ひかれた場合の脊髄損傷

交差点で交通指導をしていた70歳男性の指導員に、出合い頭衝突の弾みで歩道に乗り上げた車が衝突したもので、0:100のもらい事故、被害者には、なんの過失も認められないのに、C5頚髄の横断型損傷で、胸から下が麻痺し、1級1号が認定され、車椅子生活を余儀なくされました。

損保の反論

介護費用として、日額1万円のデイサービスを受けているが、介護保険や自動車事故対策機構の介護料などを適用すれば、1000円の実費負担で済むので、介護日額は1000円しか認められない?

弁護士の立証

被害者は、介護保険の適用を受けており、デイサービスの本人負担分は1000円でした。
しかし、弁護士は、国の財政事情が不安定であり、将来にわたって現在水準の公的給付が受けられるかどうか不確定であるので、この先19年間の平均余命期間については、日額1万円で計算されるべきであると反論しています。

⇒裁判所は、弁護士の反論を認め、将来の介護料として日額1万円、総額3700万円を認定しました。

被害者は症状固定時71歳の高齢者でしたが、車椅子用の住宅改造費600万円、介護器具・雑費として500万円、近親者慰謝料を600万円、和解調整金として900万円、総額1億1300万円、自賠責保険金など既払いを差し引いて1億0100万円が認められました。

NPOジコイチのコメント

自動車事故対策機構法に基づき支給される介護料は、被害者の負担軽減を目的とするものであり、損益相殺の対象とされていません。

住宅改造費については、車椅子移動のために床の補強、バリアフリー化、トイレの拡充など、医師の意見書、家族の陳述書で現実の必要性を細かく立証し、無駄のない請求をしています。

排尿・排便障害については、自力でコントロールができないこと、特に排便障害では、腸の蠕動運動が失われており、下剤に頼るとしても、週に1、2回は摘便が必要であることなどを医師の意見書で立証し、高額な介護料認定につなげました。

「ここまで詰めなければならないか?」 裁判所は、弁護士に丁寧な立証を求めています。
当然ながら、被害者や家族も、弁護士の立証活動を熱心にサポートしなければなりません。

※NASVAの支援する介護料

①介護料の支給

1カ月の介護費用として自己負担した額に応じ、受給資格の種別ごとに、次の範囲内で支給されます。
介護費用として自己負担した額が下限額に満たないときは、下限額が支給されます。

種別 月額介護料
最重度 特Ⅰ種 6万8440円~13万6880円
常時要介護 Ⅰ種 5万8570円~10万8000円
随時要介護 Ⅱ種 2万9290円~5万4000円

支払い月は、毎年3、6、9、12月の年4回、各支給月前の3カ月分がまとめて支給されます。

自宅にて介護を受けている方が、
①ホームヘルプサービス
②訪問入浴
③訪問看護
④訪問リハビリ
⑤デイサービス
①~⑤のサービスを受けたときは、サービスを行った事業者ごとの領収書の提出により、介護料の上限額までの範囲内で支給されます。
ただし、親族によるサービス提供は介護料の支給対象とはなりません。

②介護用品の購入

自宅で介護を受けている方が、次の介護用品を購入、レンタルまたは修理(交換)したときは、事業者ごと領収書の提出により、介護料の上限額までの範囲内で支給されます。

介護用品
品目 規格
介護ベッド 本体、サイドレールorサイドサポート、マットレス、介助バーおよび付属テーブル
車椅子 自走式車椅子、電動車椅子および浴用医師などの介助用車椅子および固定ベルト、バックサポート、サイドガード等の補助具
褥瘡予防 水、エア、ゲル、シリコン、ウレタンなどからなるマット類およびクッション並びにカバー・シーツであって、体圧を分散することにより、圧迫部位への圧力を減ずることを目的とするもの、
吸引器 痰吸引器を含む吸引器、吸入器(ネブライザー)
特殊尿器 尿が自動的に吸引されるもので、要介護者または介護者が容易に使用し得るもの
移動用リフト 本体および吊り具、床走行式、固定式または据置式で、身体を吊り上げまたは、体重を支える構造により、自力での移動が困難な者のベッドと車椅子間などの移動を補助する機能を有するもので、取付けに工事を伴うものを除く、
スロープ 段差解消のためのもので、取付けに工事を伴うものを除く、
購入の消耗品 紙おむつ、尿取りパッド、導尿カテーテル、バルーンカテーテル、痰吸引用カテーテル、滅菌ガーゼ、使い捨ての手袋

障害者総合支援法第6条に基づき、市町村の地域生活支援事業として給付を受け、その際に自己負担した金額を請求することはできません。

③支給要件

ⅰ)最重度、特Ⅰ種の要

種別 特Ⅰ種の要件
脳損傷 ①自力移動が不可能である。
②自力摂食が不可能である。
③屎尿失禁状態にある。
④眼球はかろうじて物を追うこともあるが、認識はできない。
⑤声を出しても、意味のある発言はまったく不可能である。
⑥目を開け、手を握れという簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能である。
脊髄損傷 ①自力移動が不可能である。
②自力摂食が不可能である。
③屎尿失禁状態にある。
④人工介添呼吸が必要な状態である。

脳損傷では、遷延性意識障害と確定診断されていること、脊髄損傷では、C/1、2、3、上位頚髄損傷により、自力呼吸ができず、人工呼吸器を使用しているレベルとなります。

ⅱ)常時要介護と随時要介護の要件

種別 後遺障害等級
常時要介護 Ⅰ種 自賠法施行令別表第1 第1級1号、または第1級2号
随時要介護 Ⅱ種 自賠法施行令別表第1 第2級1号、または第2級2号
別表第1 介護を要する後遺障害
第1級 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの。
第2級 1.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。
2.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの。

自損事故であっても、3) ①②に掲げた支給要件を満たすときは、適用されます。

④支給制限

支給対象となる方が、次のいずれかに該当するときは、支給されません。

ⅰ)自動車事故対策機構が設置した療護施設に入院したとき、
ⅱ)法令に基づき重度の障害を持つ者を収容することを目的とした施設に入所したとき、
(特別養護老人ホーム、身体障害者療護施設、重度身体障害者更生援護施設など)
ⅲ)病院または診療所に入院したとき、
ただし、家族による介護の事実があるときは支給されます。
ⅳ)労働者災害補償保険法など他法令の規定による介護補償給付または介護給付を受けたとき、
(国家公務員災害補償法、船員保険法など)
ⅴ)介護保険法の規定による介護給付を受けたとき、
ⅵ)支給対象となる方の主たる生計維持者にかかる前年の合計所得金額が1000万円を超えるときは、その年の9月から翌年8月までの間は支給されません。