5.その他の労働問題-解雇

試用期間後の本採用を拒否 リストラ 退職勧奨

退職合意書にサインするように求められたあなた?
会社に一方的に解雇された方
辞めさせられるような理由がないのに、退職を求められているあなた?

1)解雇と退職勧奨

自発的に退職する意思がないときは、退職届に署名・捺印をしてはなりません。
解雇を裁判で争うときは、退職届にサインしてはいけません。
解雇通知書、解雇理由証明書があれば、ほとんどで、解雇は無効となります。
労働審判で、解雇無効となっても復職する必要はありません。

リストラで、社員をはじき飛ばすときは、人事担当の役員などから、「解雇となると、あなたの経歴にも傷がつくから、自主退職の方向でお願いできませんか?」 そんな囁きがなされ、突然の解雇ではなく、退職勧奨から始まるのが一般的です。
この勧奨に応じて退職届に署名捺印したときは、労働審判や裁判において、会社に解雇の意思表示があったと証明することは、ほぼ不可能となるので、真剣に考えなければなりません。

2)解雇通知書・退職理由証明書

勧奨退職には、応じるとも、応じないともはっきりさせないで、ノラリクラリで勤務を続けます。
いよいよ会社がしびれを切らして解雇を通告したときには、会社に対しては、解雇通知書もしくは退職理由証明書の発行を依頼します。
訳を聞かれたときは、労働基準法22条1項では、退職理由証明書の発行が会社に義務づけられており、それを根拠に会社に対して書面の発行を求めていますと回答します。

ともかく、解雇を裁判で争うときは、退職届にサインしてはいけません。
納得できない退職では、解雇通知書、解雇理由証明書を発行してもらうことが重要で、証明書があれば、ほとんどで、解雇は無効、つまり勝訴となるのです。
解雇を法律上有効とするには、解雇に、客観的に合理的な理由があることや社会通念上相当である認められることを会社が証明しなければなりません。
しかし、この認定は実務上、非常に厳しいものになっているからです。

3)解雇無効と復職

労働審判で、解雇無効となっても復職する必要はありません。

①解雇無効につき、私はまだ社員と主張します。
②社員であっても、解雇を通告した会社の都合で働けなくなったとして、解雇されたときからの給与は全額を請求することをも合わせて主張します。

解雇無効では、法律上は、労働契約上の権利を有する地位確認という建て前で争うため、復職する意思があるのが前提となりますが、裁判所も解雇された社員が復職してもうまくいかないことは分かっており、退職を前提とした金銭解決を提案しています。

労働事件においては、訴訟にいたる前に、労働審判で解決することが大半です。
労働審判では、バックペイが支払われる金額の基準となっています。
バックペイでは、残業代も合わせて請求することになります。

4)バックペイ、具体的に、いくらもらえるのか?

バックペイとは、解雇されてから現在までに、本来支払われるべきである賃金相当額のことです。
解雇無効判決では、バックペイを基準とした支払いが会社に命じられています。

Q 中間収入の控除について

社員が解雇されてから解雇無効判決が確定するまでの間に、他の会社で働いて収入を得ていたとき、会社がこの中間収入を労働者に遡って支払うべき賃金額から控除できるかどうか?
判例では、解雇期間中の平均賃金の60%以上の部分は、控除対象として認める傾向ですが、労働審判で、これが議論されることは、ほとんどありません。

Q 能力に乏しく、時間内で仕事を終わらせることができない人が給料を多くもらえるのはおかしい?

主張として間違っていませんが、労働基準法が、工場労働者を想定して時間外労働の規定をしているため、機械的な計算をもって残業代を請求できるのです。

労働基準法第32条では、法定労働時間を1日8時間、週40時間以内と定めています。
1日8時間を超える労働、さらには週40時間を超える労働は、原則として残業代を請求できます。
そして、残業代の請求権は、2年間で時効消滅します。

Q 残業は、どうやって立証するのですか?

