脊髄損傷の検討

乗用車が国道の急カーブを進行中、対向車がセンターラインオーバーで衝突し、被害自動車に同乗中の18歳男子高校生は、C4頚椎脱臼骨折などで四肢体幹麻痺となり、1級1号が認定されています。
加害者の女性はこの事故で死亡していますが、任意保険は未加入、無保険でした。

本件の問題点

①被害者の現在症状は、四肢体幹の完全麻痺で、排尿・排便困難を伴う重い後遺障害を残し、日常生活のほぼすべてにおいて他者の介護が必要であり、自律神経失調症状などにより24時間の体調管理が必要な状況でした。

②本件事故の主たる原因は、加害者のセンターオーバーですが、被害自動車の運転手にもスピード違反が認められており、共同不法行為が成立する可能性が予想されました。

③加害者は無保険であり、本件事故で死亡しています。
2台の自動車の自賠責保険に対して共同不法行為の請求を行った後に、加害者と自分の保険の無保険車傷害特約からの支払いを求めて訴訟することとしました。

弁護士の立証

①弁護士は、四肢体幹の完全麻痺で、排尿・排便困難を伴う重い後遺障害であり、かつ、自律神経失調症状などにより24時間の体調管理が必要な介護の大変さを主治医の意見書および家族の陳述書で主張、日額1万8000円、総額1億0700万円の介護料と住宅改造費1000万円を請求しています。

⇒裁判所は、これらの請求の全額を認定しました。

②共同不法行為が認められ、2つの自賠責保険から8100万円が支払われました。
残りは、被害自動車の対人保険に自動担保されている無保険車傷害特約に請求することで、総額2億8100万円の損害賠償額を実現することができました。

NPOジコイチのコメント

脊髄損傷の検討

加害者が無保険であっても、被害者側に任意自動車保険の契約があれば、対人保険に自動担保されている無保険車傷害特約に請求することができます。
2000年5月、交通事故110番のHP立ち上げ以来、無保険車傷害特約を取り上げてきました。
今では、理解が進み、加害者が無保険で、被害者が狼狽えることも少なくなっています。
損J日興、セゾン、セコム、ソニーであれば、保険金は無制限ですから不足はありません。

過失事案で人身傷害保険が絡むと、損保によっては、どちらに先に請求するのか?
弁護士には保険の約款の知識が必要となります。

本件のポイントは、「加害者のセンターラインオーバーであっても、こちらにも速度違反があり、共同不法行為が成立するかも知れない?」 このことに弁護士が着目した点です。
これで2つの自賠責保険から8100万円が回収できたので、無保険車傷害特約としても4000万円を節約することができ、払いやすくなる環境が整ったのです。