61歳男性、会社員が原付バイクで信号機のある交差点を右折中、対向直進自動車と出合い頭衝突したもので、遷延意識障害1級1号が認定されています。

損保の反論

①被害者の原付バイクが乱暴な早回りをしたことが事故の原因であり、被告人は、刑事裁判では、無罪であることから、事故の責任はない?
仮に責任があるとしても自賠責保険の4000万円で充当されているので、それ以上は払わない?
②在宅介護は認めない?

弁護士の立証

①刑事記録を精査、弁護士の意見書を添付して自賠責保険に対して被害者請求を実施したところ、自賠責保険は、重過失減額なしで4000万円を振り込んできました。
裁判では、加害者と目撃証人の尋問を行いました。

⇒裁判所は、本件過失割合を60:40と認定しました。

②認めるも認めないも、被害者家族はすでに在宅での介護を始めていました。

裁判で、遷延性意識障害者の自宅介護が認定される3つの要件は、
ⅰ)住環境としては、
自宅が介護に対応できるよう改造され、介護設備が整っていること、
ⅱ)介護環境としては、
介護者のマンパワーが十分、介護技術が熟練、褥瘡など、余病の発生を防止することができること、
ⅲ)医療環境では、
緊急時には、近隣の病院あるいは往診の医師が対応できること、

上記の3つの要件について、家族の陳述書、自宅介護を認める医師の意見書で立証しました。

⇒裁判所は、自宅介護と職業介護人の導入を認定しました。

介護に必要な諸雑費についても、緻密に積み上げて立証、全額が認められています。
刑事裁判で無罪となっても、それが、そのまま民事に適用されることはありません。
自賠責保険の重過失減額は、被害者過失が70%以上でないと適用されないのです。

結論

自賠責4000万円の他、上乗せで3900万円が認められ、計7,900万円で和解できました。
和解調整金は、1500万円が認められています。

NPOジコイチのコメント

刑事裁判で、加害者が無罪、自賠責保険の重過失減額も予想される? 
このような相談を受けると、多くの弁護士は腰が引け、損害賠償の意欲がトーンダウンするのです。
本件の弁護士は、たじろぐことなく、冷静に刑事記録を分析し、自身の意見書を添付して、加害者の自賠責保険に、委任による被害者請求を行っています。
弁護士の意見書ですから、自賠責保険調査事務所も、緊張感を持って対応することになります。
結果、このことが、本件の勝因となりました。