(2)高次脳機能障害が認定される3つの要件?

1)頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること、

当初の意識障害、反昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態、JCSが3~2桁、GCS、12点以下が少なくとも6時間以上、もしくは、健忘あるいは軽度意識障害、JCSが1桁、GCSが13~14点が少なくとも1週間以上続いていることが確認できる症例でなければなりません。

2)以下の傷病名が確定診断されていること、

脳挫傷、びまん性軸策損傷、びまん性脳損傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、脳室出血、水難事故、骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症、脳に供給される酸素が激減した低酸素脳症も、これに該当します。

3)XP・CT・MRIでダメージの痕跡が確認できること、

①XPでは、頭蓋骨骨折とそれに伴う脳損傷を確認できます。

②CTは、主に水平断画像を確認、連続した画像により脳委縮の確認が容易です。

③MRIの撮像法であるDWIでは、外傷、特に軽微な脳挫傷の診断、軸索損傷の診断に対しCTや従来のMRIで確認できなかった脳損傷を証明することができます。
急性期の落ち着いた段階(受傷2~3日日)でMRIを撮影し、客観的な証拠を捉えることができるので、 外傷、特に軽微な脳挫傷の診断、軸索損傷の診断に対し、DWIはT2、T1、FLAIR、CTと比較して圧倒的に有効です。

④受傷後の早期に、DWI撮影が実施されていないときは、MRIの撮影法であるSWI=T2*(スター)検査を受けなければなりません。
SWIの利点は、造影剤を使わずに静脈を映し出せるということと、微細な出血、ヘム鉄に反応するので、受傷から時間が経過していても、点状出血や脳委縮など、病変部を確認することができます。

入院中、もしくは退院後であっても、受傷から間もないときに、高次脳機能障害が予想される先の症状が見られたときは、家族が十分にチェックし、メモを作成して、その内容を治療先の医師に伝え、高次脳機能障害の可能性を確認してもらうことが大切です。

後遺障害の審査・判断では、受傷から間もない段階で、医師が高次脳機能障害を確認しているのか、あるいは、そうでないのかが、とても重要なポイントとなっています。

4)想定される4つのパターン

  意識障害 傷病名 画像所見 高次脳機能障害
1
2 ×
3 ×
4 × × × ×

1であれば、高次脳機能障害の立証に、苦労はありません。
2でも、なんとか頑張って立証に漕ぎ着けます。
3となれば、高次脳機能障害の認定は非常に困難となります。
4は論外で、高次脳機能障害として審査されることはなく、非該当です。
軽度脳損傷、MTBIは4に該当し、高次脳機能障害として評価されていません。