労働審判などで、残業代を請求するときは、残業をした証拠を示さなければなりません。
タイムカードがあれば、確実な証拠になり、請求も簡単ですが、打刻前の早出、打刻後の残業、つまりサービス残業となると、立証は困難となります。

首都圏が地盤のスーパーいなげやで2014-6-5に発生した男性店員の過労死では、担当した弁護士が、警備システムの管理記録からサービス残業を立証し、過労死認定につなげました。

タイムカードでは、発症前の4カ月平均の時間外労働時間は、75時間53分であり、残業規制の上限である2~6カ月平均で、1カ月がいずれも80時間以上、単月で100時間を下回っていたのです。
これで諦めることなく、サービス残業を立証した弁護士の立証活動に、敬意を表します。

運送業の運転手であれば、デジタルタコグラフで立証することができます。
タイムカードのない事務職では、出勤・退勤前後のメールの履歴などは証拠となります。
毎日の業務報告書に記載された就労時間の記録なども、客観性のある証拠となります。
個人が記載した出退勤に関する手帳のメモだけでは、信憑性が低く、認定は微妙です。
請求する全期間について残業の証拠がなくても、客観的に証拠となるものが1カ月分でもあれば、他の時期も同じように仕事をしていた推定がなされるので、残業代を請求することができます。

Q あらかじめ残業代を含んで支給されていている?

会社が、労働審判で、あらかじめ、手当の名目で残業代を支給していたと主張することがあります。
労働者の雇用条件を記載している雇用契約書や、周知されている就業規則で明確に残業代として支給していることが規定されているときは、会社の主張が認められることもあります。
しかし、中小企業となると、そこまでハッキリ規定していることは、ほとんどありません。
基本給と固定の残業代の額を明確に分類しないで、「残業代30時間分を含む?」そんなレベルの規定であれば、有能な弁護士であれば、論破することができます。

Q 管理職だから、残業手当の請求はできない?

店長は管理職?

確かに、労働基準法41条2号の管理・監督者に該当するときは、残業代の請求はできません。
そんな事情で、一般的には、管理職は残業代を請求できないと信じられています。
しかし、労働基準法上の管理・監督者と、一般的な管理職とは、異なる概念です。

東京地裁判決 2008-1-28

日本マクドナルドの直営店店長が、会社側が店長を管理監督者とみなして残業代を払わないのは違法であるとして、未払い残業代などの支払いを求めた裁判で、斎藤巌裁判官は原告の主張を認め、過去2年分の未払い残業代など約750万円の支払いを命じました。
判決は、管理監督者は、経営者と一体的な立場で活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されている立場にあると指摘した上で、日本マクドナルドの直営店店長については
①権限は店舗内に限られ、企業全体の経営方針などの決定過程に関与している事実は認められない。
②勤務実態からすると、労働時間に関する自由裁量性があったとは認められない。
として、管理監督者には当たらないと判示しています。

管理・監督者にあたるかの3つの要件
①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限が認められていること。
オーナー社長の君臨する中小企業では、上記の要件を満たすことは考えられません。
東京地裁も、管理・監督者の該当性は一般論としては厳しく判断するとしています。

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
欠勤・遅刻・早退では、管理職は報告・届出、一般社員は、会社の承認を必要としていること、
管理職は、時間と賃金を切断、完全月給制であり、一般社員は時間と賃金が連動していること、

③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇が与えられていること。
首都圏であれば、月給30万円以下で管理・監督者と認定されることはありません。

Q ホワイトカラー・エグゼンプション?

ホワイトカラー労働者を対象に労働時間規制の適用を外し、働いた時間に関係なく、成果に対して賃金を支払う制度のことです。
一律に時間で働きぶりを評価することが適当でない労働者の労働時間を自由にし、生産性の向上と効率的な働き方の実現を目指すのが狙いで、2007年に政府が法案化に動いたのですが、残業代ゼロや過労死促進との批判が高まり、国会への法案提出を断念した経緯があります。
今回の再挑戦では、年収1000万円以上の高度な専門職に限って導入する方針を決定。
来年の通常国会での労働基準法改正を目指しています。

Q 年俸制だから、残業代の支払いはない?

聞こえはいいのですが、年俸制となると、実際に働く前に給料の額が決定されますから、年俸が決定されるタイミングでは、残業時間を把握することができません。
月給制を単純に年俸制にしたのであれば、残業代は、別途計算して追加払いすることになります。
年俸制に切り替えても毎月残業代の計算をするとなれば、会社にとっては余分な手間が増えるので、年棒の計算に、あらかじめ、一定の残業時間を含めておく方法が考えられます。

年俸制でも残業代の支払いは必要です。

①年棒には、1カ月あたり30時間の時間外労働手当を含む
②年棒には1年あたり7日分の休日出勤手当を含む
③年棒には1カ月あたり7万円分の時間外労働、休日出勤手当を含む
上記のように支給条件を決定しておくと、年棒に含むものと規定しても違法ではありません。
しかし、組み入れた以上の残業や休日出勤が発生したときは、追加の支払いが必要となります。
労働基準法には罰則規定があり、刑法と同じ運用で、怠れば違法行為が成立します。

年俸制を採用したとしても、会社は社員の労働時間を管理・把握しなければならないのです。
「当社は年俸制だから残業手当は無いよ?」 これは通用しないのです。

Q 業界によっては、残業代を請求できない?

