高次脳3級3号

78歳、高齢の女性が、日没後、交通量の少ない片側二車線道路を横断歩行中、貨物トラックに跳ね飛ばされ、高次脳3級3号、歩行困難などで併合2級が認定されています。

損保の反論

①信号無視をした被害者側に60%の過失あり?
②高次脳は3級3号であり、将来の介護料は必要がない?
③独り暮らしの家事従事者に、休業損害は必要ない?

1審の宇都宮地裁では、加害者の一方的な供述や、調書の目撃証言が採用され、被害者が赤信号で横断したと認定され、被害者の過失は60%と判断されていました。

弁護士の立証

本件では、信号が何色? これが、過失割合の認定において大きな争点となっていました。
2審の東京高裁では、1審で採用されたであいまいな目撃証言を徹底検証するとともに、目撃者の証人尋問を実施し、事故時、加害者が少なくとも黄色の信号で侵入したことを立証することができました。

さらに、加害者が10カ月近くも無保険の貨物車を乗り回していたことを察知し、悪質な運転者の証言には信用性がないことを指摘したところ、東京高裁は、歩行者の過失を15%と認定しました。

⇒将来の介護費用は、週5日、8万円の職業介護と日額6000円の家族介護が、平均余命の10年分として3700万円が認定されました。

被害者は独り暮らしではあったが、別居中の娘の家に通って家事の手伝いをしていました。
これらの日常生活もしっかりと把握した上で、細かい立証を行ったことで、

⇒最高裁では、娘の家事を手伝っている家事従事者として、休業損害が、逸失利益は、平均余命の半分の5年間について、65歳以上平均賃金100%が認められ、後遺障害慰謝料は2級に相当する2400万円、総損害額8200万円が実現しました。

NPOジコイチのコメント

自賠責保険は、他人のために家事をしている事実があれば、家事従事者として、通院実日数×5700円の休業損害を認めています。
家事従事者としての規定であり、男女の区別はなされていません。
俗に、主婦の休業損害と呼ばれていますが、主夫だって、問題はないのです。

地方裁判所支払基準となれば、年収372万7100円で評価され、日額では、1万0200円となります。

余談ですが、東京地裁民事27部は、シングルマザーについては、内助の功が認められないとして、主婦の休業損害を認定しない傾向です。
いまどき、内助の功なんて死語と思っていたのですが、ちょっと、困っています。

独り暮らしで78歳の高齢者ですが、娘の家に通って家事手伝いをしていました。
ここに目をつけて、休業損害や逸失利益を認めさせたのですから、弁護士としての資質のすべてを完璧に兼ね備えています。
①問題を正確に理解するための幅広い知識と経験則
②依頼人から問題点を引き出す対話力、
③勝訴に導く創造力と構成力

この弁護士の剛腕には、頭が下がります。