20歳男性会社員が、大型自動二輪車を運転して右カーブを曲がろうとした際、中央線をはみ出した状態で停止していた対向普通乗用車を避けようとしてガードレールに激突したもので、C5頚椎脱臼骨折、左下腿骨骨折の傷病名で両下肢の対麻痺となり1級3号が認められています。

警察は、被害者の自損事故と判断しており、自賠責の被害者請求を行うことも難しく、健康保険適用で、治療費の一部を自己負担して療養を続けていました。

損保の反論

①本件は被害者の自損事故であること?
②刑事事件では、不起訴処分とされていること?
③中央線をはみ出した状態で停止しておらず、民事でも過失0、無責であること?

弁護士の立証

①弁護士は、対向車のセンターラインオーバーを立証すべく、裁判所には、目撃者の陳述書や現場のビデオを提出し、目撃者と担当警察官の証人尋問を行っています。

⇒結果、地裁、高裁とも、判決で加害者のセンターオーバーを認め、加害者の過失を認定しています。
被害者の過失については、地裁では被害者側の過失を40%、高裁では30%と認定しました。

②被害者は、家業の米屋の従業員でしたが、将来の職業従事の可能性から、男子高卒全年齢平均賃金を基礎収入とした逸失利益8900万円を請求しています。

③被害者の現在症状は、主治医の意見書で、住宅改造は、改造図面の作成者の詳細な陳述書および、当時の住居のビデオ撮影によって、住宅改造の必要性と改造の内容を詳細に立証、1800万円を請求しています。

④先の主治医の意見書に加えて、家族の陳述書で介護の内容を明らかにし、家族介護と職業介護を平均して日額8000円、平均余命57年間分として5400万円を、車椅子などの福祉機器や介護雑費は、メーカーの耐用年数、現在までの実績をベースとして積み上げ、1500万円を請求しています。

⇒②③④について、高裁は請求額の全額を認定しています。

NPOジコイチのコメント

本件では、損保側は自損事故による無責を主張していました。
被害者も諦めてしまった状態で、健康保険適用で治療費を負担し、療養を続けていたのです。
このまま自損事故で引き下がったときは、加害者の自賠責保険に請求することはできません。

被害者は、人身傷害保険に未加入ですから、自損事故保険のみの回収となります。
医療保険金は、1年間の入院で100万円、
後遺障害保険金は、1級3号で1500万円、
介護費用保険金は、200万円ですから、
車椅子に頼る状態であっても、被害者に支払われるのは、1800万円に過ぎません。
それを決して諦めることなく、立証を続け、無責を30:70に持ち込む大逆転で、30%の過失相殺後であっても、総額1億5400万円の損害賠償を実現したのです。

弁護士なら、誰にでもできることではありません。