「事故受傷〜 30 日」
ポイントは、治療費、休業損害、過失割合にどう対処するかです。
1 治療費をどうするのか?
入院事案では、保険屋さんが病院を訪問します。
「ご苦労様、お世話を掛けますが宜しくお願いします!」
被害者でも、これ位の挨拶はして下さい。
被害者が意識不明なら、これは、ご家族の常識的な努めです。
次に、健康保険あるいは労災保険の適用について打診がなされます。
「何も分かりませんが、手続きをお進めいただけるのであれば、こちらに依存はありません!」
ためらうことなく、爽やかに応じて下さい。
保険屋さんは、加害者ではありません。
入院中の被害者訪問では、緊張していますが、このやりとりで、ホッとするのです。
「なんで俺の保険になるねん?」 喧嘩腰は、アホにされますからやめておくことです。
交通事故の通院事案では、原則、自由診療です。
通院事案では、治療先が自由診療に、期待を示しています。
京都府八幡市のY中央病院、京都Y病院、系列病院では、自由診療を断ると、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書の作成を拒否しており、診断権を持つ医師が診断書の発行を拒否することは、明らかな医師法19条2項の違反ですが、それを承知しての強攻策ですから、手に負えません。
東国原知事のお膝元、宮崎県では、「医師会との申し合わせにより、交通事故で健康保険の適用は出来ません?」 こんな嘘をついてまで、自由診療をゴリガン通ししています。
極端な治療先を紹介していますが、診療報酬単価は毎年切り下げられており、自由診療大歓迎の病院が増えていることは、一方の減算たる事実です。
1点単価が10円と20円なら、これを受領する治療先は、どこでも20円を熱烈歓迎することになります。
通院では、自由診療、この傾向が今後はより一層、強まるものと予想しています。
被害者としては、これらを頭の隅に置いて対処する必要があります。
医師の嫌がる健康保険・労災保険の適用では、全ての交渉を保険屋さんに委ねます。
先の事情がありますから、被害者が、交渉の矢面に立ってはなりません。
人身傷害保険に加入であれば、被害者加入の保険屋さんに対応をお願いすることも可能です。
「私が加入の保険屋さんに対応をお願いしていますので、そちらにご確認ください!」
人身傷害保険対応を決断のときは、加害者加入の保険屋さんからの任意一括は、ソフトに拒絶してください。
(2)個人情報保護法と同意書?
治療先は、毎月末に締め切り、翌月の10日までに診断書+診療報酬明細書を作成、これを保険屋さんに送付して治療費の請求を行っているのですが、個人情報保護法の施行で、これまでのように、治療先が勝手に送付して治療費を請求することができなくなりました。
保険屋さんが最初に提示する同意書は、診断書+診療報酬明細書の取り付けを目的としたもの、その後の治療経過で提示される同意書は、医療調査や画像の回収を目的としたものです。
一方、個人情報保護法が施行されて以来、同意書は必要以上にセンシティブに扱われています。
被害者は、自分の個人情報が悪用されるのではないか、とても気にしています。
しかし、保険屋さんが、あなたの個人情報を悪用するなんてことは、あり得ない、考えられないことです。
診断書や診療報酬明細書に記載されている内容自体、重大な個人情報ではなく、どう考えても、これらは悪用できるシロモノではないのです。
保険屋さんに治療費の負担をお願いするのであれば、同意書には署名・捺印して送付することになります。
以下に示す同意書は、東京海上日動火災の書式ですが、これなら問題ありません。
他社の包括的な同意書には、「なお、本同意書の複写も本同意書と同じ効力があるものと認めます!」
こんな文言が印刷されています。これは、赤字で消去、署名捺印して送付して下さい。
同意書には、被害者請求や異議の申立で、自賠会社、Nliro調査事務所、自賠責・共済紛争処理機構が提出を求めるものがあります。
現時点では、これらに抵抗してはなりません。
同意書
東京海上日動火災保険株式会社 御中
私は、平成○年○月○日発生の事故に関して、貴社またはその指名する者が保険金の支払いをするために必要な範囲で、治療の内容・症状の程度を確認するために必要となり診断書・診療報酬明細書等の医療情報を取得・利用すること※に同意します。
※自賠責保険(共済)への求償を含みます。
○太枠線内には、同意者ご本人のご署名・ご捺印をお願いします。
※同意者が未成年の場合は、太枠線内同意者氏名欄は記名のみ(捺印は不要)とし、親権者欄に「レ」点を記し、
親権者のご署名・ご捺印をお願いいたします。
※同意者ご本人が、事情によりご本人にて記載できないため関係者が記載される場合は。歩と枠線内同意者氏名欄は記名のみ(捺印は不要)とし、その他欄に「レ」点を記し、関係者のご署名・ご捺印をお願いいたします。
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(3)休業損害、どうやって請求すればいいか?
