺印と被害者の捺印を受け、労働基準監督署に提出、治療先にも様式第5号の用紙を提出し、初診からの適用をお願いし、了承を得ました。

それから3年経過して、今度は医療調査、治療の打ち切りと示談の依頼です。
被害者は、この間も外傷性てんかんの治療を継続していました。
被害者の同席で医師面談を行い、後遺障害等級の詳細を説明、症状固定について、被害者の同意を得ました。
ところが、後遺障害診断を受けている最中に、休業損害の支払が一方的に打ち切られたのです。
すでに治療費を含む既払い額が2500万円を超え、内払いは役員決裁となっていたのですが、「これ以上の内払い稟議を役員に上げることは、担当者の立場を危うくさせる。」サラリーマンの保身、査定担当者の決断です。
依頼により、治療の打ち切りを完了し、後遺障害診断を進めている私は、2階に登って梯子を外されたのです。

本件は当初、労災保険の適用としております。
休業損害の全額は保険屋さんから受領していたのですが、労災には休業特別支給金の請求が可能です。 
これは休業損害額の20%となります。
早速、勤務先で書類を取り付け、労働基準監督署に請求しました。
請求したのは3年と2か月分ですが、振り込まれたのは、2年分でした。
請求日から遡及が出来たのは2年間に過ぎません。
つまり時効が完成していたのです。
小さな会社では、労災担当者が配置されておらず、「どうしたらいいか、まるで分らない?」 
種々の請求が放置されているケースが大半です。
せっかくの請求も、時効消滅であれば、復元の方法がありません。
この点、被害者、被害者の家族は、くれぐれも注意しなければなりません。

 

Q内縁と戸籍、遺族補償給付の受給権者は誰に?
タクシー運転手の鈴木さんが、業務中の交通事故受傷で亡くなりました。
鈴木さんには、死亡当時一緒に暮らしていた内縁の妻と、その間に生まれた小学校2年生の女の子がおります。 
さらに、10年程前に別居はしていますが、戸籍上は妻と18歳を超える2人の子供がいます。 
別居後は、妻子とは音信不通の状態です。
本件の場合、遺族補償給付の受給権者は誰になるのでしょうか?

A労災保険法16条の2では、「年金の受給資格者は労働者の配偶者・子・父母・孫・祖父母であって労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していたもの。」と規定されています。
一方、遺族補償一時金については、労災保険法16条の7で、「労働者の死亡当時、年金を受け取ることができる遺族がいないとき、」と決められています。

これを先の例に当てはめます。
内縁の妻は、戸籍上の妻が存在していますので、労災保険法で説明する配偶者になりません。
戸籍上の妻がいれば、内縁の妻と呼ぶこともなく、婚姻の届出をしていないが事実上、婚姻と同様の事情にあった者でも、婚姻と同視すべき関係の準婚にも該当しません。
したがって、遺族補償給付の受給資格者とは認められません。

一方、法律上の妻は、例え長年別居で音信不通であったとしても、戸籍上の妻である限り、労災保険法で言う配偶者となり、生計を同じくしておりませんので遺族補償一時金の受給資格者となります。 
それでは、戸籍上の妻が、一時金を取得するのか、そうではありません。

内縁の妻との間に生まれた小学校2年生の女の子は、鈴木さんの認知を受けていますから、鈴木さんの死亡当時、生計を同じくしている子供に該当し、遺族補償年金の受給資格者となります。
年金と一時金の受給資格者がいる場合は、年金の受給資格者が優先権を持ちますから、本件の場合は、内縁の妻の子である小学校2年生の女の子が第一順位となるのです。

 

Q 親子が同時に死亡、遺族は遺族補償給付を同時に受給できる?
運送会社に勤める山下さん親子が正面衝突を受け、即死しました。
ご子息が運転、父親は助手でしたが、お二人とも即死される痛ましい交通事故となりました。
ご子息は独身で父親とは同居しておりません。
残された遺族は、父と同居していた17才の次男で高校2年生です。
父親の妻は昨年、癌で死亡しております。
17才の次男が父親と兄の遺族補償給付を同時に受給できるのでしょうか?

