6/30(火)判例66 蓋然性が争われる?

判例67 将来介護料は、公的給付で賄うことができる?
(高次脳機能障害1級1号 2015年 大阪地裁 和解)
 

(1)概要

50歳男性会社員が、道路を歩行中、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)本件事故は、被害者が車道上に飛び出したことによる事故であり、被害者にも35%の過失が認められるべきである。

2)被害者の介護のために利用される職業介護人の費用は、介護保険などの公的給付によって、その殆どが賄われており、実質的には、被害者側に負担が生じていないので、将来介護料について、被害者の請求は、高額に過ぎると思われる。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、事故現場に赴き、現場検証を行った上で、刑事記録を詳細に分析し、被害者に衝突するまで、その存在に気付いていない加害者の前方不注視は、著しい過失であることを立証し、被害者の過失は認めたとしても10%以内に留まるべきであると主張しています。

さらに、警察の捜査段階、また示談協議でも、一切、主張していない、「被害者の飛び出し?」 について、裁判となって突如、持ち出した加害者の供述は、信用することはできないと反論しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と職業介護人の陳述書を証拠として提出し、被害者の介護は、食事、更衣、排泄、入浴などの身体的介護に加えて、高次脳に特有の認知障害、人格変化に伴い、コミュニケーション能力の低下、易怒性、多動といった症状が見受けられ、その介護の肉体的・精神的負担は極めて重いことから、近親者・職業介護人併用期間につき日額1万2000円、職業介護人利用期間につき日額2万円、総額8090万円の将来介護料を請求しています。

3)⇒損保の主張する介護保険などの公的給付については、国の財政事情が逼迫しており、平均余命までの長期間にわたって制度が存続するかどうかが不確定であり、これらの不安定な制度を前提として、将来の介護料を議論することは失当であると、強く、反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、本件事故の過失割合について、弁護士の主張の通り、10:90としました。

2)⇒裁判所は、被害者の在宅介護が極めて重度であること、家族の就労状況から職業介護人の併用が必要であることを認め、弁護士の立証、主張通り、妻が67歳になるまでは、日額1万2000円、67歳以降は、日額2万円、合計8090万円の将来介護料と介護住宅改造費についても、弁護士の請求通り、600万円を認めました。

3)調整金2230万円を含み、和解額は2億円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億4000万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、障害者総合支援法です。

2014-4-1の法改正により、対象となる疾病が359に拡大され、介護給付も充実したものになりました。
もちろん、高次脳機能障害も対象となる疾病に含まれています。
介護給付では、①~⑤のサービスが用意されています。

①居宅介護
自宅で食事・排泄・入浴の介護、調理・洗濯・掃除の援助のほか、通院の介助を行います。
②重度訪問介護
重度障害で、常時介護では、居宅介護や見守り支援、外出時の移動の介護を総合的に行います。
③行動援護
知的障害や精神障害により介護が必要では、外出時の移動の介護を行います。
④同行援護
視覚障害により移動が困難では、外出時の移動の介護や外出先での必要な情報支援(代筆・代読)を行います。
⑤短期入所=ショートステイ
家で介護をされる方が病気などでは、短期間、施設へ入所できます。

被害者の費用負担は、所得区分が設定されていますが、最大で月額3万7200円です。
このことから、損保は、特に、自宅介護における職業介護人の導入では、「公的介護制度を適用すれば、月額4万円の介護料で足りる?」 敵意剥き出しの反論をしてくるのです。

さらに、「今後、日本は高齢化が進み、寝たきり者の数も増大していくことが予想され、職業介護人の増加など介護ビジネスの成長も見込まれ、高齢化社会に移行することで、介護保険制度も充実し、廉価で広範な介護サービスを受けられる可能性が高い?」

「介護技術や介護用品の発達も見込まれ、将来的には介護労働が、現在よりもかなり逓減されることが予想される?」 などのもっともらしい屁理屈も並べ立ててくるのです。

これらに対する弁護士の反論は、
①本件訴訟で求めている被害者のための介護体制は、その被害者のためのオーダーメイドであり、公的扶助だけで、それらは決して、実現できないこと、

②さらに、公的扶助は、被害者に対する福祉を目的とするもので損益相殺の対象ではないこと、

③公的介護制度では、介護人を固定、特定することが困難であり、家族が就労し、被害者が1人で自宅にいるとき、マスコミでも取り上げられている不測の事態が生じたときは、誰が責任を持つのか、

④国の財政事情が不安定であり、将来にわたり、現在水準の公的給付の受給は不確定であること、

2)弁護士は、被害者家族が在宅介護を希望していることから、経験則を有する建築設計事務所に意見を求め、自宅を改修し、在宅介護を開始してから訴訟を提起しています。

3)本件では、他の弁護士が受任して示談交渉を進め、総額1億円で示談が成立する流れとなっていましたが、これに納得することのできない被害者家族が、セカンドオピニオンを求め、本件の弁護士に相談し、弁護士が途中で交代となった経緯があります。
交代により、1億円の損害賠償金が、2億4000万円に跳ね上がったのです。

高次脳機能障害、遷延性意識障害など重度後遺障害事案では、被害者と、その家族の残りの人生すべてが、弁護士に付託されており、弁護士の立証により、その結果が左右されるのです。
依頼した弁護士の主張の甘さと立証不足は、取り返しのつかない命取りとなるのです。

 

 
ジョーク物忘れ?

言ったことは忘れ、言おうとしたことまで忘れ、忘れたことも忘れました。
(綾小路 きみまろ)

 

6/29(月)判例66 蓋然性が争われる?

判例66 蓋然性が争われる?
(高次脳機能障害1級1号 2015年 京都地裁 和解)
 

(1)概要
73歳兼業主婦が自転車で直進中、駐車場から道路内に進入してきた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害として1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者が症状固定後も入院を継続していたこと、家族らが自宅介護に対して否定的な見解を示していたことなどを重視し、在宅介護の蓋然性を争い、施設介護を前提として将来介護料は日額3000円程度が妥当であり、また住宅改造費では、詳細項目についてその必要性・相当性を争うとしています。

2)逸失利益についても被害者主張の年齢別平均賃金を基礎収入としている点を争うとしています。

3)本件は駐車場から路外に出たという事案ではなく、実質的には交差点内の出合い頭衝突の事案と同視すべきであるなどと主張して過失相殺を求めています。

(3)弁護士の立証

1)⇒弁護士は、すでに、住宅の改造を終えて、10カ月以上、在宅介護が継続されている実績があること、在宅介護に移行することで、健康状態が改善しており、被害者にとっては在宅介護が望ましいとの主治医の意見書を提出し、損保の施設介護の主張を封じ込めました。
具体的な介護の内容については、家族の陳述書を証拠として提出し、在宅介護を前提として、介護日額1万円、3100万円を、併せて、介護用品・介護雑費として600万円を請求しています。

2)⇒弁護士は、障害者の住宅改造で実績のある建築設計事務所に意見書と見積書の作成を依頼、それらを証拠として提出し、住宅改造の各項目について、その必要性・相当性を立証し、改造費用として800万円を請求しています。

3)⇒弁護士は、被害者は、シルバー人材センターに登録し、長期間、清掃の仕事を継続しながら、主婦として家事をこなしていたことを休業損害証明書などで立証し、本件の逸失利益としては、年齢別平均賃金を基礎収入とすべきとして1700万円を請求しています。

4)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、現場検証を行った上で、刑事記録を詳細に検証し、加害者に、重大な前方不注視があったことを立証し、0:100を主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、在宅介護の是非、将来介護料、そして介護住宅改造費について、弁護士の請求通り、在宅介護を認め、損保の主張する介護日額3000円を斥け、在宅介護を前提に日額1万円の将来介護費用と、800万円以上の住宅改造費を認定しています。

2)⇒裁判所は、被害者がシルバー人材センターに登録し、長期にわたり清掃業に従事していたことを評価し、年齢別平均賃金を基礎収入として、1700万円を認定しています。

3)⇒裁判所は、被害者の過失は0%であることを認めました。

4)調整金1350万円を含み、和解額は7800万円ですが、自賠責保険金3500万円を加え、1億1300万円、73歳の高齢女性としては、非常に高額な損害賠償金が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、在宅介護、必要な介護住宅への改造と将来介護料、高齢者の逸失利益の基礎収入から、本件事故の過失割合に至るまでのすべてにおいて、手を抜くことなく、丹念な立証がなされたことです。

2)在宅介護では、費用が高額になるところから、訴訟となると、損保は、激しく争ってきます。 裁判所としても、将来の費用請求であり、在宅介護費用や住宅改造費の請求では、在宅介護継続の蓋然性がなければ、賠償としては認めません。
この場合の蓋然性とは、単なる可能性よりも、より、現実となる見通しが強い状態とされています。
本件でも損保は、症状固定後、しばらくの間、在宅ではなく、入院加療を継続していたこと、家族が在宅介護は難しいと発言していたことなどを執拗に指摘し、争ってきたのですが、すでに10カ月前から在宅介護へと移行しており、この間、家族がしっかりと介護を継続している実績を立証したことで、損保の主張は、排斥されることとなりました。

3)もう1つ、高齢者の主婦では、逸失利益の基礎となる収入について、年齢別平均賃金を下回る金額が認定されることがあります。
本件では、長期間、清掃業務に従事していたことを立証し、これらを主婦の家事労働分と合わせて主張することで、高齢者としては相当高額な1700万円の逸失利益が認められました。

※蓋然性とは?

単なる可能性よりも、現実性があることを意味しています。
可能性は、そうなることの確実性が高いときにも、低いときにも用いられます。
可能性がある、なし、だけでなく、可能性が高い、低いという表現も可能です。
それに対して、蓋然とは、必然と偶然の中間に位置しており、蓋然性とは、おそらく、そうなるであろうと予測されるときに、用いる言葉で、あるか、ないか、だけで判断されています。

したがって、将来の介護料の蓋然性を立証するには、主治医の意見書、家族の陳述書などで、現実の介護がどのようなレベルであるかを具体的に立証した上で、この介護態勢を維持するために必要となる費用を明らかにして請求しなければなりません。
蓋然性の立証は、経験則に乏しい弁護士では、困難です。

 

 
ジョークいつもと違う雰囲気で?
ショートカット暦が、長い私。
同じ髪型にも、そろそろ飽きてきたので、担当の美容師に
「いつもと違う雰囲気でお願いします。」と言った。

美川憲一の髪型になっていた。 泣いた。

 

6/26(金)判例65 損保顧問医の意見書が排斥?

