高次脳2級1号

34歳の女性会社員が交差点の横断歩道を青信号で横断歩行中、対向右折車に跳ね飛ばされ、高次脳2級が認定されています。

損保の反論

公的介護制度を適用すれば、月額4万円の介護料で足りる?

弁護士の立証

受任の時点で、すでに高次脳2級が認定されていたのですが、弁護士が被害者の日常や介護の実情などについて聴き取りをしたところ、実際は1級に等しい重度の障害であることが明らかになりました。

そこで、家族の詳細な陳述書をまとめ、ビデオ撮影なども実施して、重度障害を立証したことで、裁判所は、職業介護人として、日額1万5000円、土日祝日は家族介護で日額8000円、総計9400万円の将来介護料を認定しました。

①被害者は青信号で横断歩行中の事故であり、なんらの過失も認められないこと、
②それであっても、介護方法の選択を損保側に強制されなければならないのか?
③週5日、自宅には、職業介護人と事理弁識に障害を残す被害者のみであること、
④公的介護制度では、介護人を固定、特定することが困難と言われていること、
⑤マスコミでも取り上げられている不測の事態が生じたときは、誰が責任を持つのか?
④さらに、平均余命までの長期間にわたって制度が存続するかどうかが不確定であること、

⇒以上を強く主張したことで、裁判所は、損保側の主張を排除しています。

NPOジコイチのコメント

「障害者自立支援法に基づく公的介護を適用すれば、介護費用は1カ月4万円に抑えられる?」
この損保側の主張も、世間の常識とは、大きくかけ離れています。

おかんには、なんの不注意もないのに、ダレのせいで、こんなことになったん?
公的介護なら、月4万円? 言うに事欠いて、どの口で、そんなアホなことが言えるの?
そもそも、なんで保険屋さんに、そんなことを強制されなあかんのよ?
公的介護で、暴力が振るわれる? 家の物がなくなる?
マスコミ報道の事件が起きたら、保険屋さんが、これからも責任とるの?
どやねん、今、ここでハッキリせんかい!

これが、関西の庶民感情ですから、被害者側と損保の示談交渉で、こんなことが持ち出されたら、暴力沙汰も覚悟しなければなりません。
そうであっても、裁判では、弁護士が冷静に証拠を積み上げ、1つ1つ反論していくことになります。

もう1つの示唆は、高次脳の2級1号について、将来介護料はいくら? この争点です。
損保は、2級であれば見守るだけの随時介護で足りると考えていますから、真に介護が必要であると立証されたときでも、日額2400円、月額7万5000円で十分と考えています。

寝たきりの常時介護では、おむつの交換、2時間ごとの体位変換、身体の清拭が介護の中心的なメニューとなりますが、2日に一度は入浴などもあり、これはこれで大変な作業ですが、介護者が事前に計画を立てて、ある程度合理的に進めることができます。

ところが、着替え・歯磨き洗顔・食事・入浴の介助や、その後の見守り、看視、声掛け、指示となると、就寝中を除いて、常に、被害者にピッタリと寄り添わなければならず、すべて被害者のペースに合わせることで、介護者には、大きなストレスが掛かります。
したがって、2級という等級に重きを置くのではなく、被害者と家族の実情を正確に把握し、陳述書にまとめ、必要があれば、ビデオ撮影を行って、緻密に立証しなければなりません。

実際の立証は、文章で流すほど簡単ではありません。