高次脳2級1号

友人の運転する自動車の助手席に同乗中の21歳、アルバイトの男性ですが、友人がハンドル操作を誤って路外の電柱に激突、頭部にダメージを負ったもので、高次脳で2級1号が認定されました。

被害者は、事故後、人格変化の影響で暴力を振るうなど生活能力をなくしており、仕事を辞めて介護に当たっていた母親や家族の見守りや介護に大きな負担が生じていましたが、被害者に病識はなく、なんでも自分でできると思い込み、治療先の医師にも、そのように話し、明るく振る舞っていました。

損保の反論

①事故時にシートベルトを着用していなかった被害者に10%の過失がある?
②被害者には、それなりの生活能力を有しており、高額な将来介護料の必要性はない?

弁護士の立証

裁判所は、事故時の写真などからシートベルトをしていなかったことだけで、2級1号の後遺障害に結びつかないとして、過失相殺は5%が相当と判示しました。
もっとも、過失相殺分は、人身傷害保険から先行回収ができています。

肝心の将来介護料について、弁護士は、主治医に面談、日常の介護の大変さを具体的に説明するとともに、高次脳機能障害では、本人に病識のないことが多く、実際には、まったくできないことも、できたように話してしまうことが十分ありうることを説明し、後日、主治医に文書照会を行っています。

裁判所には、主治医に対する文書照会を提出すると共に、母親の証人尋問により、被害者の事故後の実態を丁寧に立証しています。
被害者の母親には、就労せざるを得ない経済的事情があり、復職の道を開ける必要から、このことも家族の状況や事情を具体的に立証しました。

⇒結果、裁判所は、事故前にはフルタイムで就労していた母親の復職を前提とし、年間240日は職業介護人日額1万4000円、年間125日は家族介護日額8000円、さらに、母親67歳以降では、365日の職業介護日額1万4000円を認定しました。

損保側の提示額の2倍以上となる2倍を上回る2億5700万円の損害賠償が実現できました。

NPOジコイチのコメント

これまでの経験則でも、
①初めてでは迷うことの多い私の事務所を時間通りに訪問した被害者が、私に、今の民主党政権はなっていないなどの政治論争を仕掛けるありさまで、どんな質問にも淀みなく回答し、それで、あんたのどこが高次脳なの? 私も悩んだのですが、その後の立証で2級1号が認定されたこと、

②両親と同居する温厚で無口な被害者でしたが、自宅では、ワニに噛まれたと救急車を要請するなど、たびたび、家族を困らせており、その後の立証で3級3号が認定されたこともあります。
ムチウチでは、今にも死にそうな訴えが目立つこともありますが、高次脳の被害者は、第三者である私や主治医、言語聴覚士のスタッフには、つとめて冷静に対応し、決して、弱味を見せないのです。
これを見過ごしておくと、完成した後遺障害診断書で正しい等級を獲得することは不可能となります。

裁判となっても、周囲の補強証拠を固めておかないと、本人尋問で心証形成に大失敗することが予想されるのです。