判例65 損保顧問医の意見書が排斥?
(高次脳機能障害7級4号 併合6級 2015年 東京地裁 和解)
 
(1)概要

36歳の主婦が、自転車で交差点を横断中、左折自動車に巻き込まれたもので、高次脳機能障害7級4号、耳鳴り12級相当、嗅覚障害12級相当、併合6級が認定されています。

(2)損保の反論
保険会社の顧問医の意見書を提出し、
①画像所見上の脳損傷の程度が軽微であること、
②受傷当初の意識障害の程度も軽度であること、
③各種神経心理学的検査結果が正常であること、
被害者の高次脳機能障害は、9級10号に該当すると主張しています。

(3)弁護士の立証
⇒弁護士は、主治医の意見書、初診入院先のカルテ、後遺障害診断書、神経系統の障害に関する医学的所見、家族の陳述書などを証拠として提出し、損保側の顧問医の意見書に反論しています。
画像所見については、脳神経外科の主治医の意見書で、受傷直後の意識障害については、カルテの看護記録などから、健忘を含む軽度な意識障害状態が、10日間継続していたことを立証し、神経心理学テストで証明できない、社会的行動障害については、
①意欲の低下と易疲労性、
②情動障害である易怒性
③意思の疎通がうまくできない対人関係、
④子どもっぽくなり、なんでも人に頼る気持ちが強くなり、羞恥心が欠如する依存、
⑤融通が利かず、こだわりが強く、必要のないものを大量に購入するなどの固執
家族や知人の陳述書で、日常生活でのエピソードとして立証し、9級10号が相当とする顧問医の意見書が失当であると反論、被害者の高次脳は、自賠責保険調査事務所が認定した7級4号が相当であると反論し、調整金を含み5300万円を請求しました。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、高次脳機能障害の等級を争う損保側の主張には理由がないとして排斥し、自賠責認定の通り、被害者の高次脳機能障害は7級4号に該当するとしました。

2)⇒裁判所は、その上で、被害者の請求額は妥当なものであるから、逸失利益などについて、すべて、これを認めるとしました。

3)調整金985万円を含み和解金は、5300万円ですが、自賠責保険金1296万円を加え、6590万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例も、特筆すべきピンポイントはありません。
損保からは、顧問医の意見書が提出され、一方的な主張が展開されています。
その内容は、高度に医学的なものですが、被害者を診察しないで、粗探しをしているのですから、当の被害者には、どうしてもマッチングしていないのです。
本件の弁護士は、そのポイントを、実際に診察、診断している主治医、専門医の意見書、実際に生活を共にしている家族の陳述書で、チクチクと針を刺すように切り崩していきます。
当然に、裁判所の心証は、被害者側弁護士の立証に傾くのです。

役にも立たない顧問医の意見書に、多額の費用を負担し、結果として裁判を長期化させるのは、実にナンセンスなことですが、このレベルの意見書に、シテヤラレル弁護士も、ソコソコ存在しているので、損保としても、止められない、やめられないのです。
やはり、弁護士選びが重要となります。

 

 
ジョークダイソン?
中学のとき、大村君が、音読みでダイソンって呼ばれ、それが元となって、梅村君はバイソン、若村君はジャクソン、下村君はアンダーソン、みんな、かっこいいニックネームだったのに、津村君だけは、バスロマンと呼ばれていた。

株式会社ツムラは、バスクリンで、バスロマンは、アース製薬なのに?

 

6/25(木)判例64 和解案が提示されても、追加立証で増額を求める?

判例64 和解案が提示されても、追加立証で増額を求める?
(高次脳機能障害5級2号 併合3級 2015年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
28歳、兼業主婦が、停車のタクシーに乗り込もうとしたところ、後方から直進中の貨物自動車は、この発見が遅れ、慌てて急制動した結果、スリップして歩道に乗り上げ、歩道に避難した被害者を跳ね飛ばしたもので、高次脳機能障害5級2号、外貌醜状7級12号、両眼半盲9級3号、耳鳴り12級相当、併合3級が認定されています。

(2)損保の反論
1)タクシーの運転手が、急にタクシー待ちの被害者を乗車させるために進路変更をしたこと、被害者もタクシー待ちのために車道に出ていたことなどを指摘し、10%の過失相殺を行うべきである。

2)実際に、ウエイトレスとして仕事ができていることや、医療記録の記載を指摘して労働能力喪失率について争うとしています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、過失割合について、刑事記録を分析し、
①実況見分記録では、加害者から見て、明らかにタクシー待ちである状況が分かること
②本件事故の原因は、もっぱら加害者の前方不注視にあること、
③さらに、危険な急制動により、歩道に乗り上げたこと、
④歩道に退避した被害者に衝突したこと、
以上を指摘し、被害者には、見るべき過失がないと主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、
①被害者が抱えているコミュニケーション能力の低下、家事・育児への消極性であること、
②事故前後の比較で明らかに収入が低下していること、
③被害者はレストランでウエイトレスとして接客していたが、外貌醜状により継続を断念したこと、
などを立証し、労働能力喪失率は、90%を下らないと主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の主張を認め、加害者の過失割合を100%と認定しました。

2)⇒裁判所は、当初の和解案で労働能力喪失率を70%としていたのですが、弁護士からの追加立証で、85%に訂正し、逸失利益は、4090万円、慰謝料も増額され、2020万円が認められました。

3)調整金2030万円を含み、和解額は5500万円ですが、自賠責保険金1570万円を加えて、7070万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント

1)本判例のピンポイントは、和解案が提示されても、追加立証で増額を求めることにあります。
一般的には、和解案が示されると、急いで被害者の説得にまわる弁護士が多いのですが、すべての裁判官が、交通事故賠償に精通し、揺るぎない事実認定や評価をしているのではありません。
納得できないときは、追加的な証拠を提出し、粘り強く増額を求めていく、しつこさが求められます。

2)高次脳の被害者であっても、5、7、9級では、多くが就労復帰しています。
こんなとき、損保は、現実に働いているということを強く主張してくるのですが、そうであっても、なんらの支障もなく仕事ができているのではありません。
自身で大きな不便を感じており、相当部分で、同僚や上司の理解やサポートを受けていることが認められます。
したがって、弁護士は、実際に支障を感じている被害者ご本人、家族、あるいは職場の同僚や上司から詳細な事情を聴取することで、裁判所の適正な認定を受けることができます。

3)外貌醜状は、その見た目、仕事の内容によっては労働能力喪失率を認めるべき障害ですから、この点についても丁寧な立証が必要となります。

 

 
ジョーク立ち食いそば?

今日で定年退職を迎えた初老の男が、駅前の立ち食いそば屋で、一杯のそばを食べている。
海老の天ぷらが一尾、一杯、500円のそばだ。
男は、30年も前から、ほぼ毎日、昼休み、この店に通っているが、一度も店員とは話したことがない。
当然、話す理由などもないのだが、今日、男は、自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけた。
「おやじ、今日、俺、退職するんだ。」 「へぇ・・・、そうかい。」 会話は、それで途切れた。
他に話題があるわけでもなく、男の退職は、今日が、店を訪れる最後の日であることを表していた。
すると突然、男のどんぶりの上に海老の天ぷらがもう一尾乗せられた。
「おやじ、いいのか?」
「なーに、気にすんなって!」
男は、泣きながら、そばをたいらげ、些細な人の暖かみに触れただけだが、涙が止まらなくなった。
男は退職してからも、この店に通おうと、心に決めた。
男は財布から500円玉を取り出して、「おやじ、勘定!」
「あい、800円!」

 

6/24(水)判例63 損保のやる気が感じられない?

判例63 損保のやる気が感じられない?
(高次脳機能障害3級3号 併合2級 2015年 さいたま地裁 和解)
 

(1)概要
信号機の設置されている交差点の横断歩道を青色で横断歩行していた17歳、高校2年生の女性に交差道路を直進中の加害自動車が跳ね飛ばしたもので、被害者には、高次脳機能障害3級3号、両目半盲で9級3号、併合2級が認定されています。

(2)損保の反論
被害者の高次脳機能障害は3級3号であり、自賠法上は、介護を要さないとされる等級であるから将来の介護料は、これを認めるとしても日額3000円以内であるべきである。

(3)弁護士の立証
⇒弁護士は、主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の日常生活における支障と介護の必要性を丁寧に立証しています。
過去に、本件弁護士が獲得した判例を示し、自賠責保険の後遺障害等級が3級以下であっても、具体的な障害の内容・程度によって適切な介護料が賠償されるべきことを指摘し、日額4000円、4900万円の将来介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の請求通り、日額4000円の将来介護費用を認めました。

2)調整金3900万円を含み、和解額は1億5000万円ですが、自賠責保険金2600万円を加えると、1億7600万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例では、学習すべきピンポイントはなく、逆に、損保側のやる気のなさが目立ちます。

信号機が青色で、横断歩行中であれば、0:100、どんなにこじつけても過失で争うことはできません。
損保としては、白旗を上げたいのですが、屁理屈をこねて、介護料を値切ってきた!そんな印象です。

損保が指摘する通り、自賠責保険では、介護の要否により1・2級と3級以下が区分けされていますが、現実には、3級3号、5級2号であっても、家族や職業介護人によって見守りや声掛け、指示、促しが必要な被害者がたくさん存在しています。
そして、これらの被害者に将来の介護費用を認めた判例がすでに、数多く集積しています。 弁護士は、被害者の日常生活での障害を丹念に立証し、将来介護料を請求、裁判所も、これを評価して、請求通りの将来介護料などを認定し、幕は下りたのです。

JAは、初回で白旗を上げ、和解に持ち込むことがあり、NPOジコイチでも、複数回経験しています。
これなら、被害者にとっては、訴訟期間の短縮となり、共済にとっては、調整金の節約につながります。
言ってみれば、敵前逃亡ですが、両者にとって、意味のある大人の解決です。
本件では、損保は、塹壕の中に閉じこもり、威嚇射撃を行ったのみで、降参しています。
調整金は3900万円もふんだくられ、踏んだり蹴ったりの負け戦で、キャンです。
それなら、JAを見習うべきです。

 

 
ジョーク生きた牛の肉?

