びまん性軸索損傷では、相当に深刻な後遺障害が予想されます。

上のMRI画像をジックリと検証してください。
頭頂部から頭蓋底に至る24枚のMRI画像の内の6枚目に映し出されたもので、前頭葉、両側頭葉に点在する黒点は、びまん性軸索損傷、脳表面の広範囲に広がる点状出血の痕跡です。
これは、症状固定段階で、主治医にMRI T2スターの撮影を依頼、画像立証できたものです。

頭部に回転性の外力が加わると、脳の神経細胞の線維、つまり軸索が広範囲に断裂し、機能を失うと考えられています。びまん性軸索損傷の存在そのものが、すなわち、高次脳機能障害なのです。

頭部外傷といえば、脳挫傷、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血などを連想します。 これらも重傷ですが、局所性脳損傷では、挫滅した部分の脳の機能が失われるだけで、重篤な後遺障害、認知障害を残すことは、実は少ないのです。

本件の被害者は、フルフェイスのヘルメットを装用しており、頭蓋骨骨折や脳挫傷はないものの、受傷から40日間の意識喪失がありました。
これは、激しいスピードで脳が揺らされたことにより、間接的に脳が衝撃を受け、脳表面の広範囲に、画像などでは判別の難しい微小な出血をきたしたもので、びまん性軸策損傷と呼ばれています。

現在では、出血した血液の鉄分を強調するMRI撮影法、T2スターで確認することができます。
被害者は、広範囲の点状出血に伴う軸索の損傷により、遂行機能障害、失語、記憶、聴覚や嗅覚、言語理解、認知の領域で、脳は大部分の機能を喪失、3級3号が認定されています。

びまん性軸索損傷では、受傷直後から意識を喪失しています。
脳神経外科の臨床では、頭部外傷のうち、受傷直後から6時間を超える意識消失が認められるときは、びまん性軸索損傷と定義、診断を行っています。

脳の表面に大きく広がる点状出血は、CTやMRIで捉えられないことが多く、通常は、明らかな脳組織の挫滅、脳挫傷や血腫が認められないものの、意識喪失の原因を、脳の細胞レベルの損傷が広範囲に生じたためと推定して診断しているのです。

頭部MRIのDWI、SWIの撮影方法であれば、神経細胞の軸索の断裂に伴う微小な出血や浮腫=むくみが確認できるのですが、受傷後、3日以内、早期の撮影に限られます。

受傷から3日以内に交通事故相談がなされることは、通常は、ありません。
後日の相談で、たまたまDWI画像があり、点状出血が確認できていれば、ラッキーですが、CTの精度では、異常が認められないことがほとんどです。

しかし、等級を審査する損保料率機構調査事務所は、画像所見を重視しており、症状固定段階のMRI撮影、T2スターで立証しておけば完璧です。
ここは、シッカリと覚えておいてください。