A労災保険法16条の2は、「遺族補償年金の受給資格については、労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持していたもの。」と規定しています。
父親の遺族補償年金については何の問題もありませんが、兄とは別居しており、この場合、「当該遺族が死亡労働者の収入によって消費生活の全部または一部を営んでいた事実、」これを確認しなければなりません。
つまり、別に住んでいた兄から月々○万円の仕送りがなされ、父および弟の生活の面倒を見ていた事実があれば、生計維持関係があったと認められ、父と兄の両方の遺族補償年金を受けることが可能です。

遺族補償年金は労災保険法16条の4で、「子、孫または兄弟姉妹については、18才の年令に達したとき、遺族補償年金の受給権利は消滅する。」と決められており、ご質問の17歳の次男は18歳に到達するまでの1年間について遺族補償年金が支給されるに過ぎません。
では、遺族補償一時金について説明します。
労働者の死亡当時、遺族補償年金を受ける遺族がいないとき、
遺族補償年金の受給権者が最後の順位者まで全て失権したとき、
このいずれかのケースで、遺族補償一時金が給付されます。
17歳の弟は18歳になった時点で失権しますので、△乏催します。
この場合、給付基礎日額の1000日分−支払済みの遺族補償年金が支給されます。

 

Q 実家の籍に戻っても遺族補償年金を継続して受けられる?
一昨年、業務中の交通事故受傷で夫を亡くしました。
4歳の子供がおりますが、事情があって実家の籍に戻ることを決めたのですが、この場合でも、現在支給されている遺族補償年金を継続して受けられるのでしょうか?

労災保険法16条の4は、遺族補償年金の受給権は、以下の一つに該当するときは、消滅するとしています。
受給権者が死亡したとき、
受給権者が婚姻をしたとき、
届出をしていないものの、事実上、婚姻関係と同じ事情にあるものも含まれています。
直系血族または直系姻族以外の者の養子となったとき、
離縁によって死亡労働者との親族関係が終了したとき、
子、孫又は兄弟姉妹については、18歳に達したとき、
障害の状態にある夫・子・父母・孫・祖父母または兄弟姉妹は、その事情がなくなったとき、
については届出を行っていなくとも、事実上、同じ事情にあれば、打ち切られます。
については労働者の死亡当時、60歳以上であった夫、父母又は祖父母、労働者の死亡当時、18歳未満の子または孫、労働者の死亡当時、18歳未満か60歳以上の兄弟姉妹は除かれます。
上記の1つに該当すれば、遺族補償年金の支給は停止されます。

他に順位者が存在するときは、次の順位者に支給がなされます。
これを、「転給」 と言います。
ご質問ですが、妻が失権するのは、死亡したときか、再婚したときだけです。
実家の籍に戻るだけでは失権しません。
仮に将来、再婚された場合は、当然に失権することになりますが、この場合は、子供に転給され、18歳になるまでは遺族補償年金が支給されることになります。

 

Q 主婦パートの遺族補償給付?
妻がパート勤務先で仕事中に受傷し、死亡しました。
夫の私56歳と長男20歳が残されたのですが、2人とも会社員をしています。
妻は10年以上、パートを続けておりいわゆる共稼ぎ状態でした。
この場合、労災保険の遺族補償として、どのような給付がなされるのでしょうか?
また、厚生年金にも遺族給付を請求できるのでしょうか?

A遺族補償年金の受給資格者となるのは、労働者の死亡当時、その収入によって生計を維持されていた配偶者・子・父母・孫・祖父母および兄弟姉妹ですが、年齢制限があり、夫・父母または祖父母については55歳以上、子または孫については18歳未満とされています。
受給資格の「生計維持関係にある、」とは、死亡した労働者に扶養されて生活をしていた状況のことですが、夫婦共稼ぎで生活している場合も含まれています。
したがって、本件は受給資格を満たしているのですが、受給権者の観点は、順位が設定されています。