今朝、電車で乗り合わせた女子中学生が、
「生ユッケで人が死んだ焼肉店ってさー、死んだ牛の肉出してたらしいよーヤバくね?」
「マジ、それありえなーい!」
わけ分からん会話してた?

 

6/23(火)判例62 看視、声掛けなど見守りを中心とした介護の評価?

判例62 看視、声掛けなど見守りを中心とした介護の評価?
(高次脳機能障害3級3号 併合1級 2015年 さいたま地裁 和解)
 

(1)概要

19歳、男性アルバイトが、原付バイクで、信号機の設置された交差点を直進中、左方から直進してきた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害で3級3号、併合1級が認定されています。

(2)損保の反論
1)バイクの破損状況から、事故当時の被害者バイクの速度は時速40kmを下回らない。
そして、被害者側の信号は押しボタン式で、ボタンを押してから10m足らずで原付バイクが時速40kmまで加速できることはあり得ないことから、被害者は、ボタンを押さずに赤信号で進入している。
青信号に従って進行していた当方に過失はなく、賠償責任は認められない。

2)事故当時、被害者の年収は100万円にも満たず、平均賃金の半分にもおよばない。
したがって、平均賃金を基礎収入として逸失利益を認めることはできない。

3)被害者の介護は、身体的介護を伴わず、声掛け、見守りにとどまるものであるから、将来介護料は日額3000円が相当である。

(3)弁護士の立証
当初は、他の弁護士が委任を受けていましたが、被害者が赤信号であるとの損保側の主張を鵜呑みにするテイタラクで、なんの立証もすることなく、訴訟の提起前に匙を投げたのです。
呆れ果てた両親が、弁護士を解任し、新たに、本件の弁護士が委任を受けたものです。

1)⇒弁護士は、事故現場の検証を行い、刑事記録の詳細な分析と工学鑑定により、被害者バイクの速度や加害自動車のライト視認状況について立証し、被害者の過失は認めたとしても30%以下であると主張しました。

2)⇒弁護士は、被害者はまだ19歳の若年であり、将来の可能性を考慮するのであれば、逸失利益の算定に当たっては、全年齢平均賃金の526万円を基礎収入とすべきであると主張し、総額9400万円の逸失利益を請求しています。

3)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、高次脳では、一見すると身体的介護が必要な場面が少なく、介護の労力を過小評価されがちであるものの、判断力低下や感情コントロールの低下は、いつ、どこで、問題につながるか、不明瞭であり、看視、声掛けなどで、見守りをする家族の精神的・身体的負担は一般的な介護の負担に匹敵するものと考えられるとし、日額1万円、総額で6890万円の将来の介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、被害者が、意識回復後一貫して青信号だったと述べていること、夜間で、被害者から加害自動車のライトの存在は容易に認識可能であったことなどを考慮すれば、被害者が赤信号で進入したものと認定することはできないとして、被害者の過失を30%と認定しています。

2)⇒裁判所は、若年労働者であった被害者の将来の可能性に鑑みれば、全年齢平均賃金526万円を基礎収入とするのを相当であるとしました。

3)⇒裁判所は、見守り・看視という高次脳特有の介護について、身体的介護にも勝るとも劣らぬ負担が伴うことを認め、日額1万円、6890万円の将来介護料を認めました。

4)当初、相談の弁護士よりは、自賠責保険の2590万円で諦めるべきと言われていたのですが、調整金2000万円を含む和解額は1億3000万円ですが、自賠責保険金2590万円を加えると、1億5590万円の損害賠償額が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
身体的障害のない高次脳では、すべての損保は、声掛け、見守りにとどまるものであると軽視し、将来の介護料は、日額2、3000円もあれば、足りると主張してきます。
本判例のピンポイントは、地味ですが、看視、声掛けなどの見守りを中心とした介護について、主治医の意見書と家族の陳述書で丁寧に立証し、家族の精神的、身体的負担は、一般的な介護の負担に匹敵するものと証明したところにあります。

注意障害、記憶障害、遂行機能障害、失語症、失行、失認などは、神経心理学的検査の裏付けで、エピソードを説明することができますが、性格変化、情動障害に伴う社会的行動障害は、神経心理学検査で100%カバーすることができません。
したがって、意欲の低下、易怒性、依存、固執、易疲労性、抑うつなどは、家族の陳述書で明らかにしなければなりません。
家族以外にも、職場の同僚や上司に協力を依頼して、陳述書を完成させる努力も必要となります。また、被害者が子どもでは、担任教諭に陳述書の作成をお願いしています。
健常者の子どもを交えて遊ばせ、それをこっそりリビデオ撮影することで、これらの障害を確認することができます。すべての障害を見逃すことなく、陳述書やビデオ撮影を駆使して、丹念に立証していかなければなりません。

余談ですが、被害者の家族は、敵前逃亡した弁護士から、540万円の弁護士費用を請求され、すでに支払っていたのです。あまりにも不当ということで、後任の弁護士が、弁護士費用の返還請求をサポート、結果、300万円が返還されています。
常識的には、520万円が返還されるべきです?

 

 
ジョークアンケート

小6のとき、クラスに皆から嫌われていた女の子がいた。
3学期、卒業文集に掲載するアンケートがあって、幾つかの質問の中に、「クラスで一番可愛い女の子は?」 というのがあって、ほぼ全員が、その女の子の名前を書いた。
皆のアンケート用紙を見た先生は怒ってこう言った。
「みんなは、本当に可愛いと思って書いているのか!」
この一言って、酷くネー?

 

6/22(月)判例61 アスペルガー症候群が素因減額の対象に?

判例61 アスペルガー症候群が素因減額の対象に?
(高次脳機能障害3級3号 2015年 千葉地裁 和解)
 

(1)概要

8歳、小学校3年の男児が、横断歩道を横断歩行中、交差道路を時速40kmで直進してきた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害として3級3号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故前から、性格変化やアスペルガー症候群の既往歴があり、これらの症状と同種の症状が事故後でも確認されていることから、影響を与えているとして20~30%の素因減額をすべきである。

2)声掛けが必要な場面は限定的であり、将来介護費用は日額2500円を超えることはない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、損保が、素因減額が認められる要件を立証していないことを指摘した上で、アスペルガー症候群について、心療内科医の意見書、幼稚園教諭、小学校の担任教諭、家族の陳述書を証拠として提出、幼稚園入園前には、問題行動は相当程度、改善されており、小学校の入学当初では、補助の必要はないと教諭から指摘されていたことなどを詳細に立証しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、診療録、家族と小学校担任の陳述書を証拠として提出、
男児に生じている具体的な障害の状況を詳細に立証し、声掛けや、見守りといった看視的介護の労力が相当重たいことを主張しています。
その上で、将来の介護料として日額5000円、母親が67歳以降は日額1万円、総額4900万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、素因減額がなされることで利益を得る損保側が立証責任を果たしていないとして、その主張を排斥し、アスペルガー症候群を素因とした減額を否定しました。

2)⇒裁判所は、将来の介護料について、損保の主張する日額2500円を根拠に乏しいと排斥し、看視的介護の労力が相当に重たいことを認め、和解案で、介護料は日額5000円、母親が67歳以降は、職業介護人の導入により、日額1万円、総額4900万円を認定しました。

3)将来の介護費用4900万円、近親者慰謝料470万円、
調整金2310万円を含み、和解額は1億4700万円ですが、自賠責保険金2200万円を加えると、1億6920万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、損保のアスペルガー症候群による素因減額の反論を封じ込めたことです。 本件では、確かに、被害者には、アスペルガー症候群の既往症がありましたが、損保側は、おそらくカルテから既往歴を注視したものと予想していますが、現在症状が類似していることを指摘するのみで、素因減額の要件を立証していません。しかし、立証できていないことを声高に叫ぶだけでは、素因減額の主張を排斥することはできません。

本件の弁護士は、心療内科医の意見書、幼稚園教諭、小学校の担任教諭、家族の陳述書で、小学校の入学当初では、補助の必要はないと教諭から指摘されていたことなどを詳細に立証しています。

これらの反論ができないことで、素因減額に至った判例も少なからずあるのです。
弁護士選びの重要性を感じ取ってください。

※素因減額について?
1)立証するのは誰?
基本的に、素因減額がなされることで利益を得る者に、立証責任が課せられるところから、損保側が立証責任を負うこととなります。

2)立証する内容、要件は?
①被害者の身体的・体質的な素因が、単なる身体的特徴にとどまらず、疾患に該当すること
②交通事故とその疾患とが、共に原因となって、損害が発生したこと
③その疾患による損害賠償額の減額をしないと、公平に反すること

上記は、身体的素因について説明していますが、精神的素因、心因的素因についても、その損害がその交通事故のみにより通常発生する程度・範囲を超えるものであって、かつ、その損害の拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときには、素因減額を認めるとされています。

相手損保から、素因減額が持ち出されたときは、怖じ気づく、怯むことなく、冷静に、上記の内容の立証がきちんとなされているかどうか、精査して、見極めなければなりません。
なぜなら、立証できなければ、素因減額は認められないからです。

※アスペルガー症候群
(1)概要
アスペルガー症候群は、広い意味での自閉症に含まれる1つのタイプです。
自閉症では、知的障害や言語発達に遅れを伴うことがあるのですが、アスペルガー症候群では、それらはありません。知的レベルが正常で、言葉の発達に遅れはないので、一見すれば、少し変わった人程度と認識されていることが多いのですが、成長と共に、対人関係の不器用さがはっきりすることが特徴です。

(2)原因
アスペルガー症候群については、これまでのところ確実に断定できる原因が発見されておらず、先天的な脳の機能異常により引き起こされていると推定されていますが、発症の原因となる遺伝子も特定されていません。
そして、アスペルガー症候群では親の育て方、虐待、愛情不足などは原因とされていません。

