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 ●事業所得者

事業所得者の休業損害?

事業所得者とは、原則として白色申告・青色申告事業主のことを説明していますが、自賠責保険は、被害者に現実に収入減が認められた場合に限って、休業損害を認定します。

計算式は、(事故前1年間の収入額−必要経費)÷365日×寄与率×休業日数で求めます。
休業日数は原則として実治療日数です。但し、傷害の態様、業種等を勘案し、治療期間の範囲内で実治療日数の2倍を限度とすることが出来るとされています。又、長管骨骨折等によるギプス固定期間は実治療日数として取り扱います。

代替労働力を利用した場合は、被害者の休業日数の範囲内で、必要かつ妥当な実費を認めるとされています。

※収入額の立証方法?
自賠責保険では「税務署の受付印のある確定申告書の控」「報酬・料金・契約金及び賞金支払調書」等とされています。
立証資料の提出がなされない場合でも、被害者関係先に照会し、休業により当然収入に減少を来すことが推定出来る場合は、定額の日額5700円を認定します。

※前年度の所得証明が提出不能の場合は?
被害者が自営業を開始後、1年未満に事故により受傷し、事故前年度の所得証明が提出出来ない場合は、この間の収支明細の提出を求め、信憑性ありと判断が出来る場合は、立証資料に基づき、認定がなされます。

事業所得者の休業損害・逸失利益の積算?

ウカウカしていると、定額×実治療日数にされてしまいますから、大変です。
これらの積算に当たり、
大手の保険屋さんで、分析を「税理士」に委ねているところを見受けます。画期的な試みですが、結果は被害者にとって好ましい方向とはなっていません。やはり「沢山支払わない!」方針が優先される調査ですから、結果は「火を見るよりも明らか!」となるのです。
仲間の四国jiko110.comの阿部久朝さんと、この問題解決のプロジェクトチームを立ち上げました。申告の如何にかかわらず、立証資料を分析して、総勘定元帳を含む経理帳簿の一切を作成してしまう方法です。

私共が参考にしている書籍をご紹介しておきます。
題名「損害賠償における休業損害と逸失利益算定の手引き」
著作者 税理士 斎藤博明・斎藤明仁 
出版社 保険毎日新聞社(03-3865-1401)
先の書籍にヒントが説明されています。
税理士にこれを依頼される場合、平均的な料金は20万円程度です。
私共や懇意にしておられる税理士に依頼されるのも、選択肢の一つですが、先ずは書籍を購入し、被害者自らが取り組むべきと考えています。


事業所得者の休業損害の必要経費?

事業所得者の休業損害は「税務署の受付印のある確定申告の控え」or「信憑性のある収支明細書」に基づいて算出されるのです。

信憑性のある収支明細とは、専門家の手になる総勘定元帳を初めとする経理帳簿のことです。売上等を市販のノートに書きなぐったものは、例え真実が記載されていても「信憑性あり」とは判断がなされません。
それ故、保険屋さんから依頼を受けた税理士事務所に、それらの関係資料を提出しても、いずれも「信憑性なし!」と判断されるに過ぎないのです。
保険屋さん依頼の税理士を信頼して、立証資料を提出し、期待を持って待機している被害者を世間では「お人好し」「脇が甘い」と評価するのです。

さて、正規に作成された経理帳簿と預金通帳等による裏付けが完成すれば、それが、例え申告額より高額であったとしても休業損害として認定されるのです。この傾向は裁判でも同じです。しっかりと理解して下さい。

さて、自賠に戻ります。
先の確定申告控の提出がない場合、
※年収が200万円未満の場合、経費率は考慮されません。
※年収が200〜400万円未満の場合、年収に対して20%の必要経費率、
※年収が400〜600万円未満の場合、年収に対して30%の必要経費率
※年収が600万円以上の場合、年収に対して40%の必要経費率
が採用されます。但し、この計算式では、年収の多い者が必要経費を控除した結果、年収の少ない者の年収を下回る可能性が考えられます。従って、必要経費控除後の金額を、
※年収200〜250万円は200万円とする。
※年収400〜457万円は320万円とする。
※年収600〜700万円は420万円とする。
と、きめ細かく決めています。

事故受傷による全面休業又は閉店している場合は、確定申告書控による所得金額に、租税公課、損害保険料、減価償却費、地代、家賃の固定費部分を加算したものを基準に休業損害を認定します。
症状固定後の逸失利益の算定で、固定費部分が加算されることはありません。


寄与率?