妻または60歳以上または障害者の夫、
18歳未満または障害者の子、
60歳以上または障害者の父母、
18歳未満または障害者の孫、
60歳以上または障害者の祖父母、
18歳未満、60歳以上または障害者の兄弟姉妹、
55歳以上で60歳未満の夫、
55歳以上で60歳未満の父母、
55歳以上で60歳未満の祖父母、
55歳以上で60歳未満の兄弟姉妹、

優先順位は上記の通りであり、А銑の該当者の場合は、60歳になるまでは遺族補償年金は支給されません。 これを若年停止の措置と言います。。
本件では長男は20歳ですから、遺族補償年金の受給権者とはなりません。
56歳の夫は受給権者となりますが、若年停止で60歳までは支給停止となります。

ただし、労働福祉事業として支給される遺族特別支給金の300万円は直ちに支給されます。
さらに、労働者の死亡直後の遺族の出費を考慮して、遺族補償年金の前払い一時金制度が用意されています。 これは若年停止であっても請求ができるのです。
給付基礎日額の200日、400日、600日、800日、1000日分から請求者が任意に選択することができます。 
最後に葬祭料は、31万5000円に給付基礎日額の30日分を加えた額となります。
この合計が給付基礎日額の60日分に満たないときは、給付基礎日額の60日分が支給額となります。

 

Q 労災就学援護費、労災就労保育援護費?

A労働災害によって重度後遺障害者となった、もしくは死亡した被災者の子弟の中で、学業の継続が困難になった者に対しては、労災就学援護費が支給されます。

遺族補償年金(遺族年金)を受給し、学校教育法第1条に定める学校に在学中の者、
遺族補償年金(遺族年金)を受給し、生計を維持されていた在学中の当該労働者の子、
1〜3級の障害等級で、障害補償年金(障害年金)を受給し、在学中の者、
1〜3級の障害等級で、障害補償年金(障害年金)の受給し、在学中の子
傷病補償年金(傷病年金)を受給し、生計を維持されている在学中の子、
支給対象者は上記の通りです。
いずれも、学費の負担が困難と認められるもので、請求者はその子の扶養者で支給額は以下の通りです。
小学生は月額1万1000円、
中学生は月額1万5000円、
高校生は月額1万7000円、
大学生は月額3万5000円、
「労災就学等援護費支給申請書」に在学証明書の書類を添付、労働基準監督署に請求します。毎年、2、5、8、11月に3か月分ずつ、年金とあわせて支払がなされます。
さらに、保育園児に対しても月額1万1000円の労災就労保育援護費の制度があります。

幼稚園、小中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校が1条校です。
中等教育学校とは中高一貫教育システムを採用している学校、特別支援学校とは、障害者が幼稚園、小中学、高等学校に準じた教育を受けることを目的として設立された学校のことです。

 

Q 休業補償給付と傷病補償年金?

A治療を開始後、1年6ヵ月を経過しても治癒しないときは、傷病等級に該当すれば休業補償給付は打ち切られ、傷病補償年金が支給されます。

これは、労災保険の症状固定に対する考え方です。
交通事故受傷の治療をいつまで続けるのか?
保険屋さんは、なにがなんでも早期に打ち切りたいとの姿勢です。 
頚椎捻挫で画像所見が得られないものは、平均的には、受傷から3ヵ月程度で打ち切り勧告がなされています。
労災保険は、この目処を1年6ヵ月と決めているのです。
お役所ですから、厳格に適用されてはいませんが、シッカリと公表しています。
交通事故110番は、例え重傷事案であっても、原則として受傷から6ヵ月で症状固定にすべきと考えています。 
2000年5月から、この考えにブレはありません。

受傷したのは加害者の圧倒的な不注意であったとしても、一旦、怪我をすれば、それを治すのは被害者の責任であり、主治医はそれをサポートしている立場です。

交通事故で休業できるのは、仕事のことを考えるのであれば、通常は3ヵ月が限界となります。
これ以上の休業となると、会社内ではアザー・サイド、忘れ去られた存在となるからです。

