損保は、70歳以上の高齢者で、所得が低く、過失が20%以上のときは、介護料を否定することで、総損害額を自賠責の範囲内に押し込み、自賠責を超えては損害が発生しないと主張する傾向です。

1)74歳男性、高次脳2級1号

農家の74歳男性が横断歩道のない道路を横断中、左方から走行中の自動車に跳ね飛ばされ、 高次脳で2級が認定され、自賠責保険から3000万円の保険金が振り込まれました。

損保の反論

①被害者にも20%の過失割合が認められる?
②高齢で、収入が少なく自賠責保険金を超える損害は発生しない?
③現況から、将来介護料の必要性はなく、したがって住宅の改造費も必要ない?
つまりは、0回答がなされています。

弁護士の立証

弁護士は、被害者と家族に面談し、被害者には常時介護の必要性が明らかなことを確認し、そこで、民事裁判において、家族が仕事に就いているため、職業介護人が必要であることを主張、

⇒裁判所は高次脳2級に対して常時介護を認め、症状固定後3年間は1週間に8万6000円、その後8年間は1週間に11万6000円の将来介護料を認定しました。

過失割合についても20%が10%に下がり、住宅改修費用は610万円、慰謝料では、1級以上に相当する2970万円が認められました。

損保よりは、自賠責の3000万円で終わりと回答された事案でしたが、結果として1260万円の調整金を含む7500万円が上乗せされ、74歳の高次脳被害者としては異例の1億500万円という賠償金を受け取ることができました。

NPOジコイチのコメント

損保が主張する、「高齢者、所得が低く、過失もあるので自賠責保険の範囲内?」
つまり0回答は、昔から繰り返されている古典的な示談の手口です。

したがって、安易な0回答に屈して、早々に示談に応じることは禁物です。

低い提示に納得できないとき、介護の必要性があるときは、できるだけ早く、NPOジコイチのフリーダイアル0120-716-110で相談してください。
フリーダイアルで概要をつかめたら、交通事故無料相談会に参加してください。
もちろん、セカンドオピニオンを求めることで、構いません。

2)高次脳2級1号 紛争処理センター本部

80歳女性が横断歩道を歩行中、同方向から左折してきた自動車に跳ね飛ばされたもので、脳挫傷などにより高次脳2級が認定されています。

一般に、高次脳2級は、見守りだけの随時介護と判断されることが多いのですが、本件被害者では、高齢もあって、日常生活全般において、声かけ、見守り、介助などを必要としていました。
しかし家庭における仕事の事情があって、自宅での在宅介護は不可能な状況にありました。

損保の反論

損保の反論は、例によって、自賠責保険金2370万円のみで、追加分は0回答でした。
家族は施設介護を考えており、将来の介護料について交渉したが、高次脳2級であれば、随時介護であり、1カ月7万5000円が限度との回答がなされていました。

弁護士の立証

本件では、被害者の症状固定時の年齢が82歳と高齢であり、体力的にも時間的にも訴訟に耐えられないことが予想されたので、弁護士は、訴訟ではなく、スピーディーな解決を図るため、あえて紛争処理センターに示談斡旋の申立を行いました。

弁護士は、被害者の実情と在宅介護が不可能であることを陳述書で緻密に立証したことで、

⇒紛争処理センターの嘱託弁護士は、平均余命期間92歳までの全期間における介護施設介護料、月額42万円、おむつなどの介護消耗品、さらに慰謝料も合わせ、自賠責保険金を除いて4270万円の損害賠償が認められました。

NPOジコイチのコメント

公益財団法人交通事故紛争処理センターは、嘱託弁護士が対応し、地方裁判所支払基準を適用して示談の斡旋を行う機関で、高等裁判所がある全国の8カ所に設置されています。
弁護士が緻密な立証を行えば、地裁基準で損害賠償額を実現することができます。
ただし、遅延損害金や弁護士費用に該当する和解調整金の支払いはありません。

本件では、申立から僅か4カ月間で解決することができました。
①高齢者で、体力的にも時間的にも訴訟に耐えられないことが予想されるとき、
②家族が訴訟ではなく、スピーディーな解決を希望するときは、
紛争処理センターにおける解決も視野に入れなければなりません。