休業損害は、一般的には、(事故前3ヵ月間の総支給額÷90日)×休業期間の日数で計算されています。
源泉徴収がなされている給与所得者であれば、なんの問題もなく支払われています。
休業損害証明書の書式を回収、勤務先に、証明書の記載と源泉徴収票の添付を依頼しておけば、OKです。
http://www.jiko110.com/topics/syoshiki.htm
交通事故110番では、上記から自賠書式のダウンロードが可能となっています。
勤務先から休業損害証明書が発行されても、源泉徴収等、納税の実績を立証できないときは、保険屋さんは、「書き上げ休損?」 このように判断し、記載額を休業損害として認めません。
天ぷら会席の最後は、小エビ、小柱、三つ葉のかき揚げで、茶漬けにしても最高ですが、書き上げ休損?これはいただけません。
「書いただけでは駄目ですよ、誰でも何とでも書けるのですから?」これが保険屋さんのお腹の中の本音です。
諦めてしまえば、日額5700円の計算ですが、支給額が業界の平均賃金の範囲内、常識的な金額であれば、賃金台帳、給与振込であれば、預金通帳を示し、頭を下げ、腰を折って、5700円以上の支給を粘り強くお願いしなければなりません。
自営業者では、保険屋さんは決まって確定申告の写しを提出してくださいと主張します。
しかし、確定申告はソモソモ税務申告の制度であって、売上から経費を差し引いて一定の税率を掛け合わせたものでしかなく、休業損害では、この経費もシッカリ請求しなければなりません。
例えば、地代・家賃、減価償却費、租税公課、損害保険料等は、休業状態でも発生します。
したがって、確定申告の写しをただ提出すれば、全ての立証が完了するのではありません。
総勘定元帳から、休業損害に該当するものをピックアップして、正々堂々と請求してください。
節税・脱税対策が散りばめられている状況では、諦めが先に立ちます。
稀に、保険屋さんから派遣された税理士にこの分析をお願いする被害者がおられますが、私は、その被害者をお人好しと呼んでいます。
払いたくない保険屋さんに、資料を出して支払を要求する?それでは、あまりにも脇が甘すぎます。
肝心なのは、当面の対応であって、交通事故にあった途端、翌日から家計が破綻することはあり得ないことです。
支払を巡って、保険屋さんと言い合うのは、愚の骨頂です。
対策は、いつの場合でも、ゆっくり、冷静に、落ち着いて考えるのです。
(4)外傷性頚部症候群の休業損害について?
余程の所見が認められない限り、認定されても受傷から3ヵ月が限度と覚悟しておくことです。
専業主婦では、実通院日数×5700円が提示されますが、やはり、3ヵ月が限度です。
財団法人 交通事故紛争処理センター紛セン、訴訟であれば、基礎となる収入は、349万9900円、平成20年賃金センサス、女性学歴計、全年齢平均が採用され、日額は9588円76銭となります。
これも、交通事故の奥の深いところです。
休業が3ヵ月を超える場合は、被害者が自身の症状を具体的に説明しなければなりません。
医学的な所見=他覚的所見が主治医からフォローされれば、支払いが続けられます。
しかし、これらの所見が認められないことが、外傷性頚部症候群の最大の特徴です。
見切り千両で、3ヵ月以内の就労復帰を目指して、初期治療に専念しなければなりません。
(5)過失割合、どう対応したらいいのか?
