19歳男性フリーターが自動車の助手席に同乗中、自損事故により、C6頚髄損傷で腰から下の対麻痺で1級3号が認定されています。

損保の反論

①高校中退でフリーターの逸失利益に全年齢平均を適用することは、著しく妥当性を欠く?
②上肢の機能を残しており、労働能力喪失率は100%ではない?

弁護士の立証

①弁護士は、被害者が事故の直後には工務店に就職することが決まっていたことを知り、就職予定先で、就職試験日や面接日、具体的な仕事の内容などを聴き取り、内定通知書の作成をお願いして提出すると共に、被害者には勤労意欲も認められ、一般的なフリーターではないと主張しています。

⇒結果、地裁は、賃金センサス、男子全年齢平均賃金の567万円を基礎収入として認定しました。

②被害者の頚髄損傷による麻痺は下肢に限定され、上肢が使える状態ではありましたが、自律神経障害や大腸の蠕動運動の停止などで、発熱や下痢の症状をしばしば起こすことが認められ、排尿・排便障害もあって、例え上肢機能が正常であるとしても、継続的に就労することは極めて困難であるとする介護の実態を主治医の意見書と母親の陳述書で立証、労働能力喪失率は100%であることを主張、逸失利益として1億円を請求しています。

将来介護料についても被害者の母親が67歳までは日額6500円、以降は職業介護人の日額1万7000円、総額6600万円を請求しています。

バリアフリーマンションへの買い替え差額については、1838万円の内、600万円を、介護雑費も月額6万5000円の実績を明らかにし、1500万円を請求しています。

⇒上記請求額は、全額が裁判で認められ、総額2億3600円の損害賠償額が実現しました。

NPOジコイチのコメント

脊髄損傷の後遺障害等級は、麻痺の内容と範囲で決まります。

本件の自律神経障害などによる症状は、将来介護の内容に直結するものですが、等級には反映されないのです。しかし、弁護士であれば、ここに着目して、現実問題として労働能力喪失率が100%であることや介護の大変さを立証し、満額の逸失利益と高額の将来介護料を請求しなければなりません。
正に、弁護士としての腕の見せ所なのです。

高校中退、フリーターであれば、若年者を理由として全年齢平均賃金の採用はなされません。
これが適用されるのは、学生と会社員に限られているのです。

脊髄損傷の検討

就職が内定していたとしても、内定通知書だけで立証できるのは、1・2部上場企業に限られます。
地元の零細企業では、直接、弁護士が内定先に出向いて、面接日、紹介した人、具体的な仕事の内容などの詳細な聴き取りを行って、書面を起こさないと、裁判所に心証を与えることはできません。

おむつなどの介護雑費は、訴訟が始まる前の実績で積算して請求しています。
ですから、弁護士は、被害者に対して、事故に関するものはどんな領収書でも必ず保存するように指示し、細かな費目についても、1つ1つ緻密な立証を行う必要があるのです。
大雑把な請求は、裁判においては排除されています。