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【2018/02/01】遷延性意識障害110番 訴訟中に死亡?

遷延性意識障害110番 訴訟中に死亡?

 
Q2. 遷延性意識障害者が、訴訟中に感染症で死亡?

交通事故の示談協議中に遷延性意識障害の被害者が死亡しても、損害賠償請求はできますが、将来介護費用に限っては、請求できません。

類似の質問に、「後遺障害を負った交通事故被害者が死亡したとき、後遺障害による逸失利益は、死亡時までの分に限られるのか?」 などが寄せられていますが、逸失利益とは、被害者が、交通事故による後遺障害がなければ、得られたであろう利益のことです。

※最高裁H8-4-25判決
交通事故で12級の後遺障害が認定された被害者が、海でリハビリを兼ねた貝採り中に、水難事故で死亡した事案で、逸失利益は、原則として、死亡時までの分に限られないと判示しています。
この判決は、貝採事件判決と呼ばれています。
また、最高裁は、H8-5-31判決でも、同様の判示を下しています。

最高裁は、その理由として、「賠償義務を負担する者がその義務の一部を免れ、他方、被害者ないしその遺族が事故により生じた損害の填補を受けることができなくなるというのは衡平の理念に反する。」
と述べています。
では、後遺障害を負った被害者が死亡したときの将来の介護費用は?
脳損傷や脊髄損傷による、遷延性意識障害、重度の高次脳機能障害、重度の四肢麻痺など、介護を要する重度の後遺障害事案では、将来の介護費用も、逸失利益と同様、将来にわたる損害です。
交通事故被害者が死亡したとき、それ以降の将来の介護費用が生じる余地はありません

※最高裁H11-12-20判決
将来の介護費用は、死亡時までの分に限られると判示しています。

最高裁は、その理由として、「介護費用の賠償は、被害者において現実に支出すべき費用を補填するものであり、判決において将来の介護費用の支払を命ずるのは、引き続き被害者の介護を必要とする蓋然性が認められるからにほかならない。
ところが、被害者が死亡すれば、それ以降の介護は不要となるのであるから、もはや介護費用の賠償を命ずべき理由はなく、その費用をなお加害者に負担させることは、被害者ないし、その遺族に根拠のない利得を与える結果となり、かえって衡平の理念に反することになる。」
と述べています。

逸失利益とは、被害者が、交通事故による後遺障害がなければ、得られたであろう利益のことで、これは、遺族の扶養利益の実質を備えるものですが、将来の介護費用は、将来にわたる、職業介護人に依頼するときの費用や、交通事故被害者の近親者の介護の負担に対する対価となります。
これは、被害者が現実に支出すべき費用の前払いの実質を備えるものです。

最高裁判決は、逸失利益と将来の介護費用の実質の違いから、被害者が事故後、死亡したことにより、加害者が、遺族の扶養利益の実質を備える逸失利益の支払義務を免れ、遺族が損害の賠償を受けられなくなるのは、衡平の理念に反するものと考え、被害者が事故後死亡したにもかかわらず、遺族が、被害者が現実に支出すべき費用の前払いの実質を備える将来の介護費用の賠償を受けることができるとするのは、かえって衡平の理念に反すると考えているのです。

 

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