(3)症状
アスペルガー症候群では、以下の3つを特徴とする症状が出現します。

1)他の人との社会関係を持つこと
アスペルガー症候群では、一見すると、他人に興味がないように見えますが、本当に興味がないのではなく、どうやって他人と関わっていくのか、その方法が分からない状況であるとされています。 アスペルガー症候群では、大勢の中で、浮いてしまうことが多く、幼児期には一人遊びが中心となりますが、他人にリードされること、自分より年齢が小さい子をリードすることは、できることもあります。

2)コミュニケーションをすること
アスペルガー症候群では、場所や年齢にそぐわない言葉遣いをします。
また、年齢相応の羞恥心や常識についての理解が乏しいこともあり、オブラートに包んだ表現をすることが苦手で、本人に悪気があるわけではなく、思ったことを正直にいう傾向があります。 しかしこうした行動は、他人には伝わらないこともあり、対人関係に障害をもたらすことがあります。

3)想像力と創造性
アスペルガー症候群では、興味や活動の仕方に偏りがあります。
学問では、例えば、数学やコンピュータープログラミングなどには、驚くべき成果を達成することもありますが、こうした傾向は、必ずしも社会的な意味を持つものばかりではなく、例えば、バスのルートや時刻表を詳細まで記憶していることがあり、こうした情報は、アスペルガー症候群の患者にとっては、とても興味深いものであるため、他人と情報を共有しようとし、話題を変えることを嫌がることもあります。
結果、友人関係において、話が面白くない、話題がつまらないなどの評価を受けることもあります。

アスペルガー症候群では、これら3つの症状があることから人間関係の構築に問題をきたすことがあり、学校生活や会社での環境において孤立することがあります。
また、自分の気持ちが周囲に伝わらないことで、引き籠もりになることや、うつ病を発症したりすることもあります。

(4)検査・診断
アスペルガー症候群は、3つの主要症状がないかを基礎として診断されています。
そのため、普段の日常生活の様子、発達歴、既往歴、神経学的な身体所見などを、詳細に検証することから始まります。

(5)治療
各都道府県や政令市に設置されている発達障害者支援センターで相談し、精神科、心療内科、メンタルクリニックの紹介を受けることをお勧めします。
治療は、カウンセリングや精神療法が主体ですが、
他人から誤解され、疎外感や無力感からうつ病や適応障害などの精神疾患を発症していることがあり、薬物療法は、これらの二次障害に対する対症療法として用いられます。
抗うつ剤や抗精神病薬、睡眠導入剤や気分安定薬、抗てんかん薬などの使用が検討されます。

(6)アスペルガー症候群の有名人
素人参加番組から有名人になったスーザン・ボイル、トム・クルーズ、キアヌ・リーブス、ウィル・スミス、 他にも、映画監督のスティーブン・スピルバーグ、セレブのパリス・ヒルトンなどが、アスペルガー症候群であることを公表しています。
日本では、東京海洋大客員助教授・さかなクンが公表しています。

エジソン、アインシュタイン、スティーブ・ジョブス、ベートーベン、ゴッホ、ケネディ大統領、ウォルト・ディズニー、織田信長、坂本龍馬なども、残されている文献から、アスペルガー症候群が疑われています。

治療により、症状が改善し、活躍している人も沢山います。
深刻に考えることなく、適切な治療を続けて、改善を目指してください。

 

 
ジョーク設備投資?
職場の会議で、老朽化などで交換してほしい会社の設備は? と質問されたので、

「お局化している女子社員!」 と言ったら、部長に真顔で怒られた。

 

6/19(金)判例 60 高次脳以外の障害にも光をあて、介護料につなげる?

判例 60 高次脳以外の障害にも光をあて、介護料につなげる?
(高次脳機能障害2級1号 2015年 横浜地裁 和解)
 

(1)概要
53歳、男性会社員が、信号機の設置されていない交差点の横断歩道を歩行中、加害自動車が跳ね飛ばしたもので、被害者には、以下の後遺障害が認定されています。

①別表Ⅰ 高次脳機能障害2級1号、
②別表Ⅱ 胸腹部臓器5級3号、右下肢切断5級5号、併合2級

(2)損保の反論
1)被害者の勤務先の定年は60歳であり、60歳以降の逸失利益は、事故当時の給与の半額を基礎に算定すべきである。

2)被害者の将来介護費用については、最大限控え目に見積もって算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、被害者が大卒であることを考慮するのであれば、60歳以降の基礎収入は、男子大卒60歳平均賃金とすべきであると主張しています。

2)⇒弁護士は、専門医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者には、日常生活で、見守り、声掛けなどの介助が必要な高次脳による障害に加えて、右下肢切断に伴う重度身体障害も抱えていることから、家族の介護負担は、著しく重いことを立証し、介護を担当する被害者の妻が67歳になるまでにも、職業介護を併用する必要があり、67歳以降は、職業介護を利用することを余儀なくされるとして、将来介護費用は、妻が67歳になるまでは、日額1万5000円、(近親者日額6000円、職業介護人日額9000円、67歳以降は日額2万円、総額8880万円の将来介護費用を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、定年後の逸失利益について、定年前の給与額が高額であることからすると、定年後について、同給与額を基準とすることはできないとしつつも、弁護士の主張に沿って、統計上の男子大卒60歳平均賃金を基礎として定年後の逸失利益を算定することとし、6870万円を認定しました。

2)⇒裁判所は、弁護士の立証に基づき、将来の介護料として、8880万円を認定しました。

3)調整金3620万円を含み和解額は2億2060万円ですが、自賠責保険金3000万円を加えた損害賠償額は、2億5060万円が実現しました。
中味として、住宅改修費用1250万円、介護機器と介護雑費1520万円、近親者慰謝料710万円が認められています。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本件の被害者では、入院治療先の主治医が、高次脳機能障害に理解がなく、家族は、困り果て、無料相談会に参加されています。
高次脳の知見を有する専門病院を紹介し、同行受診して、適正な神経心理学的検査と後遺障害診断が行われ、2級1号の等級認定を受けることができました。

2)本判例の、学ぶべきピンポイントは、高次脳以外の障害にも、光を当てることで、介護負担の大きさを明らかにし、介護に必要な自宅改修費や設備・器具などの費用について詳細な立証を行って、高額な損害賠償金に結びつけたところにあります。

 
 
雑学散るときには、散るが花?

「散るべきときには、散るという潔さ。」 これこそが、花の美しさの所以といわれています。
被害者の中には、症状を感情的、大袈裟に訴える方もおられます。
私の経験では、ムチウチでは大騒ぎが多く、重症化するほど、寡黙な傾向です。
解決には、潔さも必要と考えています。

 

6/18(木)判例59 高校生の被害者について、基礎収入を大卒平均賃金額の90%と認定?

判例59 高校生の被害者について、基礎収入を大卒平均賃金額の90%と認定?
(高次脳機能障害5級2号 併合4級 2014年 横浜地裁 判決)
 
(1)概要

18歳、高校3年生男子が、自転車で走行中、右方から居眠り運転の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害で5級2号、右手人差し指の用廃で12級10号、併合4級が認定されています。

(2)損保の反論
被害者は、事故当時高校生であり、逸失利益算定の基礎収入は、大学進学を前提とすべきでない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、被害者の成績、家族と担任教員の陳述書を証拠として提出し、
①被害者が、大学進学の準備をしていたこと、
②被害者の成績と通学していた高校の大学進学率が高率であること、
③本件事故による高次脳が原因で、大学への進学を諦めざるを得なかったこと、
以上により、被害者の逸失利益は、大卒者平均賃金を基礎収入として算出すべきと主張しています。

2)⇒弁護士は、本件事故の原因が、加害者の居眠り運転であったことを指摘し、悪質な事故態様であるとして後遺障害慰謝料の増額を求めています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、確かに、被害者は、事故当時、大学に進学しておらず、実際に進学が決定していたわけでもないが、当時、被害者が、大学進学を志望し、受験の準備をしていたこともまた事実である。
当時、通学していた高校の大学進学率も比較的高く、これらの点を考慮し、被害者の逸失利益については、統計上の大卒者平均賃金の90%を基礎収入として算定すべきであるとしました。

2)⇒裁判所は、通常、1400万円の慰謝料につき、1670万円を認めました。

3)遅延損害金2990万円を含み、判決額は1億0580万円ですが、自賠責保険金1798万円を加えると、損害賠償額は、1億2380万円が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント

被害者は大学進学前の高校3年生という時期に事故に遭って高次脳となり、大学進学を志望していながら、諦めざるを得なかったのですが、弁護士は、被害者と両親の無念さを、逸失利益の基礎収入を大卒者平均賃金とすることで、晴らすべく、果敢に挑戦しています。
ここに、学ぶべき、本判例のピンポイントがあります。

裁判所は、弁護士の立証を評価し、現実に、大学に進学していなかった被害者について、基礎収入を大卒者平均の90%まで認めるという画期的な判断を下しています。

大学進学の蓋然性を証明するにする他の資料としては、
①両親および兄弟とも大卒もしくは大学進学中などの学歴を明らかにすること、
②全国的な規模で実施されている模擬テストの成績で、学力のレベルを明らかにすること、
③志望校の偏差値と実際の成績を対比させること、などが考えられます。

 
 
雑学欲を知らねば身が立たず?

欲の深すぎるのはともかくとして、まったく欲がなければこの世は渡っていけません。
欲と二人連れ、欲に目が眩む、欲の世の中など、似たような諺が存在します。
交通事故の被害者は、欲を実利と置き換えなければなりません。
欲を出して、実利を獲得するのです。

 

6/17(水)判例58 高次脳5級2号で、1億1500万円を実現?