胃癌による胃の全摘術、心臓移植術であっても、6ヵ月を経過すれば社会復帰を遂げているのです。
たった一度の交通事故で生涯を棒に振る訳にはいかないのです。

後遺障害は、受傷後6ヵ月を経過すれば、申請することができます。
経験則でも、治療効果が得られるのは、受傷から6ヵ月間です。
それ以降は、治療ではなく、人間の本来持っている自然治癒力に頼ることになります。

6ヵ月が経過すれば、キッパリと治療を打ち切り、後遺障害診断を受け、被害者請求で申請、社会復帰とします。
この指示を守った被害者は、例外なく後遺障害等級を獲得、実利ある合理的解決となっています。
そして、その後に症状に問題が生じた?こんな話しは聞きません。

大阪に、「症状固定は、できるだけ遅い方がいい?」 HPで公言するポンスケ弁護士がいました。 
これを守れば、後遺障害等級も薄められ、社会復帰を遂げても、社内でも相手にされることはありません。
木も森も見えない、こんなポンスケ弁護士を相手にしては、被害者が浮かばれません。

 

Q 通勤災害で治療中に定年を迎えたが、休業給付は請求できるのでしょうか?

A先ず、休業補償給付は、業務上や通勤途上で負傷し、療養のために働くことができず、賃金を得られない場合に支給されるものです。
したがって、療養のため就業できない状態が続く限り、休業補償給付は支給されます。
この場合の雇用保険の取扱いは、療養のため就業できない状態では、労働能力を有するとは認められず、療養期間中について、失業給付は支給されません。
当面は休業補償給付が支給されますので、治癒後に失業給付の請求を行うことになります。
失業給付は、離職の翌日から4年を限度として、その期間内の失業状態にある日1年間分に対して支給されると規定されています。
仮に療養が3年を超えてしまうような場合は、失業保険の受給対象期間が短縮されることになります。 
滅多に発生することではなく、覚える必要はありません。

労基法19条では、「労災保険で療養中の労働者を解雇することはできない。」と規定されていますが、定年退職、労働者の自己都合による退職は含まれていません。 
本編では労災保険の給付を説明していますが、メールでは、「事故後、パートを解雇されたが、休業損害の請求はできるのでしょうか?」の質問が頻繁に繰り返されています。
治療のため休業せざるを得ない状態であれば、保険屋さんに対しては、当然に請求することができます。

 

Q 退職後、労災保険の請求に捺印を求めたところ嫌がらせか、捺印してくれません?
現在、業務中の事故受傷で休業しています。
以前から社長と折り合いが悪かったので、これを機会に退職を決意し辞表を提出しました。
退職後、労災保険の請求に捺印を求めたところ嫌がらせですが、捺印してくれません。
それでも請求ができるのでしょうか?

A困ったことですが、意外によくあるケースです。
さて、休業補償給付を受けるには、治療のために仕事ができず、給与を得られない状態であることが前提ですが、休業補償給付支給請求書を作成して請求しなければなりません。
1回目の請求には、事故の原因と発生状況、事故前3ヵ月間の給与の支給内容と平均賃金、休業の期間、傷病名と傷病経過を記載し、事業主、治療先の医師、被害者の署名捺印と賃金台帳やタイムカードの写し、交通事故証明書を添付する必要があります。 
2回目以降は、休業の期間を記載すれば、残りは治療先と事業主、被害者本人の署名捺印でOKです。 
お問合せが、2回目の請求であれば、事業主の捺印がなくても、労基署に出向いて、「嫌がらせか、捺印してくれなかった。」と言えばいいのです。 しかし、1回目の請求であれば、少し厄介です。

手元の給与支給明細書を持参する等して、請求の事実を証明しなければなりません。
事業主の証明がなされていなくても、請求の内容と事実が確認できれば、支給はなされます。
手元に証明するものがないときは、労災保険の給付調査官が実際に事業所に出向き、給付の決定を行うこととなりますので、支給までに少し時間がかかります。
支給されないことにはなりませんから、この点は、安心してください。

 

Q 鍼灸治療も労災保険の対象になるのでしょうか?