業種により、労働時間の規定が適用されないことはありません。
現実問題として、理容・美容業界では、店の営業時間に合わせて開店前から閉店後まで働き、休みも週1日だけが、ほぼ業界の常識になっています。
飲食業では、営業時間前後の仕込みやアルバイトの休みを埋めるために休日返上で働くなど、月の労働時間が300時間を超えることも珍しくありません。
このような店舗の営業時間に合わせて就労している労働者は、タイムカードがなくても、仕事の内容と営業している店舗の営業時間そのものが労働時間を証明する客観的な証拠になるので、長時間労働、サービス残業に耐えられないときは、NPO交通事故110番に相談してください。

Q 試用期間後の本採用を拒否

試験採用であっても、試用期間が経過すると自動的に本採用に移行すると判断されています。

3カ月間はアルバイト、その後に適正を見て本採用すると言われ、仕事を始めました。
3カ月は、土曜日も出勤して、精一杯の仕事を続けましたが、教育がなされることもなく、具体的な指摘もないままに適正がないとして本採用を拒否されました。
私は、納得していません。

試用期間に対する裁判所の判断は、
試用期間であっても、雇用契約が締結されている状態であり、本採用拒否と説明されても、試用期間中は雇用契約が締結されており、採用の問題ではなく、解雇に該当するので、解雇となれば、合理性が必要であって、第三者が聞いても納得する理由がなければならないと指摘しています。

頭の黒いネズミ会社は、試用期間を有期雇用として、その後に本採用となる雇用契約を結んでいますと説明するのですが、これが試用期間としての性質を持っているのなら通じません。
試用期間である以上、次の契約と連続しているからです。
採用の問題ではなく、解雇が妥当かどうかで議論することになります。

ここで出てくる会社側の言い分も検証しておきます。
①適正がない?
採用したばかりのあなたに、社員と同じ働き方を求めても、それはムリ、新しく採用された人たちの中で、適性に乏しい? これも理由になりません。
なぜなら、これが成立するなら、毎年、同じ理由で振り落とされる人が出ると予想されるからです。
人には長所も、短所もあり、あなたの能力が十分に発揮されるようにしなかった会社に適正がないのであって、適正なしとの理由は、納得できるものではないのです。

②指導しても直らない?
どんな指導だったの?
その指導方法は正しかったの?
指導では、指導される側よりも、指導する側の責任が問われるのです。
したがって、指導しても直らないとの言い訳は、専門弁護士にかかれば、「あんたの指導ではね?」 指導する側の能力を問題として詰めていくのです。

③部長候補として雇用したのに、すぐに成果を出せない、成績が悪い?
専門弁護士は、それなら部長に見合う年収や権限を与えていたのか? ここを詰めていきます。
最初に求めてもいないことを理由に挙げても、それは通用しないのです。

④細かなミス、失敗をあげつらう?
あれができない、これもできない、あのときミスした、こんなミスもやらかした?
細かく積み上げて、適正を否定する手口です。
専門弁護士は、それは、人間ですからミスするのは当然のことと聞き流します。
そして、ミスがあって当然ですから、どのように対処するかの準備を怠った会社側の責任ではありませんかと切り返し、もちろん、ミスを減らすように努力しなければなりませんが、ゼロにはできません。
なぜなら、人間ですから? そのように締めくくるのです。

結局のところ試用期間で解雇されるのは、採用時には分からなかったことが明らかになり、それが業務に大きな支障を与えているレベルで、具体的には、試用期間中に、無断欠勤を繰り返した、職場の同僚との暴力沙汰、運転免許が必要であるのに、試用期間を終えても運転免許が取得できていないなどがそれに該当します。

最後に、模範解答です。
A 確かに、あなたの能力や性格などが仕事に適しているかを判断するために一定期間を試用とすることが見られます。
しかし、試用であっても、会社があなたを雇用した以上、本採用を拒否するには、その客観的かつ合理的な理由と社会通念上の相当性が認められなければならないのです。
ともかく、会社が安直に本採用を拒否することはできないのです。

試用期間中に特段の問題もなく、普通に仕事をしていたにも関わらず、納得できる理由の説明もないままに、会社から本採用が拒否されたときは、弁護士が会社に事実関係を確認し、状況によっては、弁護士が会社と、今後の交渉をする必要が出てきます。
まずは、事実を明らかにして、NPO交通事故110番に電話相談をしてください。

Q 突然、解雇すると言われたが?

