68歳専業主婦の女性が、T字交差点直線道路を自転車で左側から右側に横断中に、後方から被告車両の衝突を受け、救急搬送後、同日、治療先で死亡しています。

高齢者の死亡事故に関する無料相談

損保の反論

①本件事故の過失割合は、20:80が相当?
②生活比率は、被扶養者がいないので50%とすべき?

弁護士の立証

①本件の過失割合は、判例タイムズを参考にするなら、基本割合は20:80でした。
しかし、実況見分調書に、速度の矛盾があり、それを質す必要から加害者の証人尋問を行いました。
その結果、加害者に時速30km制限のところ時速70km以上という大幅なスピード超過があったことが判明し、さらに、加害者が、別の刑事事件の判決予定日に、無免許、酒気帯び、時速40km以上のスピード超過で逮捕されている事実を指摘、まったく反省が見られない点を強調しています。

先に実施した事故現場調査では、現場には街灯があり、十分な明るさであったこともビデオ撮影を提出して立証、被害者が65歳の高齢であり、被害者過失は0%であると主張しています。

⇒裁判所は、0:100、被害者過失が0%であることを認めました。

②逸失利益については、被害者が専業主婦であったので、65~68歳女性賃金センサスを基礎として1610万円を算出、これに老齢年金分950万円を加算して2560万円を請求しています。

⇒裁判所は、この全額を認めています。
死亡慰謝料は、加害者の悪質性が勘案され、通常2400万円のところ、3000万円が認定されました。

和解調整金の560万円を含み、6200万円の損害賠償額が認定されています。
68歳の女性の死亡事案で、6200万円の損害賠償額は、極めて高額なものです。

NPOジコイチのコメント

死亡事故では、ほとんどで、被害者の過失割合が争点となります。
であれば、弁護士は、刑事記録の実況見分記録や交通事故現場見取図を分析して、加害者供述の矛盾点を発見することも重要な作業ですが、なにを置いても先に、同一時刻に事故現場に立って、現場の検証をしなければ、見えるものも見えてきません。

現場に立つこともなく、刑事記録の分析もできないでは、加害者を証人尋問などできないからです。
しかし、実は、こんなポンスケ弁護士が多いのです。
遺族は、弁護士委任の後も、弁護士の一挙手一投足を注意深く観察し、不安を感じたときは、直ちに、他の弁護士にセカンドオピニオンを求め、最終的には、解任しなければなりません。
家事従事者であって、老齢年金を受給しているときは、基礎収入は、合算して請求できます。

※年金の逸失利益性

逸失利益とは、被害者が交通事故で死亡しなければ、得られたであろう利益のことで、通常は、所得が利益となりますが、以下の3つの年金収入は、最高裁判例により逸失利益性が認められています。
①退職年金 H5-3-24
②老齢年金 H5-9-21
③障害年金 H11-10-22

ただし、遺族年金 H12-11-14、恩給であって遺族が受給している扶助料 H12-11-14については、最高裁判例により、逸失利益性が否定されています。
参考までに、自賠責保険では、裁判所と異なる基準で積算されています。

属性 基礎収入の基準
有職者 事故前1年間の収入額と年金等の額を合算した額と死亡時の年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
ただし、35歳未満の者については、これらの比較の外、全年齢平均給与額の年相当額とも比較して、いずれか高い額
幼児・児童・生徒・学生・家事従事者 年金等の額と全年齢平均給与額の年相当額のいずれか高い額とする。
ただし、58歳以上の者で年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を下回る場合は、年齢別平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額
その他働く意思
と能力を有する者
年金等の額と年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
ただし、年齢別平均給与額が全年齢平均給与額を上回る場合は、全年齢平均給与額の年相当額と年金等の額のいずれか高い額

ここでいう年金等の受給者とは、各種年金および恩給制度の内、原則として受給権者本人による拠出性のある年金等を現に受給していた者とし、無拠出性の福祉年金や遺族年金は含まれません。