東京地裁 高次脳3級3号

30歳、会社員の男性が、バイクを運転して優先道路を走行中、左方の狭路から飛び出した相手車に跳ね飛ばされ、高次脳3級3号、左下肢短縮障害を併合して1級が認定されています。

被害者は大学卒業後、一般企業に就職し、大卒平均賃金程度を得ていたものの、事故の約5年前に会社勤めを辞め、有名な蕎麦店で将来の独立を前提に修行を積んでいました。

しかし、本件事故による高次脳の影響で人格が変わり、周囲の人に激しい暴力を振るう、また自殺未遂を起こすなど、介護している両親は大変な思いを強いられていました。

損保の反論

損保側は、損保の基準では、自賠責保険の後遺障害等級表に基づき、3級3号では、真に介護を要すると認められるときに限り、月額7万5000円を支払うと規定しているのですが、高次脳でも3級3号であれば、高額な将来介護料を必要としないこと、逸失利益の計算は、平均賃金ではなく、事故当時の実収入を基礎収入にすべきであると主張しています。

弁護士の立証

弁護士は、事故後に被害者の人格が変貌したことについて、家族による詳細な陳述書によって、日々の介護の大変さを立証しました。

⇒そうした努力が結実し、裁判所は、日額7000円の高額な将来介護料を認定しました。

逸失利益の基礎収入についても、確かに、事故当時の年収は修行中でもあり、平均賃金を下回った水準でしたが、修行中であった蕎麦店の協力を得て、修行を終えて独立した後の収入状況なども丁寧に立証して反論しています。

⇒結果、裁判所は、事故当時の収入水準を上回る、男子平均賃金を基礎収入として認定しました。
3級でありながら、自賠責の保険金を含んで2億円という高額な損害賠償が実現しました。

NPOジコイチのコメント

高次脳機能障害は、外からは見えにくい後遺障害です。
したがって、家族から、実情をシッカリと聴き取り、それを陳述書にまとめることで、裁判所に本人の症状と介護の苦労を認識してもらうことが不可欠なのです。
残念なことに、この努力を怠っている? どう立証していいかが分からない?
そんな弁護士が、大変多いのです。
逸失利益の基礎収入でも、雇い主の協力を得て立証したことで、男子平均賃金を実現しています。

高次脳の被害者と家族は、残りの人生をすべて弁護士に預けて戦いに挑んでいるのです。
それを裏切るようなことでは、弁護士の職責を果たしたとは言えません。
弁護士の能力次第で、被害者の人生が左右されるのです。