A S57-5-31、基発第375号は、「鍼・灸、マッサージの施術に関する保険給付について、最大1年間を認める。」 と解説しています。
業務上や通勤途上の事故受傷で、治療効果がもはや期待できないと医学的に認められるものの、後遺症状としての疼痛・痺れなどの改善が見込まれる場合で、主治医が必要と認め診断書を交付したものについて、原則としては9ヵ月間を限度として認めます。
9ヵ月を経過した時点で、「施術効果が認められる。」との意見書や症状経過表が鍼師・灸師から提出された場合は、さらに、3ヵ月間を延長することが可能です。
通常の医療との併用も可能です。
症状固定後は労災のアフターケア、労働福祉事業の特別援護措置を利用すれば、さらに1年間の給付が受けられます。 極端な例を説明すれば、受傷から1年間を通常の医療と併用し、その後鍼灸の単独治療を1年間継続、アフターケアの1年で、都合3年間の施術が受けられます。

都道府県労基局長が指名した鍼灸、マッサージの場合は、施術費の立替が必要ありません。
この点は、保険屋さんの取扱いとは基本的に違います。
保険屋さんに「今から、鍼灸の施術を受けたい。」と要望すると、「では、3ヵ月間に限って、」このような付帯条件をつけるのですが、「3年を予定しています。」 これでは気絶してしまいます。
直ちに、弁護士対応に変更されるのです。
地方裁判所は、治療について、西洋医学を前提としています。
いくら労災が認めていたとしても、裁判では、被害者の不利は否めません。

 

Q 自賠責から保険金が支払われたが、労災保険にも請求できるのでしょうか?

Aこれは誤解の多い領域です。
結論は、両者で調整され二重の保険給付は、なされませんが請求はできると覚えてください。
業務上、通勤途上の事故受傷では、被害者には、労災保険と加害者の両方に請求権が発生します。 
この請求権の両方が満たされたときは、損害の2重填補という不合理が発生します。 
そこで、同一の損害について、被害者に重複する限度で二重取りにならないように調整が行われます。 
労災保険は補償保険ですから、被害者に対する慰謝料の支給はありません。
労災保険は、後遺障害の支給では、自賠責保険との調整を行います。

外傷性頚部症候群で14級9号が認定されると、自賠責保険は75万円を被害者に振り込みます。
75万円の内訳は、後遺障害慰謝料32万円、逸失利益が43万円です。
労災保険でも14級が認定されると給付基礎日額の56日分が支払われることになります。
給付基礎日額とは、(事故前3ヵ月間の総支給額÷事故前3ヵ月間の総日数)で求めた額となります。
仮に、給付基礎日額が1万円のときは、1万円×56日分=56万円が支払の対象ですが、自賠から取得している逸失利益43万円は差し引かれます。
56万円−43万円=13万円が支払われることになり、これを支給調整と呼んでいます。
これ以外に、障害特別支給金として8万円、ボーナス特別支給金が56日分が支払われています。
ボーナス特別支給金とは、(過去1年間に支払われたボーナスの支給額÷365日)で日額を求めます。
両方を総取りすることはできませんが、両方から支給される事実に変わりはありません。
あくまでも、自賠責保険との調整であり、任意保険の支払額で調整がなされることはありません。
このことも覚えておいてください。

さらに、労災保険では、後遺障害等級7級以上は障害年金で支給を開始します。
自賠責保険は一時金で支給します。
年金と一時金の支払が重複した場合は、年金の支払が事故発生日から3年間について停止されますが、その後は普通に支給がなされます。
二重請求、重複請求は調整されますが、請求を行えば、労災保険からも支払われると理解してください。

 

Q 示談を締結すれば、労災保険は給付されないのでしょうか?

