概要

原付バイクで直進中、後方よりの右折自動車に巻き込まれ、脳挫傷、頚椎捻挫の診断となる。
幸い回復は良く、比較的早く日常生活に復帰した。
しかし、家族の観察では事故前に比べ、忘れっぽい、要領が悪くなった、怒りっぽいなどがあった。

問題点

最大の問題は、主治医が、高次脳機能障害ではなく、痴呆であると診断していたことである。
さらに、相手損保も医療調査で同様の回答を得ていた。
このような状態で弁護士からサポートの要請がなされた。
確かに一見、障害の有無は分からないが、主治医が否定しようと、私の経験則による見立てでは、真性の高次脳機能障害による症状であった。

家族にしか分からない微妙な変化を立証することで、主治医の診断を覆さなければ前進はない。
しかし、高次脳を評価できる病院は限られている。
ところが、高齢者の受入れには絶望的に困難である。

立証のポイント

まず、在住県のリハビリ病院に検査を打診するも、高齢を理由として拒否された。
そこで県外の国立病院に検査を打診、入院での高次脳評価をすることで了解を得た。
検査の結果から家族の訴えを裏付ける所見が明らかとなった。
ようやく専門医の確定診断により、後遺障害診断書の記載を受けた。

これでも手放しで喜べないのが、交通事故外傷、特に高次脳の立証である。
他院で確定診断されても、初診から対応している主治医が否定すれば、審査側も認定を躊躇し、万事休すとなるのです。
そこで、新しく取得した検査データ、診断書類を主治医に引き継ぐべく、面談を行った。
主治医を立て、慎重かつ丁寧な説明で障害の存在を認識させなければなりません。
さらに、調査事務所からの文書照会も予想され、その回答書の記載でも再度、主治医と面談した。
忘れて、高次脳を否定する回答を書かれたらおしまいとなるからです。
この辺の配慮はメディカル・コーディネーターの技量と機動力、そして熱意が発揮されるところです。

これらの対応は障害診断を不正に誘導しているわけではありません。
正しい等級が認定されない流れには、積極的・強引な対応をせざる得ない現実もあるのです。
主治医とて24時間患者を観察している訳ではありません。
軽度の高次脳機能障害、まして高齢者となると正確な診断は非常に難しくなります。