まず、過失割合は、話し合いではなく、事故発生状況で決まるものであることを、シッカリと認識してください。
そして、保険屋さんとの交渉が始まるのですが、あなたは、素人同然、保険屋さんは百戦錬磨のプロです。
この交渉をあなたがリードする?そんなことは、なんと頑張っても無理ですから、キッパリと断念することです。
では、どうしたらいいの?実は、簡単なことなのです。
「私は初めての交通事故経験で、過失割合なんてチンプンカンプンです。恐れ入りますが、○:○と判断された根拠を、私に分かるようにお教えいただけませんか?」
「今のご説明ですが、それを説明した資料の提示をお願いしたいのですが?」
静かに、冷静に、納得が行くまで、ゆっくりと質問を繰り返してください。
ほとんどの保険屋さんは、事故現場に出かけるでもなく、加害者の説明を鵜呑みで過失割合を判断しています。
質問攻めで、あらいざらいを喋らせれば、普通はボロを出すのです。
質問することが交渉だと理解してください。
一般的には、保険屋さんは、「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」を引用して過失割合を求めています。
この基準は、車対歩行者、車対車等、類型別に基本の過失割合が説明されています。
両当事者の供述から、細かい部分を加減修正して最終的な過失割合を求めますが、加害者の供述内容を中心として、これが説明されることがほとんどです。
初動調査は、保険調査員が担当、保険屋さんが事故現場に出向くことは、まず、ありません。
そして、被害者の過失割合は、多ければ多いほど、支払は合理的に節約できることも承知しておくことです。
「お互い動いていれば、過失は0ではありませんよ?」
こんな説明を駆使して、被害者過失が大きくなるように誘導されています。
@貴方に道路交通法違反が認められない、
A本件事故を予見することができなかった、
Bだから、事故回避処置がとることができなかった、
この3つが立証できれば、動いていても過失は0%です。
逆に、停まっていても、上記の3つが立証できなければ、過失は認められるのです。
しかし、こんな知ったかぶりの反論は決して行いません。
あなたから手の内を晒すことは、最後の最後までありません。
およそ保険屋さんの説明は、被害者にとって受け容れ難いものですが、
「なに、過失が30%、ふざけるな、バカヤロー!」 電話のやりとりで興奮した結果、直後に生意気な弁護士対応とされたなど、過剰反応は、いつの場合でも、致命傷を負うことになります。
最終示談までに決着をつける、時間はタップリありますから、当面は、静かに聞き流すのです。
判例タイムズとは別に、日弁連交通事故相談センター東京支部も東京地裁民事27部=交通民事部の判例をベースに毎年、赤い本で過失割合を発表しています。
判例タイムズと見解を異にする部分もあり、判例タイムズが全てではありません。
物損の過失は20:80、人身は10:90と優遇します?
1つの事故で2つの過失割合? あり得ないこと、将来の約束は、全てが空手形に終わります。
人身事故が発生すると、加害者は自動車運転過失致死傷罪で検察庁に送致されます。
加害者に罰金等の刑事罰が科せられた後、これらの関係書類の全ては、検察庁で開示されており、これを刑事記録と呼びます。
刑事記録の取り付け方法 |
出掛ける先 |
確認する内容 |
@交通事故を担当した警察署 交通事故係 |
加害者の送致日、送致先検察庁、送致番号 |
A検察庁 記録係 |
送致日と送致番号を示し、刑事記録の謄写を依頼、 |
この刑事記録=実況見分記録+交通事故現場見取り図+両当事者の供述調書には、
@最初に相手を発見した地点、
A危険を感じた地点、
B回避処置、ブレーキをかけた地点、
C衝突をした地点が説明、これらが図示されています。
例えば、@ABCが同じ地点であれば、衝突して初めて気がついたことを意味しており、加害者には著しい過失として+10%の加算修正が行われます。
裁判所では、この記録を証拠として、過失割合を認定しているのです。
であれば、警察の事情聴取では、シッカリと主張しなければならないことになります。
入院中であれば、警察官が病院を訪問、あらかじめ加害者から確認した事故状況に合わせて誘導尋問がなされることがあるのですが、こんな時は、「体調が悪く、正確な事故状況の説明が、今は、できません。退院後に、事故現場に立って、間違いのない説明を行いますので、今日のところは勘弁してください!」 キッパリと伝えます。
これも、交通事故の奥の深いところです。
提示された過失割合に納得ができない、根拠の説明も不十分であれば、最終的には、刑事記録を取り付けて、反論すればいいのですから、何も慌てることはありません。
加害者が不起訴処分でも、実況見分記録+交通事故現場見取図は取り付けが可能です。
刑事記録の取り付け、シッカリ憶えておいてください。
6 請求してはいけないもの、
付添看護料は請求できるのか?