Aこれも、よく問題となります。
私は、1つの交通事故に、2つの解決は存在しないと考えています。
1つの交通事故、で物損と人身の過失割合が違う?
1つの交通事故で1人の被害者に認定された後遺障害等級が自賠責保険で14級、労災保険は12級?
通常の常識では、あり得ないことです。
この観点に立てば、自賠の示談を終了し、その後労災保険に請求することはできないとなります。
ところが、現実には、これがまかり通っているのです。
この場合でも、示談書の最後の部分に、「上記条項のほか、被害者はその余の請求権の一切を放棄する。」と明記されているときは、労災保険も支払を拒否します。
つまり、労災保険は立替えているという認識でいるのです。
立替えたものは、いずれ保険屋さんに、その全額を請求します。 
したがって、請求できないことが分ると、支払を拒否するのです。 
やむを得ず示談を行うときは、「示談締結後も労災保険に対して保険給付の請求を行うものとする。」この文言を記載しておかなければなりません。
自賠に対する被害者請求であれば、これは示談ではないので、なんの問題もありません。
さらに、示談締結後に示談当時に予想されなかった後遺障害が出現した場合は、S43-3-15最高裁判決で、そもそも示談の効力はおよばないことになります。
この場合は、加害者にも労災保険にも、再請求ができます。

 

Q 業務上の事故受傷で3年を超えて療養している労働者を解雇することができるのでしょうか?

A労働基準法81条では、「業務上、通勤途上の事故受傷で治療中の被害者が3年を経過しても治癒しない場合、平均賃金の1200日分を支払って解雇することができる。」と規定しています。
ただし、現状では労災保険制度が充実しており、事業主が打切り補償を支払って解雇するケースはありません。
実際の対応は、治療を開始してから3年を経過した時点で、傷病補償年金に切替えて請求します。
傷病補償年金が支給された時点で、打切り補償は支払われたとみなされ、解雇制限は撤廃されたとします。

 
Q 通勤災害で休業しているが、労災の適用を受けていれば解雇ができないのでしょうか?


A解雇制限は労基法19条で、「業務上の負傷により休業する期間とその後の30日間、産前産後の女子が休業する期間とその後の30日間、」と定められています。
通勤災害は解雇権の制限に該当しませんので、いつでも解雇することができます。
ただし、これは単に労基法19条に抵触しないと説明しているに過ぎません。
解雇権の乱用は、民事免責効力を持ちませんので注意しなければなりません。

 
Q 定年退職でも解雇制限の適用を受けるのでしょうか?
会社で営業職の田中さんが、仕事中の交通事故受傷で入院しているのですが、田中さんは、後2週間で定年退職を迎えます。ところが、症状が重篤で定年退職までに治癒するのは到底、不可能です。 
労基法19条では、「労働者が負傷し、療養のために休業する期間およびその後の30日間は解雇してはならない。」 と規定されていますが、本件も、19条に従って退職を延期しなければならないのでしょうか?


A労働者側からの任意退職の申し入れや定年退職は解雇には該当せず、労基法19条の問題はありません。 
ただし、定年退職後の再雇用が慣行として認められているときは、この限りではありません。
つまり、就業規則や労働協約で定年制が定められていても、定年後も引き続き再雇用が認められている慣行が存在すれば、解雇はできないことになります。

 

Q 労災年金と厚生年金の支給調整はどのように行われているのでしょうか?
先日、工場内で作業中の山本さんが、構内を走行中のフォークリフトに挟まれ、 左腕を切断する重大事故が発生しました。労災保険の手続を行ない、後遺障害4級の認定を受けました。
本件では、厚生年金障害年金の請求も行うことになると考えていますが、労災年金と厚生年金障害年金の支給調整はどのように行われるのでしょうか?

障害等級が4級では、労災保険の障害年金は給費基礎日額の213日分となります。
厚生年金から障害年金を受け取る場合、厚生年金は全額支給されますが、労災年金は減額支給されます。
この場合の調整率は以下の定めにより0.76となります。
計算は、給付基礎日額×213日×0.76で求めます。
なお、併給調整は同一事由によって2つの保険制度から給付がなされる場合に限って実施されます。 
したがって、労災年金障害年金と厚生年金の老齢年金が支給される場合では調整は行われません。
調整率は、厚生年金障害年金の場合、0.76国民年金障害年金の場合、0.89となります。

 
 

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