21歳男性会社員が、交差点において出合い頭衝突したもので、脳挫傷による遷延性意識障害で1級1号が認定されました。
加害者は被害者の赤信号を主張し、被害者の家族はそれを認めない膠着状態が続いていました。
加害者は、自動車保険に加入していない無保険の状態でした。

損保の反論

①双方が赤信号で交差点に進入したと主張しており、過失割合は50:50とすべきである?
②寝たきり状態の平均余命は統計的にも短く、介護期間は10~15年とすべき?

弁護士の立証

①過失事案を前提に、被害者加入の人身傷害保険に先行請求し、減額分を充当しています。
裁判での和解に応じ、損害賠償額は、無保険車障害特約から回収しました。

弁護士は、事故現場に赴き、交通動態や信号状況を確認しています。
その上で、加害者の実況見分調書と供述調書を読み込み、主張の矛盾点を探しだし、証人尋問を行って、本件事故に至る走行経路、その信号状況などを徹底的に追求し、加害者の対面信号が赤であることを立証しました。

⇒裁判所は、加害者の赤信号無視を認め、過失割合は、5:95と認定されました。

②被害者は、症状固定時24歳であり、本来なら、平均余命は55年となります。
そして、近年の判例では、平均余命までの介護期間を認定することが一般化しています。
弁護士は、自分が獲得した判例を含む最近の判例を提出し、損保の主張に反論しました。

⇒裁判所は、平均余命までの55年間について、将来介護費用と逸失利益を認定しました。

結果

総損害額2億7300万円、既払い金を除いて1億4400万円の損害賠償が実現しています。

NPOジコイチのコメント

本件の弁護士が凄いところは、加害者に対する厳しい証人尋問で、事故発生状況を被害者に有利にドンデン返ししていることが多い点です。
その前提として、最初に被害者側の言い分を信用して、刑事記録の分析、事故現場における検証とビデオ撮影、目撃者の発見を呼びかける看板の設置などの努力があることも忘れてはなりません。

多くの弁護士にとって、事故発生状況は、すでに与えられている要件であり、これを被害者に有利にドンデン返しをするなど、実は、あまり考えないものなのです。
被害者側の言い分をあまり信用していないことも、その根底にあります。
しかし、加害者に対する証人尋問は、加害者の嘘を立証できる絶好の場面なのです。
今後は、本件の弁護士を見習って、加害者の証人尋問に力を入れてもらわないと困ります。

余談ですが、私が保険調査員時代、知人が交通事故で死亡しました。
事故原因は、知人の信号無視とされており、私は、加害者に対する証人尋問で、それを突き崩すように求めたのですが、弁護士は、「俺、運転免許持ってないからなあ?」 つぶやいたのです。
もちろん、遺族より解任されました。