判例58 高次脳5級2号で、1億1500万円を実現?
(高次脳機能障害5級2号 2014年 横浜地裁 和解)
 
(1)概要

16歳の男子高校1年生が、自転車に乗って直進中、交差の優先道路を直進中の相手自動車と出合い頭衝突をしたもので、被害者には、高次脳機能障害で5級2号が認定されています。

(2)加害者の反論
1)被害者は、非優先道路を走行し、一時停止の規制を無視して、右側を通行で、交差する優先道路に進入しており、少なくとも、60%の過失が認められる。

2)被害者は、食事、入浴などが自立しており、さらにはコンビニでの買い物、家ではゲームをするなど、生活も自立していることから、介護が必要とは認められないとして、将来の介護料を否定しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を詳細に分析し、本件事故は夜間に発生しており、自転車からは、前照灯を点灯した自動車の発見は容易であるとしても、加害者に時速15km以上の速度超過が認められることから、過失割合は50%が相当であると主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書および家族の陳述書を証拠として提出し、

被害者には、高次脳に伴う易怒性などの人格変化によって、日常生活を送る上で種々の問題が生じていることを立証、被害者については、日常、看視・声掛けが必要であるとして、将来付添費用について、日額2000円、1385万円を認めるが相当であると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張する過失60%を排斥し、基準通り、50%とするのが相当としています。

2)⇒裁判所は、主治医の意見書、家族の陳述書から、被害者の易怒性を重視し、介護不要との損保の主張を排斥し、日額2000円、1385万円の将来の介護費用を認定しています。

3)過失割合は60%が50%になり、和解案は、1090万円の調整金を含めて5000万円でしたが、訴外で、自賠責保険から1574万円、人身傷害保険から5000万円を回収しており、5級2号でありながら、総額1億1574万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント

1)本件の被害者では、事故から裁判終結まで、4年を要したのですが、被害者の両親、特に母親が、事故直後から、高次脳による人格変化やエピソードを克明に記録したメモを残していました。
このことが、陳述書の作成で、大きな力を発揮したのです。
高次脳を含め、重度な後遺障害では、最終的解決までに、数年以上を要することがあります。
いざ、裁判を始めたときには、事故直後の高次脳の症状を忘れていることが、しばしば起こるのです。
そこで、被害者の家族は、是非とも事故直後から、被害者の症状などについて、メモでも構わないので、記録に残すことを心掛けなければなりません。

2)本件は、裁判所が、被害者過失を50%であると認定しています。
幸い、被害者側が自動車保険に加入しており、人身傷害保険金は、5000万円でした。
弁護士は、訴訟に先立ち、人身傷害保険から満額の5000万円を先行請求して回収しています。
訴訟における過失相殺額は、5510万円でしたが、なんとか5000万円は回収できたのです。

人身傷害保険で、過失分を埋め合わせることを考慮するのであれば、保険料は、いくらも変わらないので、人身傷害保険金は、1億円もしくは無制限としておくべきです。

 
 
ジョーク露天風呂?

この間、俺が入った国道沿いの露天風呂が、足湯として紹介されていた?
いかんのか!

 

6/16(火)判例57 無保険車傷害保険?

判例57 無保険車傷害保険?
(高次脳機能障害3級3号 併合1級 2014年 静岡地裁 和解)
 
(1)概要

30歳男性のトラック運転手がバイクで直進中、対向車線から路外の駐車場に右折しようとしたトラックに跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で3級3号、右下肢短縮で8級5号、正面視の複視で10級2号、右股関節の機能障害で10級11号、骨盤の変形で12級5号、併合1級が認定されています。

(2)加害者の反論
1)加害者は、被害者にも速度超過などがあったとして、10%の過失相殺を求めています。

2)自宅改造費では、バリアフリー化に留まらない部分があるとして争うとしました。

3)和解に際し、加害者の不動産売却により、賠償金を支払うとするも、被害者の請求が全て認容されたときは、自己破産をせざるを得ないなどとして、和解金額の調整を要求しています。

(3)弁護士の立証
本件は、加害者が任意保険に加入していない無保険事故でした。 弁護士は、訴外で、自賠責保険と被害者が加入する損保に対して、人身傷害保険と無保険車傷害保険に請求し、1億6000万円を回収しており、その上で、加害者にも損害賠償を求めたのです。

訴訟に先立ち、加害者所有の不動産に仮差押を申し立て、賠償額の原資を確保しています。
加害者が提示した和解案、3800万円に対して、意見書を提出、調整金の支払を求めました。
その結果、裁判所から、既払い金を除き、4200万円の和解案を提示され、成立したものです。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、既払い金を除いて、4200万円の和解案を示し、合意に至りました。

2)訴訟で認められた総損害額は、1億9600万円、和解額は4200万円ですが、自賠責保険金3000万円、無保険車傷害保険金1億3200万円を合計すると、2億0650万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント

本件は、重篤かつ多発外傷であり、右下腿の骨折部は複数回の手術が実施されているのですが、加害者が無保険であったことから、被害者側が、先に、人身傷害保険から内払いを受けていました。
症状固定後、事前認定で申請し、併合1級が認定され、自賠責保険+人身傷害保険+無保険車傷害保険から1億6200万円を受領した後に、弁護士に相談しています。

通常、無保険車事故では、加害者を相手取って訴訟を提起し、裁判所の和解もしくは判決額を、被害者が加入する人身傷害保険と無保険車傷害保険に求めるのですが、本件では、先に人身傷害保険+無保険車傷害保険から損保の支払基準で損害が回収されていたのです。
被害者としては、無保険で、知らん顔は、どうしても許せないとして弁護士に相談したのです。

弁護士は、加害者の資産状況を調査し、所有の不動産に仮差押を申し立て、賠償額の原資を確保した上で、訴訟を提起し、4200万円で和解に応じています。
加害者に資産がなければ、判決を確定しても絵に描いた餅となるところでした。

では、無保険車傷害保険のおさらい?

任意保険加入者が、他人を死傷させたときは、対人賠償保険で対応、補償されるのですが、任意保険未加入者との事故で、任意保険契約者が死傷したとき、補償が十分になされないことがあり、それは、あまりにも不公平であるとの見地から、当時の大蔵省 保険局の指導により、昭和51年1月から、対人賠償保険に自動付帯する形で、無保険車傷害保険が誕生したのです。
自動付帯ですから、対人賠償保険に加入すれば、誰にでも、自動的についてくる、おまけなのです。
でも、このことを承知している人は、ごく少数で、損保の担当者であっても、ほとんどは、知りません。

(1)任意の自動車保険に加入していない人がいるの?
2018年のデータでも、対人賠償保険の加入率は74.6%です。
25.4%、つまり4台に1台は、無保険状態で、公道を走っているのですから、いつ、無保険事故に遭遇しても不思議なことではなく、正に、他人事ではないのです。

(2)どのような交通事故で、無保険車傷害保険が適用できるの?
①加害者が、任意の対人賠償保険に加入していないとき、
②対人賠償保険に加入しているが、加入条件※を理由として、保険金が支払われないとき、
③対人賠償保険に加入しているが、保険金額が、被害者の損害額を下回るとき、
④ひき逃げなどで、加害者が不明であるとき、
※運転者の年齢条件や家族限定がなされ、それに違反しているときが該当します。

(3)損保の保険約款通りに説明すると、記名被保険者など、理解しにくい専門用語が登場します。 そこで、モデルとなる家族を登場させ、分かりやすく解説していきます。

山田 太郎さんは、奥様、長男、長女、次男、妻の母の6人家族で、神戸市に居住しています。
長男は、東京の大学に進学中で、同居しているのは、奥様、長女、次男、妻の母の5人です。
山田さんは、エスティマと原付バイクを保有しており、エスティマは、任意自動車保険に加入、次男が通学で使用している原付バイクは、ファミリーバイク特約 人身傷害型に加入しています。

1)無保険事故に遭遇したとき、補償の対象になる人は?
①家族全員が、補償の対象となります。
②歩行中、自転車で走行中でも、無保険車との事故であれば、補償されます。
③長男は、実家を離れ、東京の大学に進学中ですが、未婚である限り、補償されます。
④家族の誰かが、友人の原付を運転中に、無保険事故に遭遇したときも、補償されます。
⑤他人の自動車に搭乗中であっても、無保険車との事故であれば、補償されます。
⑥エスティマに搭乗中の他人も、補償の対象です。

2)無保険車傷害保険の保険金と適用の要件は?
①被害者1名について、2億円もしくは無制限です。
詳細は自動車保険証券で確認してください。

②無保険車傷害保険が補償するのは、死亡もしくは後遺障害を負ったときに限られています。
後遺障害がなく、完治した傷害に対しては、補償されません。

(4)人身傷害保険との組み合わせ?
人身傷害保険は、1998-10-1、東京海上火災保険が、業界に先駆けて発売した保険商品です。
人身傷害保険に加入していれば、保険金額を上限に、過失割合に関係なく、また示談交渉の終了を待つことなく、実際に発生した損害額の全額を保険金として受け取ることができるという画期的な保険であり、1年後には、全ての損保が追随し、2018年における加入率は、69.3%となり、自動車保険の主力商品に成長しています。

1)無保険事故に遭遇しても、人身傷害保険に加入のときは、治療費、休業損害などの内払いは、過失相殺がなされることなく、被害者が加入の損保に請求して回収することができます。

2)これに対して、無保険車傷害保険は、被害者が、死亡もしくは後遺障害を負ったことが適用の条件ですから、後遺障害等級確定前の、治療中における内払いはなく、過失相殺も行われます。

3)しかし、人身傷害保険は、契約保険金の範囲内という縛りがあり、こんな事態も想定されます。
(人身傷害保険金額<自賠責保険金額+無保険車傷害保険金額 )
例えば、1級1号の認定で、被害者の損害額が1億円のとき、人身傷害保険金5000万円の加入であれば、自賠責保険金4000万円を加えても、合計は9000万円で、1000万円が不足することになります。
こんなときは、不足分の1000万円を無保険車傷害保険から回収することになります。
無保険車傷害保険の保険金は、2億円もしくは無制限です。

(5)最後に、勝利の方程式?
これは、端的に言えば、損保基準か、地裁基準かを巡る攻防です。
損保は、なにがなんでも損保基準で支払うべきと頑なであり、約款に仕掛けを講じています。
対する被害者は、なんとしてでも地裁基準で損害賠償されるべきと考えているのです。

