頭蓋骨の下には硬膜と呼ばれる非常にしっかりとした硬く白い膜があり、脳を包み保護しています。
それであっても、交通事故や高所からの転落事故など、頭部に大きな外力が加わる高エネルギー外傷では、その下に存在する脳が直接的なダメージを受けることがあります。

脳に大きな外力が加わり、脳組織の一部が挫滅、崩壊して、出血することを脳挫傷といいます。
脳挫傷は、衝撃を受けた部位の直下に生じる直撃損傷=クー外傷と、衝撃を受けた部位の反対側に生じる反動損傷=コントラクー外傷の2種類に分類されます。

頭部に対する強い外力により、髄液で満たされた脳は、強い力で一方へ押され、頭蓋骨内面に衝突し、その反動により反対方向へ引き戻され、対側の頭蓋骨に衝突して損傷を受けるのです。
直撃損傷よりも、対側損傷の方が、脳のダメージが大きいことが多いのです。

上記は、脳挫傷の頭部CTですが、○印の中のモコモコしたものが出血による血腫です。

脳挫傷による出血と、挫傷部とその周囲の脳がむくむ脳浮腫により、堅い頭蓋骨で囲まれた内側の圧力が高まり、激しい頭痛、嘔吐、意識障害が現れます。
局所症状として、運動麻痺では、特に半身運動麻痺や真っ直ぐ歩けない、立てない、顔が曲がる、感覚障害では、特に半身のしびれ、びりびりする、触っても感覚が弱い、言語障害では、言葉が話せない、呂律が回らない、理解できない、会話が成り立たないなどが出現し、進行すると、意識障害が現れ、反応が鈍い、目を覚まさない、痙攣発作などが出現します。

多量の血腫、脳浮腫による頭蓋内圧亢進が進行すると、脳が下方向に飛び出す脳ヘルニアとなり、脳幹の生命維持中枢が侵され、呼吸障害などで、最終的には死に至ります。