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【2018/05/25】コンテンツの見直し 物損 全損諸費用

コンテンツの見直し物損 全損諸費用

(5)全損諸費用
1)全損とは?

全損には、どうにも修理が出来ない物理的全損と、修理費>車両時価額+車検残存費用+車両購入費用+解体・抹消登録費用等の経済的全損の2通りがあります。

どちらであっても、損保は、自動車の時価額で示談解決を急ぐのですが、ちょっと待って?
そんな解決で、同程度の車が購入できて、乗って走ることができるの?
自動車を運転して公道を走るには、各種登録の手続と費用が必要になりますが、それは自腹? 
そんなバカなことはありません。
同程度の自動車を購入、登録を完了して乗って走れる状態に戻すことを原状回復と言い、裁判所の判決では、その費用の負担を損保に求めているのです。

東京地裁判決H13-12-26事件番号H13ワ2087
全損によって、新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買い替え諸費用は、車両の取得価格に付随して通常、必要とされる費用の範囲内で損害として認められる。

損保は、この裁判で、買い替え諸費用はいずれ次の買い替え時期には負担せざるを得ないものであるとして本件事故の損害ではないと主張しました。
裁判所は、本件事故時点において将来の買い替えの有無、時期、買い替え予定回数の変動の有無が明確でない以上、保険会社の主張は採用できないとして退けました。
その通り、ここでは、本件事故による事故時の損害を請求しているのです。

東京地裁判決H13-4-19事件番号H12レ79
被害車両が全損と評価された場合には、被害者は、被害車両を修理してこれを再び使用することはできず、元の利益状態を回復するには同種同等の車両を購入する他はない。
したがって、この新たな車両の購入に伴って生ずるいわゆる買い替え諸費用は、車両の取得行為に付随して通常必要とされる費用の範囲内において、事故による損害と認められるべきである。

2)業者の代行費用・納車費用については?
検査・登録手続代行費用、車庫証明手続代行費用および納車費用は、販売店の提供する労務に対する報酬であるところ、車両を取得する都度、検査・登録、車庫証明の手続や納車が必要となり、車両購入者が通常それらを販売店に依頼している実情に鑑みると、これらの費用を買い換えに付随するものとして賠償の対象とするのが相当である。
これらの費用は、消費税を含めると判示しています。

3)事故車の廃車・解体費用は?

東京地裁判決H8-6-19事件番号H7ワ15080
東京地裁判決H14-9-9事件番号H13ワ23505
全損になった車を廃車・解体に伴う費用について、買い換えによって生じた必要かつ相当な金額として認めると判示しています。消費税も請求できるのです。

4)残存車検費用は?
車は車検を受けないと公道を走れません。車検のついた車を購入して車の使用価値が発揮されるのであって、全損になると、車体の価値も車検の価値も失われます。
車検費用÷車検期間月数×未経過分の月数で計算し、請求してください。

横浜地裁判決H6-4-14 事件番号H5ワ851債務不存在、H5ワ1945反訴
H4-12-28高速道路で新車から11カ月の国産乗用車が追突され、全損となった件について、被害者はH4-12車検のための整備等を行ない、その費用として16万7501円を支出した。
被害者は、この支出に見合うだけの使用ができないうちに本件事故に遭ったことになるので、右損害は本件事故による損害と認めるのが相当である。

東京地裁判決H14-9-9 事件番号H13ワ23505
H13-2-12交差点における普通乗用車同士の事故について、A車はH12-12に車検のための整備を行ない、その費用として自動車重量税3万7800円、整備費用3万5380円、印紙代金1100円、代行手数料1万1000円、申請書類代3000円、消費税2280円を支出したこと、同車検の有効期間H14-12-7迄の2年間であったことが認められる。
上記期間のうち残存期間分22カ月分については、時価額の評価に包含される部分を除き、本件事故による損害と認めるのが相当である。
ところで、車両の小売価格は整備された状態で販売される車両本体の価格であるが、一般的に、車検残存期間のうち13カ月分程度は、小売価格の評価に包含されているものと解される。
9万0749円を24カ月で除し、22カ月から13カ月を減じた9カ月を乗ずると、3万4030円となる。

