53歳、主婦が自転車で渋滞中の幹線道路を横断中、左から走行してきた乗用車に跳ね飛ばされ、脳挫傷による遷延性意識障害で旧基準1級3号が認定されています。

紛争処理センターで示談の協議を続けていたが、被害者の過失が大であり、損保の和解案は、将来の介護料に踏み込むことなく、自賠責保険の上限を下回る2200万円が提示されていました。
どうしても納得できない被害者の家族は、裁判を決断したのですが、すでに事故から7年が経過しており、時効消滅の問題も浮上していました。

損保の反論

①すでに、時効消滅をしているのではないか?
②自宅介護は無理な状況で認められない?
③被害者には、80%以上の過失が認められる?

弁護士の立証

紛センで示談協議中でしたが、信じられないことに、後遺障害の申請は放置されていました。
そこで、訴訟を提起する前に、自賠責保険に対して被害者請求を行いました。
自賠責保険は、重過失減額を行うことなく、3000万円を振り込んできました。

①紛センでの協議は、損保が、債務の承認していることを意味するものです。
今になって、時効の消滅は、明らかに不当なものであり、弁護士は、損保に対し、このことを社会的に糾弾すると伝えたところ、損保もこれを取り下げたので、提訴に漕ぎ着けました。

②まず、主治医から、自宅介護が可能であるとの報告書を取り付けました。
その上で、進めている介護計画書を提出し、自宅の改造費や職業介護人の必要性を訴えました。
⇒裁判所は、職業介護料日額1万8000円、家族介護日額8000円、住宅改造費700万円についても、全額を認定しました。

解決までの8年が考慮され、遅延損害金と弁護士費用で3270万円が認められ、総額1億0800万円の損害賠償額が実現できました。これは、紛セン提示額の5倍に相当します。

紛センでは、市町村からの福祉費用を賠償金の一部に置き換えるべきとの意見が示されていたが、福祉費用は、賠償金の中に含めないとの判例もあり、その誤りなどを正した結果、被害者過失が60%であったが、今回のような高額賠償につながったものです。

NPOジコイチのコメント

交通事故紛争処理センターで示談協議を行っているのに、損保は時効消滅を主張しています。
そのことも問題ですが、後遺症の申請を放置したまま、7年間も、なにを協議していたのでしょうか?
ともあれ、弁護士が受任し、1級が認定され、訴訟に移行したことで、損保の目論見は、すべてが音を立てて崩れたのです。

市町村から支給される福祉費用は、被害者の負担軽減を目的とするものであり、損益相殺の対象ではなく、加えて、国の財政事情が不安定であり、将来にわたって現在水準の公的給付が受けられるかどうか不確定な要素があります。
これを知らずに、7年間も議論していたのであれば、大問題です。