ここでは、損保各社の約款を分析するのではなく、被害者の勝利の方程式を検証します。

1)高次脳では、受傷から1年を経過した時点で、症状固定を選択、後遺障害診断を受けます。

2)無保険車事故に経験則を有する弁護士に依頼、加害者を相手取って訴訟を提起します。

3)加害者に対する損害賠償請求ですから、弁護士特約の適用ができます。

4)訴訟を提起したことは、加入の損保にも訴訟告知をしておきます。

5)弁護士が、加入の損保に、和解もしくは判決額を請求、支払を受けて完了します。

無保険自動車事故による損害賠償請求ですが、人身傷害保険からの支払でも、無保険車傷害保険からの支払でも、人身傷害保険+無保険車傷害保険からの支払でも、そんなことは、損保の内部処理の問題であり、振り込まれたお札に、表示はされておらず、被害者の知ったことではありません。

訴外の示談交渉では、損保は、あくまでも自社基準に拘るのですが、裁判となれば、沈黙します。
2019年、無保険車事故では、死亡を含めて3件の訴訟を提起しましたが、いずれも、地裁基準で完全解決としています。

日本損害保険協会の公式ホームページ、損害保険Q&Aでは、損害額について、「無保険車傷害保険の損害額について、損害額=損保が保険金を支払うべき損害の額は、賠償義務者が、被保険者またはその父母、配偶者もしくは子が被った損害に対して、法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額によって定められます。」と、無保険車傷害保険について解説しています。
「法律上負担・・・」 とは、常識的には、裁判の和解や判決で確定した損害賠償額のことです。
正に、親の心、子知らずで、子は、損保基準による支払にガチガチとなっていますが、親は、優雅なもので、地裁基準をあっさりと容認しているのです。

ですから、個別の約款に神経質になることもありません。

 
 
ジョークエリカ様?
ファミレスで、「エリカ」 とだけ書いておいたら、普通に、「2名でお待ちのエリカ様ー」 と呼ばれた。
普通に呼ばれたので、思わず吹き出してしまった。

「奥の席でも、よろしいですか?」 と聞かれたので、
「別に?」 と答えたら 店員が、鼻水流して、吹き出した 。

 

6/15(月)判例56 事故前から存在していたかも知れない?

判例56 事故前から存在していたかも知れない?
(高次脳機能障害3級3号 併合2級 2014年 東京地裁 和解)
 

(1)概要
兼業主婦、67歳が、信号機の設置されていない交差点を自転車で横断中、交差道路を直進中の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害で3級3号、脾臓の亡失で13級11号、併合2級が認定されています。

(2)損保の反論
1)本件事故は、信号機の設置されていない交差点における横断自転車と直進自動車の衝突事故であることに加え、車道脇の縁石の位置関係に鑑みれば、加害者が、被害自転車の横断を予測することは余計に困難であり、加害者の過失は重いとは言えず、被害者には、50%の過失相殺をすべきである。

2)被害者の高次脳機能障害は、事故前から服用していた抗血栓薬の影響、事故前から存在していたかも知れない大脳白質病変により、本来よりも悪化している可能性があり、被害者の損害に対しては、素因減額をすべきである。

3)被害者の高次脳は、そもそも3級3号に過ぎず、ときどき、見守りさえすれば普通に日常生活を送ることが可能であるから、将来介護費用の賠償は認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を分析し、加害者は、運転中であり、縁石の位置関係まで、いちいち把握していなかったと思われ、縁石の存在を理由に、加害者の過失を軽くすることはできず、過失相殺は30%が相当であると主張しています。

2)弁護士は、主治医、かかりつけ医の意見書を証拠として提出し、素因減額では、被害者の障害にかかる既往症の影響などの存在を損保から立証する必要があるが、本件では、損保は、可能性を述べるのみで、被害者に素因が存在する事実を立証できておらず、よって素因減額は認められないと主張しています。

3)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者は、高次脳の影響による危険行動や問題行動が多く見られ、家族による日常的な見守りや声掛けが欠かせないことを立証、このような被害者に対する介護の負担は十分に重いものであるとして、日額8000円、総額3740万円の将来介護費用を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の主張する過失割合50%を排斥し、30%と認定しました。

2)⇒裁判所が、「事故前から存在していたかも知れない大脳白質病変?」 かも知れない?
 なんて反論を取り上げることはありません。素因減額の反論は、排斥され、被害者に対する現実の介護負担の重さを丁寧に立証した弁護士の請求通り、日額8000円、総額で3740万円の将来の介護費用を認定しました。日額8000円は、高次脳3級3号としては、高額なものです。

3)和解金額は、調整金870万円を吹くんで4710万円ですが、人身傷害保険金2730万円、自賠責保険金2358万円を加え、9800万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
損保側の反論は、こんなことが裁判で許されていいのかのレベル、もう、やけくそ、滅茶苦茶です。

弁護士は、素因減額については、主治医、かかりつけ医の意見書で、不合理であり、根拠不十分であることを立証して、完璧に、排除しています。
こうなると、裁判官の心証は、大きく被害者側に傾きます。
弁護士の思惑通り、損保の全面的な敗北となりました。

過失割合は、30%ですが、訴外で人身傷害保険から先行回収しています。

 
 
ジョーク野茂とホモについて?
1完投して喜ぶのが、野茂、浣腸して喜ぶのが、ホモ?
2打たれるのを嫌がるのが野茂、打たれるのを喜ぶのがホモ?
3好プレーするのが野茂、チンプレーするのがホモ?
4家族で楽しく見るのが野茂のプレー、家族で楽しく見られないのがホモのプレー?
5お尻を見せて球を投げるのが野茂、お尻を見せて玉を揺らすのがホモ?

6フォークが得意なのが野茂、トークが得意なのがホモ?
7アメリカで観戦するのが野茂、アメリカで感染するのがホモ?
8野茂は講演に行くが、ホモは公園に行く?
9野茂はカレーが好きだが、ホモは彼が好き?
10野茂のプレーは素晴らしいが、ホモのプレーは凄いらしい?
11優勝して感動するのが野茂、融合して浣腸するのがホモ?
12球を投げてチームを守るのが野茂、球を触って、攻めるのがホモ?
13野茂は投手、ホモは同種?
14野茂はお尻を向けて投げるが、ホモはお尻を向けて誘う?
15野茂はあまり喋らないが、ホモはよくしゃぶる?

 

6/13(金)判例55 意見書、陳述書の重要性?

判例55 意見書、陳述書の重要性?
(高次脳機能障害3級3号 2014年 横浜地裁 和解)
 

(1)概要
30歳、女性会社員が、信号の設置されていない交差点を自転車で直進中、交差道路から直進してきた加害自動車に跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害で3級3号、視力障害で8級1号、外貌の醜状で12級14号、併合1級が認定されています。

被害自転車には、一時停止義務違反、加害自動車には、一方通行違反が認められています。

(2)損保の反論
1)被害者は、一時停止義務に違反したのみならず、イヤホンを耳に装着しながら自転車を運転しており、45%の過失相殺をすべきである。

2)被害者の高次脳は、3級3号に過ぎず、1人で留守番をしているときもあり、必要な介護といえば、外出時の見守り程度であるから、将来の介護費用は、低額なもので足りる。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を精査、分析し、被害者には、一時停止義務違反が、他方で、加害者の一方通行違反も重度な過失であり、過失相殺は15%が相当である。
被害者が、イヤホンを装着していた事実は、加害者の過失の重さと比べれば軽度の過失に過ぎず、過失相殺率を引き上げる理由にはならないと主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者には、高次脳の影響で重度の記憶障害や知力低下、自発性の低下や易怒性が残存しており、1人で外出することも、まったくできないばかりか、日常生活における多くの動作について介助が必要で、生活全般の管理もすべて、家族が代替しなければならないことを立証しています。
その上で、被害者の将来介護費用については、母親が67歳になるまでは、日額7000円、母親が67歳以降は、日額1万円が相当として、6250万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の立証を認め、本件被害者の過失を15%と認定しています。

2)⇒裁判所は、日常生活のすべての面で、介護が必要なことを認め、将来の介護費用について、弁護士の請求通り、総額6250万円を認定しました。

3)和解額は、3390万円の調整金を含めて1億3000万円ですが、自賠責保険の3000万円を加え、1億6000万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)自賠責保険は、高次脳で介護の必要な後遺障害について、別表Ⅰの1級1号、2級1号と定めているのですが、この中に、3級3号は含まれていないのです。
これに影響されているのか、3級3号では、損保は、介護は、原則として不要、認めたとしても、低額な介護費用で十分とする主張をしてくることがほとんどです。 裁判実務上は、1、2、3、5級で介護費用が認められており、この領域は、弁護士の腕次第です。

2)損保は、言いたい放題で反論してきますが、被害者の日常生活の状況などについては、カルテおよび診断書、後遺障害診断書のみが情報源であり、現在の具体的な被害者像については、描ききれていません。
それが証拠に、カルテなどに、症状が改善しつつある?
 普通学級に進学? 独り暮らしをしている? 
これらの記載を発見すると、過剰に反応し、騒ぎ立ててくるのです。

しかし、裁判においては、損保の主張や反論に対しては、それが根拠に乏しいものであっても、弁護士は、被害者のあらゆる生活動作について、必要な介護の内容と、その負担の大きさについて、詳細に立証しなければならないのです。

ここでは、主治医の意見書、家族の陳述書などと、サラリと流していますが、高次脳の訴訟では、全件で、これらを証拠として提出することになります。
中でも、裁判所が重視しているのは、医学的知見に基づく、主治医ないしは専門医の意見書です。
CT、MRIの画像所見、神経心理学的検査の結果から、被害者の高次脳機能障害について、なにが起こっているのかについて、明らかにしなければならないのです。

もちろん、シナリオは、弁護士が作成しなければなりません。
弁護士のシナリオを基礎として、医学的知見を加味したものが、意見書となるのです。

次は、陳述書です。
例えば、注意障害、記憶障害が重度であることが、主治医の意見書で立証されているとき、毎日の生活の中で、被害者と家族の間において発生しているエピソードがたくさんあります。
弁護士は、それらを聴き取り、シナリオを作成、そうして完成したものが陳述書となるのです。
意見書、陳述書は、いずれも事実に基づいたもので、虚偽の記載や誇大な表現はタブーです。

被害者が、幼児や児童では、母親以外に、支援学級の教員に陳述書をお願いしています。
幼児では、子ども同士が遊んでいるところのビデオ撮影で立証したこともあります。
被害者が職場に復帰しているときは、同僚や職場の上司に、陳述書の作成をお願いしています。
介護住宅の改造では、経験則を有する建築設計事務所に、意見書と見積書の作成を依頼します。

さて、今、依頼している弁護士で大丈夫でしょうか?
専門医のネットワークを構築しているでしょうか?
ドラフトの作成ができる、医学的知識を有しているでしょうか?
ビデオ撮影では、2時間程度撮影したものを20分程度に編集することになります。
セッティングと撮影、そして編集までのスタッフを確保できるのでしょうか?