先の東京地裁H14-9-9判決
被害者の主張は、経済的全損では、車両時価額、買換諸費用、車検費用等の合計額が、修理費用を著しく上回る場合であるとしているのに対して、損保の主張は、全損・分損の判断は車両時価額と修理費とを比較すべきであって、実際に支出していない買換費用や損害として発生していない残存車検費用を考慮すべきでないとしています。

この原告・被告の主張を受けて東京地裁は、
経済的全損か否かの判断にあたって、修理費の額と比較すべき全損前提の賠償額については、車両時価額のみに限定すべき理由はなく、これに加えて全損を前提とした場合に、車検費用や車両購入費用等を含めた金額と解すべきであり、逆に、修理費の額が車両時価額を上回っていたとしても、これが、車両時価額と全損を前提とした場合に事故による損害と認められるべき諸費用を加えた額を下回る場合には、もはや経済的全損と判断することはできず、修理費の請求がみとめられるべきであるとしています。
これまでの経済的全損は、修理費と車両時価額を比較、修理費の方が高いケースでした。
そして物理的全損を含む全損では、車検残存費用や買換諸費用が認められるかで争いが生じていたのですが、先の判決では、争いの余地はなく、修理費と比較するのは、時価額+買換諸費用+車検残存費用の合計額としているのです。

名古屋地裁判決H15-2-28 事件番号H14ワ416他
裁判所は経済的全損を、「当該車両の修理費相当額が破損前の当該車両と同種同程度の車両を取得するのに必要な交換価値を著しく超えるときは、当該車両は経済的全損となり・・・!」 このように結論づけています。
そして本件では、買換諸費用を登録費用、車庫証明費用、納車費用等と具体的に示し、時価額+買換費用の合計額を買換に必要な費用として認定しています。
本件の修理費用は39万8870円、時価額+買換費用の合計は37万4615円となりました。
結果、修理費用の方が著しく上回っていないところから、修理費用が損害として認定されました。

上記判決でも、単に時価額と修理額を比較するのではなく、修理費と比較するのは、時価額+買換諸費用の合計額であるとしています。
これまでは修理額と時価額を比較検討し、修理額>時価額の場合、経済的全損と決定しました。
そして、買換諸費用を損害に含めるかで争いが生じていたのです。
東京地裁、名古屋地裁の判決は、経済的全損の認定は、修理額>時価額+買換費用で、修理費が著しく上回る場合を経済的全損と認定するとの判断を示したのです。
つまり、買換諸費用は当初の比較で積算されていますから、争いの元にはならなくなったのです。
買換諸費用は請求できる損害として正式に認知されたのです。

先の東京地裁の判決も同じですが、修理費が著しく上回る場合に限って経済的全損が認定されます。
名古屋地裁では修理費が2万4000円程度上回るのでは著しいとはみなされず、修理費が損害として認められたのです。

東京地裁判決H15-8-4 事件番号H14ワ9377他
経済的全損か否かを判断するに当たって修理費用と比較すべきものは、被害車両の時価額だけでなく、買換諸費用等を含めた損害額と解すべきである。

ここでは車検残存価格として自動車重量税が車検有効期間の未経過分として月割りで認められていますが、現在では重量税はリサイクル法施行に伴い還付されるようになっています。
したがって、現在では請求できません。

東京地裁判決H16-12-22 事件番号H15ワ19275
「被害者は、通常の使用は十分可能な状態であった上、経済的全損の場合、車両の時価そのもののみならず、買換に伴う諸費用等を加えた金額を損害とすることを考慮すれば・・・」
判決の書きだし部分です。
経済的全損の決定では、修理費用と時価額を比較することは、化石の論理となりました。

損保は、未だに、車両時価額<車両修理費用で経済的全損を決めていますが、今や、経済的全損は、裁判所も認める(事故車両時価額+買換に伴う諸費用)<車両修理費用の算式で決定されています。

登録手続関係費用は、余程の高級車でもない限り、15万円前後です。
被害者は、事故車の時価額+15万円で修理費用と比較してください。

 

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