概要

横断歩道を青信号で渡っているところ暴走自動車に跳ね飛ばされたもの。
加害者は自賠責のみの無保険自動車。
軽度意識障害有り、画像所見有り、日常生活を送る上での若干の違和感残存、周辺症状として嗅覚、味覚の異常、その他、整形領域のダメージも大きい。

問題点

①高次脳機能障害の有無と程度
脳損傷に付随して発生した嗅覚障害、味覚障害の証明ができるか?
②整形領域の障害の証明
③無保険者傷害保険への請求手続き

立証のポイント

①高次脳機能障害
当初作成の意識障害に関する所見は、意識清明となっていた。
そこで、カルテを回収し、内容を精査、看護記録や家族の証言から、意識障害の実態を文書化し、再び医師と面談、丁寧に説明して、事実の通りに訂正を受けた。

医師は多忙であり、「意識清明」も慌てて作成されたものであれば、やむを得ないケアレスミスです。
これを執拗に責めると、医師との人間関係が壊れ、関係者全員が不幸になります。
したがって、それらを理解してあげることを出発点として、真摯な話し合いを行えば、以後の修正は問題なく実施できるのです。
医師を責め立てる、喧嘩腰で交渉する、いずれも愚の骨頂です。

その後、DWIやT2スターなどの画像所見から脳損傷が確認できることを主治医とともに確認。
器質的損傷の証明が十分であると確認し、程度の立証に移行した。
被害者本人、家族と複数回の面談を行い、日常生活状況報告書を仕上げ、神経心理学検査の専門的医療機関を訪ねて必要な検査を受け、一式をレポートにまとめ、被害者請求とした。
高次脳については、7級4号と評価された。

②嗅覚、味覚障害について
必要な検査、オルファクト検査、アリナミンPテスト、ろ紙ディスク法における最高濃度液検査を受け、嗅覚脱失で12級相当、味覚の減退で14級相当と評価された。

これらの検査は、単体としての評価とは別に、高次脳の残存を周辺から裏付ける証明になるため、手を抜くことはできない。

③整形領域・長管骨の変形
後遺障害診断時、整形主治医と面談、XPに角度計を当てて計測を受け、後遺障害診断書にその事実の記載を受けた結果、長管骨の変形で12級8号と評価された。

④無保険者傷害保険への請求手続き
まずは加害者本人を相手に損害賠償請求訴訟を提起する。
返す刀で無保険者傷害特約に対する保険金請求訴訟を仕掛けると、損保は、キャンです。
損害賠償請求訴訟では、弁護士特約の適用ができます。
ところが、無保険車傷害保険金訴訟となると、弁護士特約の適用はできません。
しかし、保険金請求訴訟の提起を云々すると、大多数の損保は、支払いに応じます。
グズグズして訴訟提起となれば、遅延損害金、弁護士費用が加算されるからです。
このことを承知している、無保険者の示談解決に経験のある弁護士に引き継ぎ、対応を終了した。