保険屋さんには、絶対に請求してはいけません。
入院設備のある治療先の全ては、厚生労働省の基準看護の要件を満たし、完全看護を標榜しています。
したがって、被害者が12才以下の子供でない限り、付添看護料は認められないと理解してください。
実際に付添看護をしておられたのであれば、その状況により、財団法人 交通事故紛争処理センター、訴訟においては、ガンガン請求することになります。
個室の使用は出来ますか?
これも、保険屋さんに請求してはなりません。
術後の一定期間については、主治医の判断により認められています。
これ以外で、どうしても個室を利用したければ、自分で費用を負担すればいいのです。
実際に、個室の必要性があり、使用しておられたときは、その状況により、財団法人 交通事故紛争処理センター、訴訟では請求をしています。
個室Q&A?
Q 交通事故で左下腿骨を骨折し、プレート固定の手術を受けて現在も入院中です。
同室にガラの悪い患者が入院しており、静かな時間が過ごせません。
個室に入りたいのですが、保険屋さんは認めてくれません。
何とか認めさせる方法はありませんか?
A そんな理由であれば、個室ではなく、他の大部屋に変更を申し出ればいいのです。
個室の使用は、術後の絶対安静期間や介護を必要とするような状況に限っては、医療上の理由から、認められることもありますが、個室に入らなくても、治療を受ければ改善していきますから、保険屋さんとしては認めません。
どうしてもなら、被害者自身が差額ベッド代を負担して移ることになります。
当初から個室を希望して入室していても、これが問題にされないケースもあります。
有名人とヤクザの親分です。
このお二方は、決して個室料を支払って欲しいとは要求しません。
なにも言わないで当然のごとく個室に入るのです。
保険屋さんも、前者にはそれなりの風格がありますからなにも言いません。
後者には恐くてなにも言えません。
風格もハッタリも通用しない一般社会人は、これを要求してはいけません。
Q脊髄不全損傷で入院しています。
業務の引き継ぎで、連絡を取り合う必要があり、電話付きの個室を希望しているのですが、無理でしょうか?
A 貴方が上場企業の役員、政界の要人であれば、ウもスもなく認められます。
しかし、その辺の単なる会社員であれば、これは認められません。
いつの場合でも、身の丈に合った請求を心掛けてください。
本件は、ナースセンター脇の公衆電話で引き継ぎをすることになります。
なに、10分もあれば、全ての引き継ぎが完了します。
入院雑費って?
療養に直接必要な諸物品の購入や使用料、医師の指示により摂取した栄養物の購入費、通信費がこれに相当、 逆に該当しないものは、見舞客のための接待費用、医師、看護師に対する謝礼等の間接費用、パジャマ、寝具、テレビ、ラジオ、体温計の購入等、治療後の日常生活で使用出来るものの購入費用となります。
なお、入院中に要した費用で、診療報酬明細書に記載される光熱費、冷暖房費、入院管理料については治療費の取扱いとなります。
自賠や任意保険は、入院1日について、立証資料の提出がなくとも1100円の定額を認定しています。
地方裁判所支払基準では、1500円が認定されています。
これを超える金額は、必要かつ妥当な実費を認めるとされています。
通院または自宅療養中の諸雑費も、必要かつ妥当な実費は認められていますが、立証資料に基づく実額の認定となります。
治療費、休業損害、過失割合、この3つが、事故受傷から30日以内に押し寄せる難問です。
いずれも、紳士的な肩すかし、おっつけで、サラリとかわすのです。
交通事故では、保険屋さんがチャンピオン、被害者は無名・無冠の挑戦者です。
最初から不信感丸出しで、なにかに喧嘩腰、知識もないのに多弁、屁理屈をこねて納得できないばかりを繰り返し、挙げ句の果てには、担当者替えろ、これでは、第1ラウンドでノックアウトされます。
特に、私は、「担当者を替えろ?」が大嫌いです。
替わっても、同じ保険屋さん、つまりは、同じ穴のムジナですから、言葉遣いが替わるだけのことです。
実利の獲得を夢見るのであれば、紳士・淑女を演じなければなりません。
この場合の実利とは、早期就労復帰、そして後遺障害の獲得です。
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