当社の社員の馬場さんは、自宅から最寄の駅までは自転車で10分、その後、電車で約1時間そして会社までは徒歩10分掛かります。電車に乗れば1時間ですが、時間帯によっては次の発車時刻まで1時間以上を待たなければなりません。
先日、馬場さんは退勤後、6時過ぎに発車する電車に乗り遅れました。次の電車は7時30分です。仕方なく、駅の近くのスナックに立ち寄りビールを2本飲んで時間を過ごしました。7時30分の電車に乗り、駅からは自転車に乗って自宅に戻ったのですが、その途上で交通事故受傷にあいました。馬場さんは通勤災害が認められるでしょうか?
通勤途上の公園で短時間の休息をとる、経路上のお店で喉の渇きをいやす目的で、ごく短時間、お茶やビールを飲む場合等、労働者が通常通勤の途中で行う些細な行為は、逸脱・中断として取り扱うことはありません。
本件の場合は、次の電車が来る7時30分までは自宅に帰る電車がない訳ですから、駅に戻った時点で合理的な経路に復したことになります。その後は通勤と認められます。 しかし、ビールを2本飲んでの人身事故です。
「喉の渇きをいやすための、ビール2本は多くないか? 実際は酔って自転車を運転したので人身事故になったのではないか?」が論議されることになります。 ビール2本が、馬場さんにとって自転車に乗るのに差し支えのある酒量であったとなれば、通勤災害の適用は却下されるのです。 何度も繰り返しておりますが、お上には「言っていいこと!悪いこと!」が存在するのです。本件の場合は、7時30分の電車に乗って退勤の途上、交通事故受傷したと説明すればいいのです。会社のタイムカードは調査の対象となります。時間差を指摘されれば、6時の電車には間に合わず、やむなく7時30分の電車に乗ったと説明するのです。
嘘をつけば、これは保険金詐欺となります。しかし不必要なことまで一生懸命説明することはありません。 余談ですが、自賠責保険に被害者請求中の被害者が、事故とは関係の無い肝臓癌で亡くなりました。骨折の手術の傷跡があったので、Nliro調査事務所から面接の連絡が入ったのです。被害者本人は、火葬を済まし骨になっています。奥様は「ちょっと不都合があり、連絡の取れないところに行ってしまいました。傷跡をお見せ出来ない状況ですので、それは無かったこととして処理して頂けませんか?」と説明しました。数日して後遺障害等級は認められ振込みがなされたとのことです。この件は、その通りに説明しても別に問題があるわけではありません。ただ、死亡診断書や除籍謄本を取りつけなければならず、面倒なので先の説明をしたそうです。私が感心したのは「奥様は全く嘘をついていない!」点なのです。 |