介護住宅に精通している建築設計事務所から、意見書や見積書を取りつけることができますか?

1つでも、引っかかるときは、直ちに解任しなければなりません。
なぜなら、高次脳では、被害者のこれからの人生が左右されるからです。

 
 
ジョーク女子会と言うな?

歳のいった女性達、ババァの集まりは、女子会じゃなく、寄り合いと呼べ!

 

6/12(木)判例54 損保の工学鑑定をくつがえし、過失を35%から15%に?

判例54 損保の工学鑑定をくつがえし、過失を35%から15%に?
(高次脳機能障害1級1号 2014年 千葉地裁 和解)
 

(1)概要

17歳男性会社員が、バイクで交差点を直進中、対向右折の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者は、脳外傷による高次脳機能障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者には、事故当時、大幅な速度超過の事実があり、加害自動車が、おおむね右折を終えたタイミングで交差点に進入してきた、既右折の事実も認められ、35%の過失相殺をすべきである。

2)被害者の将来介護費用については、最大限、控え目に見積もって算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、刑事記録を詳細に分析するとともに、連携の工学鑑定人の鑑定結果を証拠として提出、損保は、独自の工学鑑定に基づき、被害者バイクの速度超過を主張しているが、損保が提出する工学鑑定結果では、刑事記録などと異なる独自の摩擦係数を用いており、内容に誤りがあり、被害者の速度超過の事実は認められず、また、加害自動車の既右折についても明確な根拠がないことを立証し、 被害者の過失は、せいぜい15%に過ぎないと主張しています。

2)⇒弁護士は、主治医の意見書、母親、職業介護人の陳述書を証拠として提出、
①被害者には、常時の見守り、声掛けを始めとする介護が必要であり、その負担は著しく重いこと、

②被害者は、母子家庭であり、母親は、今後、就労の必要性があるから、退院後の自宅における介護では、職業介護人を導入する必要性が高いこと、
以上の状況から、将来介護費用は、最大限、高めに見積もるべきであるとして、将来の介護費用として1億1380万円、介護雑費として3080万円を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の工学鑑定は信憑性に欠けるとして排斥し、被害者過失を15%としています。

2)⇒裁判所は、被害者の将来の在宅介護費用について、母親が、今後就労復帰することを前提に、土日祝日の家族介護料は日額1万円、職業介護人では、日額2万円、総額1億1380万円を認定しています。

3)住宅の改修費用として960万円、成年後見費用390万円、介護雑費3080万円、調整金2490万円を加えた和解額は2億3750万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、2億7750万円の損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
本件の弁護士で、感心させられる1つは、損保が主張する過失割合に対する切り崩しです。

判例53では、加害者の優先道路走行により、損保は55%過失を主張していますが、
①事故現場の道路は、歩車道の区別もない、
②周辺は、住宅や店舗が立ち並ぶ住宅街で、道幅も広くなく、生活道路、
③出合い頭衝突は見通しが悪いことで生じており、飛びだしは、被害者の不利な事情ではない、

並みの弁護士であれば、加害者が優先道路を走行中と知れば、そこで腰が引けてしまいます。 ところが、この弁護士は、事故現場に赴き、刑事記録との整合性を緻密に分析し、被害者の過失は軽減されるべきで、認めるとしても15%が相当であると論破しているのです。

本判例でも、損保は、工学鑑定の結果を提出し、35%の過失相殺を主張していますが、刑事記録を分析、参考までに、連携関係にある工学鑑定人者の鑑定書も提出し、損保の鑑定結果が、刑事記録と異なる摩擦係数を用いており、内容に誤りがあって、不合理であることを指摘しています。

損保側の弁護士が、事故現場に足を運ぶことはありません。
工学鑑定書は、損保が自らの弁護士に与えた、お札、通行手形のようなものです。
勝てるはずの工学鑑定書が、誤りがあって不合理と指摘されれば、もう、反論することもできません。
裁判所は、損保の鑑定書を排斥し、過失割合を15%と認定したのです。

 
 
ジョークうちの苗字は佐藤?

最近、3歳の息子が、自分を、「さとう」または「さとうさん」と呼ぶ。
私のことは、「さとうのママ」、夫のことは、「さとうのパパ」、
それはまあいいとして、私が作ったごはんを、「さとうのごはん」 と言うのはヤメレ。

 

6/11(水)判例53 住宅改修費の全額が認められる?

判例53 住宅改修費の全額が認められる?
(高次脳機能障害1級1号 2014年 千葉地裁 判決)
 

(1)概要
信号機の設置されていない丁字型交差点において、6歳、小学校1年生の自転車と加害自動車が出合い頭衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害で1級1号、両眼の視力低下で9級1号、併合1級が認定されています。

(2)損保の反論
1)症状固定までの在宅付添費について、6歳児では、そもそも身の回りの世話が必要であり、事故前の状況と大きく変わりはなく、付添費用は、認められない。

2)症状固定後の将来介護費用について、母親の体調不良も改善傾向で、被害児童の世話ができないわけではなく、日中は、親元を離れ、特別支援学校に通学しているので、身の回り動作のすべてについて、24時間の付添いをしなければならない状況ではなく、将来介護費用は日額8000円を認めれば、十分である。

3)自宅改修工事の内、車椅子専用玄関の屋根は不要であり、それ以外については、家族の利便性も向上しており、損益相殺をすべきである。

④加害自動車が、優先道路を直進中であり、自転車が飛び出した過失は55%とすべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、まず、主治医の意見書、両親、特別支援学級の教員の陳述書を証拠として提出、被害者の後遺障害の程度、在宅に移行後の生活状況について、詳細な立証を行い、事故前の6歳児の世話と、事故後必要となった介助は、本質的には異なるものであると主張、症状固定までの付添看護料として、日額8000円を支給しています。

2)⇒弁護士は、将来の介護についても、先に提出の意見書、陳述書により、食事やトイレ、車椅子への移乗など、日常生活の身の回りの動作について、介助が必要となっている実態、記憶力、問題解決能力が小学生低学年程度に留まっていることなどから、身の回り動作の、ほぼ、すべてについて常に介助が必要であること、母親の体調が優れないことも、診断書を提出して立証、以上から、職業介護人の導入を含む、日額1万5000円、総額1億0600万円の将来介護料を請求しています。

3)⇒弁護士は、日常の身の回り動作の、ほぼ、すべてについて常に介助が必要であることを立証した上で、住宅の改造費について、多くの経験則を有する建築設計事務所の意見書、見積書を証拠として提出し、1900万円の全額を、必要な住宅改造費として請求しています。

4)⇒弁護士は、刑事記録に基づき、優先道路ではあっても、
①事故現場の道路は、歩車道の区別もないこと、

②周辺には、住宅や店舗が立ち並ぶ住宅街で、道幅も広くない生活道路であったことなどから、 被害者の過失は軽減されるべきであり、

③損保の飛び出しとの主張には、そもそも出合い頭事故は、見通しが悪いことで、生じているもので、 これを特に、被害者の不利な事情とすべきではないこと、

④そして、被害者は、事故当時、6歳であったことなどから、 被害者の過失は、認めるにしても15%が相当であると主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、事故前の6歳児の世話と事故後に必要となった介助は本質的には異なるものであるとの弁護士の主張を採用し、症状固定まで、日額8000円の在宅付添看護料を認めました。

2)⇒裁判所は、損保の職業介護不要との主張を斥け、日額1万5000円、総額1億0600万円の将来介護料を認めています。

3)⇒裁判所は、住宅改造費の全額について、
①事故に遭わなければ、必要のなかった工事であること、

②いずれも、介護のために、必要な工事であること、

③工事によって、家族の生活面での利便性は、顕著に向上していないとして、

損保の主張を全面的に排斥し、損益相殺を否定し、1900万円の高額な住宅改造費を認めました。

4)過失割合についても、弁護士の主張を採用し、過失相殺率を15%と認定しました。

5)判決額は、2億3500万円
事故発生から賠償までに約9年半の期間が経過したことによる遅延損害金1億1700万円を含めて、判決額は、2億3500万円でしたが、 訴外で獲得した人身傷害保険金の1億円は、自賠責保険金4000万円を併せて、3億7500万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)人身傷害保険のカラクリについて、おさらいをしておきます。
本件では、裁判の前に、加入の人身傷害保険に損害の全額を請求し、1億円を先行取得しています。
この1億円は、加入損保の支払基準により積算されたものです。
そして、裁判が始まり、判決で、被害者過失は15%と決まりました。
判決額2億5000万円の15%は、2億5000万円×0.15=3750万円となります。
被害者は、1億円を先行取得していますから、元本から差し引かれるのは、 1億円-3750万円=6250万円となります。

損保の支払基準で積算した損害額は1億円ですから、15%の過失相殺分は、1500万円です。
本来であれば、1億円-1500万円=8500万円が元本から差し引かれることになるのですが、地裁基準で損害が積算されたことにより、8500-6250万円=2250万円は、損保が泣くことになったのです。

このカラクリを弁護士が知らないで、判決後に、過失相殺分を人身傷害保険に請求したときは、裁判では、3750万円が差し引かれているのに、被害者に支払われるのは、1500万円となります。
3750-1500万円=2250万円は、被害者が泣くことになるのです。

このカラクリを知らない弁護士が、そこそこ、存在するので、要注意です。

2)住宅改修費用では、全面的なリフォームや新築をしたときには、費用全額ではなく、必要な範囲に賠償額は限定されるのが一般的です。 介護のためのリフォームであっても、家族の利便性が向上しているときは、その割合によって賠償範囲が限定されることもあります。
しかし、すべての事案で、そういった限定が妥当なわけではありません。
具体的な工事の内容と必要な介護の状況を立証することで、本件では、改修費用の全額を賠償の範囲とする判決を得ることができたのです。

 
 
ジョーク散髪屋?