ほとんどの労働者は、賃金で生活をしており、労働者の生活手段を絶つには、それなりの理由が必要となるのは、言ってみれば、当然のことです。
解雇には、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇の3つがあります。

懲戒解雇は、犯罪行為や重大な背任などの反社会的な行動を起こしたときに適用されます。
整理解雇は、
①解雇しなければ企業の存在が危うくなる状況が客観的に証明できて、
②解雇を回避するための最大限の努力がされていて、
③解雇される人を決める理由に合理性があり、
④当人と会社が、事前にしっかりと話し合いを行い、協議を尽くしていることが条件となります。
これを整理解雇の4要件といいます。

普通解雇は、労働契約法第16条で、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、その権利を濫用したものとして、無効とすると定められています。
つまり、誰が聞いても、仕方がないと判断できる理由がなければ解雇はできないのです。

会社から、解雇すると言われたときは、
①辞表を書く、退職の同意書等に署名捺印しないこと、
会社側は、辞めさせたい社員に対して、辞表の提出や退職の同意書等への署名捺印を求めます。
辞めることに納得していないのであれば、これらに応じてはなりません。
会社側から強く要求されるなどがあって、納得できないで辞表を書いた?
退職の同意書などに署名捺印した?
こんなときは、辞表または退職の同意書は本意で作成したものではなく、それらを撤回する旨を、内容証明郵便で会社に通知することになります。

②解雇の理由を確認すること、
合理的な理由のない解雇は認められず、無効となります。
このため、解雇の有効・無効を判断するには、解雇の理由を明らかにさせることが必要になります。
解雇理由を明らかにさせるため、会社に解雇の理由を記載した証明書の交付を求めます。
労働基準法22条では、社員の求めがあったとき、会社は、解雇理由を記載した証明書を交付しなければならない義務があると規定しています。

会社側が解雇理由を口頭で説明しているときでも、弁護士による交渉や、解雇を争う裁判手続が始まると、会社側が、解雇理由の後付を行う?
それまで説明していた解雇理由とは異なる主張をする? こんな騙し討ちが横行しているのです。
したがって、早い段階で、具体的な事実を含む解雇理由を明らかにさせることが重要となります。
重要な証拠となるので、必ず書面で回収しておきます。

③離職票を受け取った際に、注意すべきことは、
会社から離職票を受け取ったときには、離職理由欄を確認するのです。
解雇による退職であっても、あなたの判断によるもの、つまり、社員の自己都合による退職と記載されていることが多いのです。

解雇で退職したとき、失業給付は、離職票の提出と求職の申込みを行った日から7日間の待期期間後に支給されますが、自己都合による退職では、7日間の待期期間満了後、さらに、3カ月を経過しないと失業給付を受けることができません。

解雇に対する対処法
①就労意思を明らかにする
解雇に納得がいかない場合には、まず、会社に対して、解雇の撤回を求め、自分には会社で就労する意思があることを内容証明郵便で通知しましょう。

②証拠の収集、
解雇を撤回させるために会社と交渉していくには、早い段階から以下の証拠を確保しておくことが、非常に重要です。
就業規則、労働時間管理記録、業務記録、その他社内資料、上司との会話を録音したテープ、会社から交付された雇用契約や就業規則などに関するものは、保管しておきます。
労働事件では、書面化された証拠が少なく、また、証拠や証人が会社に独占されていることが多いので立証に手間取ることが多いのです。
会社から交付された雇用契約や就業規則などに関する書面は、いずれも貴重な証拠となります。
また、解雇を巡る上司との会話を録音して記録しておくと、これも貴重な証拠となります。
録音することが困難なときでも、会社での出来事や、上司から言われたこと、されたことなどを詳細なメモや日記等のかたちで残しておくと、証拠として活用することができます。

労働基準法第20条第1項により、会社が労働者を解雇するときは、少なくとも30日前に解雇予告するか、予告を行わないときには、30日分以上の解雇予告手当を労働者に支払わなければなりません。

Q 会社を辞めるなら損害賠償を払えと言われた?

