1)高次脳1級1号

主婦兼パートの65歳女性の運転する乗用車が交差点を直進中、赤信号無視の自動車が衝突、頚椎骨折による四肢麻痺、外傷性くも膜下出血などの高次脳で1級1号が認定されました。
寝たきりの要介護状態です。

弁護士の立証

本件事故は、ひき逃げ犯がまだ逮捕されておらず、加害者の自賠責保険と任意保険に損害賠償を請求することができない状態でした。
政府の保障事業から4000万円が支払われたのですが、将来介護費用などを積算すると、十分な賠償額ではなく、そこで、被害者自身の乗用車に自動担保されている無保険車傷害特約に対して、保険金請求訴訟を提起したのです。

弁護士は、裁判において、なんら過失もない被害者が、ひき逃げ事故に遭った無念さを強調し、障害の重さ、そして夫や子供たちによる家族介護の苦労を緻密に立証しています。

⇒その結果、裁判所は、弁護士の請求に応じ、将来介護料は日額2万円、後遺症慰謝料3000万円、住宅改造940万円、合計1億3600万円を認定、和解が成立しています。

2)高次脳3級3号

37歳、男性会社員が原付バイクで優先道路を進行中、一時停止の標識がある右方の道路から出てきた自動車の衝突を受け、高次脳で3級3号、聴力障害、嗅覚脱失、咀嚼障害を残しました。

加害者は任意保険未加入の無保険であり、資力にも乏しかったので、被害者側の自動車保険の無保険車傷害特約に請求することになりました。

損保の反論

①被害者側にも速度違反で25%の過失割合が認められる?
②逸失利益・基礎収入は、被害者の事故直前の収入が低いので、平均賃金を使うべきではない?

弁護士の立証

過失割合について、弁護士は、実況見分記録を詳細に検討して工学的な視点から矛盾を指摘、加えて、事故の直前直後の状況を把握していた目撃者からの情報を入手、その上、事故現場の状況を動画で撮影して証拠提出するなど、加害者の供述の不合理性を検証し、この事故は被害者にとって回避しようがなかったということを立証しています。
裁判所は、弁護士の主張を認め、被害者の過失を0と判断しました。

被害者は高次脳3級3号の認定であったが、事故後、人格が大きく変わり、両親に対して暴言や暴力を振るうことがしばしば見られたので、家族の日常の苦労を、詳しい陳述書にまとめ、実際に壊された物や暴力を振るわれた痣などの写真を提出することで明確に立証した結果、

⇒将来介護料として日額6000円が認定されました。

< p>⇒本件では被害者の事故直前の収入が低く、将来賃金の算出についても議論となりましたが、結果的に男子平均賃金の80%が基礎収入として認められました。

NPOジコイチのコメント

事故直後、被害者の父は、複数の弁護士事務所に電話相談をしたのですが、いずれも、「ひき逃げではねえ?」 の反応で、政府の保障事業に対する被害者請求のアドバイスもなく、無保険車傷害特約に至っては、触れられることもなかったのです。

ひき逃げや無保険車との事故では、政府保障事業に請求すれば、自賠責保険と同額の補償を受けることができますが、それは、あくまでも最低限の賠償がなされたに過ぎず、決定的に不足しています。

無保険車傷害特約は、1976年1月から、すべての保険屋さんの対人賠償保険に特約として自動担保されています。
①加害者がひき逃げで不明、もしくは任意の自動車保険に未加入であること、
②自動車保険に加入している被害者が死亡または後遺障害を残したとき、
③無保険自動車との交通事故であれば、自動車保険に加入のあなた、配偶者、同居の親族、大学進学などで自宅を離れている別居の未婚の子に適用されます。
④歩行中、自転車やバイクで走行中の交通事故受傷であっても、適用されます。
⑤独り暮らしでも、未婚であれば、実家の車の無保険車傷害特約の適用がなされます。
⑤保険金は2億円で、被害者の不注意は、過失相殺されます。
損保ジャパン・日本興亜、セゾン、セコム、ソニー損保の4社は、保険金が無制限となっています。

ところが、事故後に損保に相談しても、ハッキリ適用しますから安心してくださいとは言わないのです。
40年以上も前から、使えるとも、使えないとも、口を濁して、逃げに掛かるのです。
そこが、無保険車傷害保険の問題点で、やっと使えることが判明しても、損保の基準で精算されたのでは、損害賠償額が低過ぎて、お話にならないのです。

損保は教えてくれないのですが、加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起し、確定した判決額もしくは和解額は、無保険車傷害特約から、全額が支払われることを承知しておかなければなりません。