脊髄損傷の検討

脊髄損傷も、大変深刻な後遺障害です。とりわけ、上位頚髄損傷の四肢体幹麻痺では、脳は、シッカリと機能しているのに、横断型脊髄損傷で被害者は身体の自由が利かず、日常生活のすべてで介護が必要な状態となります。首を動かすことはできても、人工呼吸器に頼っており、話しをすることもできません。被害者にとっては、生きながらも、地獄の日々が続くのです。
それであっても、損保は、寝たきりの余命は短い? 施設介護で十分である? 介護保険や自動車事故対策機構の公的給付の適用で、被害者は1000円の実費負担で済む? 介護にかかる雑費は、逸失利益でまかなうべき? 寝たきりであるので、生活費控除をすべき? など、裁判の場でも、非人道的な主張を繰り返しています。被害者、ご家族は、損害賠償請求訴訟で勝訴して、これらの損保の非常識に鉄槌を下さなければなりません。

(1)後遺障害の立証

①画像所見が得られている完全型脊髄損傷では、後遺障害の立証作業はありません。
①最初に、ご家族同席で、被害者と面談、現状の問題点を洗い出します。
②転院に備えて、当面の適切な入院治療先を探します。
③5カ月目、ご家族に同行し、市区町村で身体障害者手帳を申請します。
④6カ月目、症状固定として後遺障害診断を受けます。
⑤後遺障害診断書をチェックし、弁護士委任による被害者請求で、等級認定申請を行います。
⑥7カ月目、ご家族に同行し、自動車事故対策機構に介護料を申請します。
⑦損害賠償請求訴訟が完了した段階で、ご家族に同行し、障害年金を申請します。

②不完全型の非骨傷性脊髄損傷では、
①最初に、ご家族同席で、被害者と面談、現状の問題点を洗い出します。
②次ぎに、治療先で医師と面談し、脊髄損傷の画像所見、検査所見などを検証します。
③画像所見が不明なときは、放射線科の専門医から画像鑑定書を取りつけ、補強します。
④検査が不足のときは、追加の検査をお願いします。
⑤現在の治療先で実施できないときは、専門医の治療先に同行し、検査を受けます。
⑥6カ月目で、ドラフトを作成、症状固定として後遺障害診断を受けます。
⑦弁護士委任による被害者請求で、後遺障害等級の申請を行います。

⑧自転車対自転車では、裁判所に後遺障害等級認定を求めます。
⑨個人賠償責任保険による賠償でも、裁判所に後遺障害等級を求めることを原則とします。
⑩異議申立では、先の失敗の原因を探り、治療先を含む、個別的な対応を行います。

(2)弁護士の立証

依頼人の要望を重視しますが、脊髄損傷では、原則として、訴訟による解決を前提としています。

※過失割合では?
これは、重度脊髄損傷に限ったことではありません。
損保は、被害者の過失について、常に多目に主張しています。

①同時刻に事故現場に立ち、交通量、走行車両速度、交通動態から、供述との整合性を検証する。
②検察庁の刑事記録を緻密に分析し、加害者の供述の不審点を炙り出す。
③刑事記録の実況見分調書、交通事故現場見取図、供述調書などを緻密に精査する。
④目撃者証言が必要なときは、事故現場に立て看板などを設置して目撃者情報を呼びかける。
⑤加害者、目撃者の供述に不審があるときは、両者の証人尋問で供述内容を突き崩す。
⑥加害者側のドライブレコーダーであっても、事故発生の前後を徹底的に分析する。
⑦誘導が明白であるときは、警察に、捜査のやり直しを求める。

※休業損害、逸失利益の基礎収入では?
これも重度脊髄損傷に限ったことではありません。
損保は、被害者の基礎収入は、いつでも低く見積もってきます。

①幼児、生徒、学生、専業主婦は、基礎収入を全年齢平均賃金または学歴別平均賃金を適用する。
②30歳未満の被害者についても、全年齢平均賃金または学歴別平均賃金を適用する。
③義務教育を終えるまでの女子については、男女計の全労働者平均賃金を適用する。
④高齢者の主婦では、家事従事の実態を明らかにして全年齢平均賃金の適用とする。
⑤31歳以上で全年齢平賃を下回るときは、勤務先の給与規定から平賃の蓋然性を探る。

⑥高校生であっても、大卒の学歴別平均賃金が適用できるか、その蓋然性を詳しく調査する。
⑦就職が内定しているときは、職業別賃金センサスの適用も視野に入れる。
⑧自営業者では、顧問の税理士に総勘定元帳の作成を依頼し、現実収入を立証する。
⑨会社経営者では、労働対価の部分と寄与率について、税理士を交え、詳細を検証する。
⑩家族や同業者から、就労の実態を陳述書にまとめ、役員の寄与率、労働対価部分の立証を行う。

⑪素因減額に対しては、専門医の意見書で反論する。
⑫修行期間中で平賃を下回るときは、勤務先の協力を求め、独立後の収入を立証する。
⑬就労復帰がなされていても、就労の実態を明らかにして喪失率に見合う逸失利益を請求する。
⑭人身傷害保険、無保険車傷害保険など自動車保険約款の知識と運用を学習しておく。

※介護料では?
介護料は、高次脳機能障害、遷延性意識障害、重度脊髄損傷に共通するものです。
いかに緻密に立証して高額な介護料を獲得するか、弁護士の力量が問われています。

①介護の実態を明らかにし、等級に縛られることなく、将来介護料を請求します。
②加重障害による減額が想定されるときは、被害者請求であっても、医師の意見書を添付します。
③介護に対応できる自宅の改造と必要な介護設備の導入を具体的に提案します。
④家族介護と職業介護の組み合わせで、万全な介護体制を確立します。
⑤主治医、専門医の意見書と家族の陳述書を証拠として介護料の請求を行います。

⑥職業介護と家族介護の併用を原則に考え、いずれでもレスパイトの概念を導入します。
⑦家族介護であっても、介護人が67歳以降は、職業介護人の導入を前提に介護料を請求します。
⑧母親の介護が強制されたときは、憲法の女性の権利を主張して対抗します。
⑨介護保険や障害者自立支援法に基づく公的介護の主張は、正面から排除します。
⑩痙性や大腸の蠕動運動停止などの自律神経障害も丁寧に立証して介護料の請求を行います。

⑪介護の立証では、ビデオ撮影による立証を積極的に取り入れています。
⑫住宅の改造費や新築では、真に介護に必要と考えられるものを緻密に計算して請求します。

※本人の慰謝料、家族の慰謝料、制裁的慰謝料?
重度後遺障害や死亡事案に特有のものです。

①被害者本人と家族の慰謝料を分けて請求する。
②加害者に不実や虚偽が認められるときは、制裁的な慰謝料を請求する。
③加害者が自衛隊車両では、国家賠償請求訴訟を提起して解決する。

損害賠償請求訴訟で勝訴するには、弁護士には、少なくとも、これらのセンスが必要となります。
経験則と交通事故の知識に乏しい弁護士では、無い物ねだりで満足な結果は得られません。

法律事務所で弁護士と相談されるときは、弁護士に対して、本件事故に該当する項目を質問され、どのような立証をされるのかを含めて、弁護士の力量を確認してください。
委任後であっても、上記のチェック項目を反復して検証され、正しい立証作業が実施されているか、見守りをし続けなければなりません。

不信や不安を感じたときは、敷居の低い、NPOジコイチにセカンドオピニオンを求めてください。

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