1)安心してください。

労働基準法16条では、使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と定めています。
資格を取らせてあげるから、3年間は退職しないや退職するときは、講習費用の倍額を払うなどの取り決めは、当然に無効となります。

次の人が決まるまで辞職させないというのも、よく耳にしますが、憲法22条では、なにびとも、公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有すると明記されており、使用者の都合で退職を禁止することはできないのです。

退職するということは、退職届であって、退職願ではありません。
労働基準法の規定で、会社が社員を解雇するときは、1カ月以上前に告知することとされていますが、社員が退職するときは、民法で2週間前に通告すればよいとされています。

退職を拒絶されたときは、退職届をFAX送信し、2週間の有給休暇届を送って、出勤しません。
退職にあたり、罰金や賠償金などと賃金の相殺を言われたときは、キッパリと断ります。
損害賠償請求については、請求明細の送付を要求し、納得できないときは、裁判所で争いますと宣言すればいいのです。

私個人の考えでは、会社と社員が法律を楯に火花を散らすのではなく、協議の上、十分な引継ぎを行って、円満退社とすることを目標とすべきです。

①しかし、会社の負担で運転免許を取得したのに、交付された日に退職届けを出して消えた?
②社運を賭けた建物の設計を目的に、設計事務所に雇用された、1級建築士が、その設計を完成させることなく、自己都合で退職し、その設計事務所は、発注元から契約をキャンセルされた?
③会社から高額の費用援助で、海外の大学院に留学、MBAを取得して帰国した途端に退職した?

このように、殺伐とした事件も、現実に発生しており、平和主義ですべてを解決することはできません。

2)社員が損害賠償請求を受けるリスク?

「あんたの採用や教育にかかった費用を返せ?」
「シフトに穴を空けた責任を取れ?」
こんなレベルであれば、法的に根拠のない脅しであり、屈する必要はありません。

しかし、有期契約で雇用されているときは、事業主はやむをえない事情がない限り、契約期間の途中解雇はできませんが、社員も契約期間の途中で正当な理由がなく退職することは許されていません。

契約期間中に、
もっと良い仕事が見つかった?
なんとなく仕事が嫌になった?
など、単なる自己都合で退職するときには、その退職で会社に損害が生じたことについて因果関係が立証されたときには、社員は、会社に対して損害賠償を支払わなければなりません。
妊娠や出産、病気、親族の介護、職場でのいじめなどは、正当な理由となります。
先の②に該当するようなときは、損害賠償請求を受ける確率が高まります。

Q メンタルヘルスと解雇について?

メンタルヘルスとは、心の健康を意味しますが、厚生労働省は、過重労働の強制などによる心の病として、アルコール依存症、うつ病、強迫性障害、摂食障害、双極性障害、統合失調症、薬物依存症、パニック障害・不安障害、PTSD、認知症など10の疾患名をピックアップしています。

多くの企業は、就業規則の普通解雇の要件の1つに、「心身の状態が業務に耐えられないとき、」を記載しており、この就業規則の規定を適用するのであれば、社員を解雇することは容易とも思われるのですが、雇用契約は、社員の生活に直結する問題であり、社員のメンタルヘルスの問題に対する保護が重要視されている現状では、うつ病などにより、社員を直ちに解雇することは困難となっています。

1)うつ病などで、業務に支障が生じている社員を解雇するのに必要な手順

①休職制度を利用しての治療を指示したのか?
うつ病の発症により、仕事に支障が生じているときは、会社は、あなたに休職制度を用いて、治療に必要な期間を与えなければなりません。

②休職期間の終了と復職の判定をしているか?
休職期間を終えた後に、業務に復職できるかどうかは、社員の同意を得て、治療先の主治医や、会社の産業医などから、復職の可否と、復職させる際の注意点、例えば、業務内容の変更、業務内容の緩和、業務時間の短縮などの意見を聴取し、復職が可能かどうかの判定をしなければなりません。

復職が可能と判断されたときは、精神疾患の回復程度に応じ、業務内容や業務時間について緩和措置などの配慮をとらなければなりません。

これらの休職制度の利用や、復職後の業務緩和措置などを行わずに、従業員を解雇したときは、不当解雇として、解雇が無効となる可能性が高くなります。

2)メンタルヘルスによる社員の解雇で裁判所が重視しているのは?

具体的には、以下の事情を考慮しながら、従業員や会社の実情、実態にあわせて、解雇が有効であるか、不当であるかが判断されています。

①会社が社員に、病院に通院するなどの改善点を指摘していたか?
②メンタルヘルスの改善のための機会を社員に提供したのか?
③復職後の仕事の内容・時間の緩和措置などが十分であったか?
④社員に、解雇について、最後通告などの警告を行っていたのか?