事業所得者の休業損害は、所得額−必要経費の正味所得額に家族専従者又は使用人の人的構成から、被害者本人の寄与率を乗じて休業損害日額を認定します。この理解しがたい寄与率について説明します。

※休業又は閉店している場合は、
被害者の寄与率は100%が認定されます。

※営業が継続されている場合は、
青色申告の事業主は本人の所得額が明示されていますので、寄与率減額はなされません。
但し、白色申告等の事業主に対しては、

@年間正味所得が200万円以下の場合、寄与率減額はなされません。

A年間正味所得が200万円以上の場合、60〜80%を基準として事業主本人の寄与率を認定するとされています。60〜80%は一応の目安であり、実情に応じて適宜認定するとの但書がなされています。保険屋さんは、この寄与率を実情を無視して勝手に決める傾向です。この点、ご注意下さい。

寄与率控除の結果、正味所得金額が200万円を下回る場合は、200万円に引き上げて休業損害日額を認定します。200万円÷365日は5479円となります。従って、このケースでは定額の5700円が認定されることとなります。


青色申告事業主の休業損害日額の認定計算式?

(確定申告額の所得金額+青色申告特別控除額)÷365日

青色申告による税法上の所得計算=総収入額−必要経費−青色申告特別控除
となっています。実質所得は所得金額に青色申告特別控除を加えた金額となります。青色申告特別控除は、正規な簿記の原則で記録されていれば、55万円、簡易簿記であれば、45万円が控除額の上限額となります。
実務上の控除は、不動産所得の金額⇒事業所得の金額の順
序で控除がなされます。上限額55万円を控除された被害者に不動産所得による10万円の控除がなされている場合、不動産所得は不労所得との考えから、55万円−10万円=45万円が所得金額に加算され、所得金額+45万円÷365日=休業損害日額となるのです。申告額に誤りがなければ、被害者自身で計算が可能です。

ややこしい説明ですが、覚えておかれると便利です。

白色申告事業主で家族専従者がいる場合です。
※確定申告書の所得金額÷365日
※(確定申告書の所得金額+専従者控除額)×寄与率÷365日

上記のいずれか有利な方法を採用します。
白色申告は、事業主の実質所得に専従者の労務の対価が含まれていると考えられるのです。白色申告の専従者控除は、専従者に支払われた給与と理解するのではなく、所得額計算上の単なる特別控除に過ぎないとされているのです。


生命保険の外交員等の休業損害?

(報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書−必要経費)÷365日=休業損害日額
で計算がなされます。報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書は事故前年度のものを勤務先から取付けます。

休業日数の認定です。生命保険外交員は自由業者の範囲に含まれるのですが、実態は給与所得者と同様の勤務内容であるところから、休業損害証明書をもとに休業日数を認定します。化粧品のセールスマンも同様の取扱いがなされるのです。

個人タクシーの運転者?

個人タクシーの大部分は協同組合に加盟しています。組合は個人タクシーが休業した場合の都道府県知事に対する届出や所得申告等を代行しています。従って、これらの資料に基づき組合が発行する休業損害証明書は信憑性のあるものと判断がなされます。
個人タクシーは事業所得者となるのですが、先の経緯から、休業日数は組合の作成した休業損害証明書に基づき、給与所得者と同様に認定がなされるのです。
休業損害日額は、
(休業損害証明書に記載された営業収入つまり、水揚げ額−必要経費)÷90日で算出します。確定申告書の写しが提出された場合は、それに基づいて算出します。

協同組合に非加入の場合は、確定申告書の写しの提出等、信憑性のある資料の提出を求め、事業所得者の方法で認定します。
組合の加入・非加入を問わず、寄与率は100%の取扱いです。


全建総連組合員?

全建総連とは全国建設労働組合総連合のことです。大工、左官、その他の建築職人さんが加盟しています。こちらも組合の全建総連各支部代表者名で休業損害証明書が発行されますので、これに基づいて休業損害が認定されます。

但し、こちらの組合は大らかと言うか、大雑把な団体です。組合員の利益を最大限に評価しますので、個人タクシー協同組合ほど信憑性がないのです。
従って、稼働日数や支給金額に疑義のある場合は、
被害者の組合加入年月日
作業日誌
出面帳
収支明細書
確定申告書写し
等の提出を求め、実態の把握を行うと但書がなされています。


代替労力の認定?

スナックのママさんが交通事故受傷で入院したため、急遽ママの代わりに女の子を雇い入れて営業を継続した場合、この新たに発生した人件費が代替労働となります。

この場合、認定される金額は被害者の収入や職種から見て「必要かつ妥当な実費」が認められます。被害者の収入を超えて代替労働が支払われている場合でも、その必要性があれば、休業損害上限額の範囲内、つまり、19000円以内で認められます。
但し、代替労働が認められた場合、被害者に休業損害は発生しません。この点を、キチンと理解しておく必要があります。
 

 ●パートタイマー・アルバイト・日雇労働者

 ●家事従事者

 ●家事従事者の入院中、自宅に取り残された12歳以下のこどもの世話

 ●被害者が生活保護

 ●被害者が複数の職業

 ●給与所得と農業所得


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