運転者の操作ミスにより自動車が民家の塀に激突する自損事故が発生しました。
この自動車に同乗中の18歳女子高校生は、第5頚椎の脱臼骨折、頚髄損傷で四肢体幹麻痺となり、首から下の四肢体幹麻痺で1級1号が認定されています。

車の衝突

損保の反論

①自宅介護の必要性を認めない?
②介護日額はせいぜい8000円~1万円で十分?
③介護にかかる雑費は、逸失利益でまかなうか、生活費控除をすべき?
④介護備品の買い替え期間が短すぎる?

弁護士の立証

弁護士は、複数回の被害者および家族との面談で、頚髄損傷により四肢体幹麻痺となった18歳の女子高校生の無念さに対して、どのように向き合って原状回復を実現すべきかを検証しています。

①自宅介護にかける家族の強い信念⇒母親の陳述書
②そのための住宅改造⇒介護室、バリアフリー、水回りを中心とした改造の事実証明と施行費用、
③必要な介護機器⇒主治医の自宅介護の許可と必要な介護機器の意見書、
④将来の介護料については、現在、被害者を介護する母親がいずれ就労する予定があり、職業介護人の導入の必要性、休日である土日には、母親にも介護から離れて休息するための、レスパイト=安息、休暇の必要性があること、将来の介護雑費などについて、1つ1つ、緻密な立証を行い、理不尽とも思われる損保の主張に対して反論しました。

⇒結果、裁判所は損保の主張を退け、2億5700万円、自賠責を含んで総額2億9700万円という高額な和解案を提示しています。
将来の介護料は、1億2600万円、近親者の慰謝料は600万円、和解調整金は2500万円が認定されています。

NPOジコイチのコメント

自宅介護を前提に、介護環境は医師の意見書の通りに完璧に整備されており、損保が主張する自宅介護の否定は簡単に、排除することができました。
問題は、事故受傷から2年を経過していましたが、訴訟時点では、自宅介護の実績はありません。
母親もこの時点では専業主婦であって、就労しておらず、将来の就労を見込んでの職業介護人の導入では、損保も大きく抵抗しています。

これについては、母親の結婚前、結婚後、子どもを出産するまでの職歴とキャリアなどを具体的に立証し、子どもが大学に進学した後は、キャリアを生かした職場に就労復帰する予定であったことを丁寧に立証しており、裁判所は、職業介護人の導入、家族介護のレスパイト、和解調整金として2500万円を認めています。

もう1つ、注意すべきは、自損事故で同乗者が負傷したとき、大半の損保が人身傷害保険対応を押しつけてくることです。昨年の無料相談会では、12例すべてで人身傷害保険対応がなされていました。

同乗者が家族では、対人保険の適用ができないので、やむを得ませんが、友人や知人であれば、対人保険対応が常識的です。損保の支払基準で安く上げる? 意図がミエミエで、実に不愉快です。

被害者がある弁護士に相談したところ、「人身傷害保険であれば、手も足も出せませんね?」 対人保険に請求できることをご存知ない珍回答です。
有能な弁護士に委任され、対人保険金請求訴訟で勝利することを忘れてはなりません。