3)メンタル問題で、不当解雇を争うには?

うつ病などの精神疾患などを理由とする解雇が不当解雇と判定されたときは、社員は会社に対し、復職請求や、解雇されたら、復職や和解日までの給与の支払いを求めることができます。

①弁護士による会社との交渉
弁護士が会社に処分や解雇の撤回、復職や未払い給与の支払いを話し合いで解決する方法です。

②労働審判
上記の交渉が進まないときは、労働審判を申し立てます。 原則として3回の期日で終了し、その期日内で和解案が提案されて決着しています。

③労働裁判
交渉や労働審判が不調のときは、労働裁判を提訴できます。

解雇無効に伴う労働審判や裁判では、担当弁護士の専門的知識と経験則がモノを言います。
ホームページを盲目的に信用するのではなく、NPO交通事故110番に、0120-716-110電話相談してください。無料で、有能な弁護士を紹介しています。

Q 上司のいじめがひどくてメンタルになった?

メンタルの原因に、長時間過密労働などに続いて、職場環境の悪化が言われています。
2011年の厚労省調査では、320万人がメンタルにかかっていると発表されました。
セクハラは、男女雇用機会均等法で明確に禁止されているのですが、パワハラを直接的に規制する法律は、現在のところ、ありません。
裁判では、民法90条(公序良俗の反する行為)、
民法709条(損害賠償)、
民法715条(事業主の不法行為に対する賠償)、
会社法第350条(株式会社代表者の不法行為)
などが適用されていますが、確たる証拠を示すことが困難で、証明することは極めて難しい内容です。

厚生労働省のパワハラに該当する指針

①暴行・傷害などの身体的な攻撃、
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃、
③隔離・仲間外し・無視など、人間関係からの切り離し、
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求、
⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなどの過小な要求、
⑥私的なことに過度に立ち入ることによる個の侵害、

パワハラを、個人の立場で会社に認めさせるのは、特にメンタルになった人には難しい課題です。

深刻化しているメンタルヘルス問題に対処するため、H26-6には、メンタルヘルス対策の充実、強化を目指し、労働者のストレスチェックを義務化する内容を盛り込んだ、労働安全衛生法の一部改正法案が成立しており、H27-12までに、従業員が50名以上の事業所に対して、ストレスチェックを実施することが義務化されます。

Q 女のくせにと上司から差別されている?

労働基準法第3条は、均等待遇として、使用者は、労働者の国籍、信条または社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取り扱いをしてはならないとしており、同法第4条では、使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならないと男女同一賃金の原則を定めています。

女のくせに? というのは、差別的言動であり、セクハラに該当する卑劣な行為なのです。

男女雇用機会均等法第2条の(基本理念)には、労働者が性別により差別されることなく、また、女性労働者にあっては、母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本理念とすると定めています。
女性が安心して働ける職場をつくるには、職場の労働者が声を上げて、不法な行為や言動を力を合わせてやめさせる必要があります。

5)対処法

あなたが、勧奨退職、解雇、残業代の未払い、メンタルヘルス、いじめ、セクハラ、パワハラなどの問題に直面したときは、会社に意思表示をする前に、NPO交通事故110番に相談してください。
相談で、問題点を整理し、経験則を有する弁護士に引き継ぎます。

引継ぎを受けた弁護士も、争点を整理し、労働審判に向けて証拠の収集を行います。
あなたに寄り添って、証拠を収集するのは、チーム110のスタッフです。
例えば、タイムカードのない職場で、サービス残業が続いているときは、2、3カ月をかけて業務日報の作成を積み上げ、それを証拠とするのです。
タイムカードを打刻してからのサービス残業も、外部の警備会社が日報を残しているかの確認や、確認できないときは、詳細な業務日報を作成、これを積み上げて証拠とします。

争いに勝利するには、ともかく証拠を積み上げることです。
証拠が集積できない状態で、「辞めてやる?」「訴えてやる?」など、感情を爆発させると、会社は、社内に箝口令を敷き、防御態勢に入ります。
そして、あなたが会社に出入りできないとなると、立証どころではなくなってしまうのです。

すべからく、労働問題で会社と対峙するときは、「死んだふり?」 が最大のポイントです。

熊に遭遇して死んだふりをすると、ゆっくり喰われます。

完璧な証拠を収集して争いに勝利し、美酒に酔い痴れたいのであれば、ここは死んだふりで、温厚な社員を演出しなければなりません。

NPO交通事故110番は、早期の相談で、計画を立案し、勝利のサポートを展開しています。

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