1000円の散髪屋に行っているが、ある日、出掛けたら、店の人に
自分で刈ったんですか、って、言われた?
おめーだよ!

 

6/10(火)判例52 事故から10年近く経過して、高次脳機能障害と診断された?

判例52 事故から10年近く経過して、高次脳機能障害と診断された?
(高次脳機能障害3級3号 併合2級 2013年 札幌地裁 和解)
 
(1)概要
8歳、小学校3年生の男児が、道路を横断中、加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で3級3号、下肢の短縮で13級8号、併合2級が認定されています。

(2)損保の反論
1)後遺障害等級について、
被害者は、事故後、小・中学校では、他の児童と、なんら変わりなく生活し、かつ好成績をおさめて卒業している。さらに、高校を受験して入学、現在も専門学校に通って好成績をおさめているなど、客観的には、なんらの問題も認められない。
したがって、注意力、記憶力に多少の低下が疑われることを最大限考慮しても、被害者の高次脳機能障害は、自賠責保険認定の3級3号ではなく、7級4号にとどまるものである。

2)介護料について 被害者は、高校生の頃から、親元を離れて生活しており、日常生活動作が自立していることは明らかで、毎日の看視、声掛けが必要な事実は全く認められず、将来の介護料は、一切、認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、専門医の意見書を証拠として提出、後遺障害等級について、被害者の注意障害と記憶障害が重度であること、それに伴って、理解力や判断力も低下しており、高校生となり、勉強が難しくなることで、高次脳機能障害が、顕在化したものであることを立証しています。

2)⇒弁護士は、母親、下宿先の管理人の陳述書を提出、被害者が、家庭、下宿先で、普通に生活ができていたのは、母や管理人による献身的な見守りがあったからであると立証しています。
そして、被害者のADLが自立しているとはいえ、記憶力、理解力の低下、感情のコントロールが難しいことなどについて、家族のサポートが欠かせないとして、将来の看視、見守りについて、日額3000円の介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、弁護士の立証を採用、被害者の高次脳を自賠認定の通り、3級3号としました。

2)⇒裁判所は、母親が、被害者の下宿先に頻繁に通い、献身的な介助をしていた事実を評価し、症状固定までの看護料として1130万円、将来の介護料として、日額3000円、2090万円を認定しています。

3)判決額は、4050万円の調整金を加えて1億5870万円ですが、 訴外で入金された自賠責保険金2358万円を加えると、1億6200万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本件の被害者は、小学3年生で事故受傷し生の頃に事故に遭い,重篤な身体障害および脳外傷を負ったものの、主体的には、医師が、身体障害のみに着目し、脳外傷による高次脳の存在が見過ごされたままの状態で、高校生まで成長したものです。
この間、小・中学校を好成績で卒業し、高校受験にも合格しているのですが、高校に入学してからは、勉強が難しくなったことで、高次脳機能障害の症状が顕在化したものです。

弁護士は、この陰には、本人はもとより、家族の並々ならぬ努力と周囲の支えがあったことに着目し、専門医の診察、神経心理学的検査などで、高次脳を炙り出し、3級3号の認定に結びつけました。

読者の皆様は、高次脳では、注意力、記憶力、理解力などが低下するものの、小学生の頃までは、普通学級に通えてしまうことが往々にしてあること、しかしながら、中・高と進学していくにつれ、高度な学習についていくことができず、周りの学生の成長には遅れを取ってしまうことがあることを承知しておかなければなりません。
さらに、高次脳の存在は、医療現場でも、比較的周知されてきたとはいえ、現在でも、高次脳の存在が見落とされたまま過ごされている被害者は、沢山おられます。
家族や職場の同僚が、なにか、おかしいと感じたときは、NPOジコイチ、
0120-716-110に、ご相談の上、無料交通事故相談会に参加してください。

本件では、日額3000円の介護料が認められています。
被害者は、親元を離れて下宿生活をしていましたが、実態としては、母親が、下宿先に頻繁に通い、献身的な介助を続けていたことを裁判所が評価したからです。
これらの実態を、丁寧に立証したことが、裁判所の評価につながったことも、着目しておくべきです。

 
 
ジョーク 銭湯で?

3歳ぐらいの坊やが、全身刺青のいかついおっさんに、
「僕、おっちゃんのこと、テレビで見て、知ってるよ!」
「おっちゃんは、えーと、おっちゃんは、遠山の金さんでしょ!」
父親は、真っ青だったが、いかついヤクザは、微笑んでいた。

 

6/9(月)判例51 自賠責保険の等級認定は誤りである?

判例51 自賠責保険の等級認定は誤りである?
(高次脳機能障害3級3号 2013年 高松地裁・高裁 判決)
 
(1)概要

10歳、小学校5年生の男児が、自転車に乗り、青信号で、交差点自転車横断帯上を横断中、赤信号で交差点に進入してきたトラックに跳ね飛ばされたもので、高次脳機能障害として3級3号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、中学校では、普通学級に進級し、複数の科目で通常の授業を受けていること、問題行動はあっても、集団生活にも、ある程度、順応していることから、高次脳3級3号を認定した自賠責保険の判断は誤りであり、実際の症状は、もっと軽いものである。

2)被害者は、病院でのリハビリに真剣に取り組むことができており、日常生活動作は自立しているのだから、将来の付添介護は不要である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族、友人、支援学級の教員の陳述書を証拠として提出し、被害者は、中学校においても、問題行動があり、人間生活のトラブルから、共同生活に適応できず、中学校2年以降は、支援学級に移動していること、高校も、普通高校ではなく、支援学校に進学せざるを得なかった事実があることから、「集団生活にもある程度順応している。」 との損保の主張は、立証された証拠から、事実をねじ曲げたものと、反論しています。

2)⇒弁護士は、作業療法士の陳述書を提出し、病院におけるリハビリは、環境が整備された状況で、作業療法士が、被害者を集中させるよう努力しながら実施されており、リハビリに取り組めているからと言って介護の必要がないとは言えないことを立証し、主張しています。

⇒弁護士は、被害者は、高次脳により、周囲の家族やクラスメイトからの刺激があると、すぐに気が散ってしまい、日常生活を自立して営むことのできない状態にあり、家族の見守り、声掛けといった介護が将来的に必要であるとして、将来の介護料を請求しています。

3)慰謝料については、加害者が、事故後も、「被害者が赤信号を無視した。」 という虚偽の説明を続けたことを問題視し、通常の基準よりも増額した2760万円(近親者慰謝料を含む)を請求しています。

(4)高松地裁の判断
1)⇒高松地裁は、弁護士の主張を認め、被害者の高次脳機能障害は自賠責保険の認定通り3級3号が相当であるとしました。

2)⇒高松地裁は、病院でのリハビリについても、リハビリに取り組めていても、介護の必要性はあるとして、将来介護費用として4840万円を認めました。

3)⇒高松地裁は、傷害慰謝料360万円、後遺障害慰謝料2000万円、近親者慰謝料400万円、合計2760万円を認定しています。

(5)控訴審 高松高裁の判断
損保は、地裁の判断を不服として控訴したが、地裁の判断をすべて追認する判決となりました。

1)被害者は、裁判が控訴審に進んでからも、支援学校で周囲とトラブルを起こすなどしており、高次脳症状は、相当重いことが明らかであり、一審判決は妥当である。

2)仮に、障害者に対する福祉的支援を受けながら自己実現のために就労することが、今後、あったとしても、そのことを理由に、「就労して、収入を得られる労働能力がある。」 と言うことはできない。

3)判決額は、遅延損害金5940万円を含み2億0870万円でしたが、自賠責保険金2219万円を加え、2億3090万円の損害賠償が実現しました。

(6)NPOジコイチのコメント
高次脳の訴訟では、自賠責保険の認定等級について、損保が争ってくることがあります。
本件でも、自賠の3級3号の認定に対し、損保は、「実際の症状は、もっと軽く、介護は不要である。」 として反論がなされています。
しかし、支援学校に進級した事実を把握しておらず、雑で、乱暴な反論がなされたに過ぎません。

弁護士は、中高の支援学級の教員、友人の陳述書で、支援学校における被害者の様子を明らかにし、また家族の陳述書で、日常生活の支障を立証することで、被害者には、見守りや声掛けなどの介護が将来にわたり必要であることを主張しています。

結果、裁判所は、自賠の認定が適正であることを認め、損保の主張を全面的に排斥しています。

さらに、事故から判決まで7年半が経過したことで、5940万円の遅延損害金も認められ、3級3号にも拘わらず、2億3090万円の高額な賠償額を実現することができました。

 
 
ジョーク切り取り口?

インスタント食品の切り取り口に、「はさみを使用すればより開けやすくなります?」って書いてあった。
そんなもん、知っとるわ!

 

6/5(金)判例50 訴訟提起の時点で、家族介護が実施されている?

判例50 訴訟提起の時点で、家族介護が実施されている?
(高次脳機能障害2級1号 2013年 仙台地方裁判所 和解)
 
(1)概要
59歳の専業主婦が、自動車を運転中、20kmの速度超過で、ブレーキ操作を誤り、スリップした加害自動車が、センターオーバーで衝突したもので、被害者には、高次脳で2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者は、行動範囲が制限されており、慣れた自宅環境下では、ある程度手すりなどを設置するなど環境整備を行えば、常時の看視・声掛けは不要であるから、職業介護人は必要ない。

2)将来家族と被害者とが居住するための新築費用について、現在、居住しているマンションでも、日常生活を送ることは可能であり、その改造費用の限度で足りることから、被害者の新築費用の見積もり額4000万円の内、被害者のために必要な範囲は300万円程度で十分である。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、将来の介護費用に着いて、被害者は、高次脳機能障害により、身の回りの動作能力も相当制限されていること、自発性の低下が著しく、注意力もかなり低下していることかなどから、日常生活では、全面的な介護が必要であること、また人格変化や妄想などもあり、介護の負担が相当重度となることを、主治医の意見書、実際の被害者の状況を撮影したビデオ資料、家族の陳述書、介護負担が増えたことで、収入減が生じている家族の状況などを丁寧に立証しています。

2)被害者の状況からして、事故後、一時的に賃貸していたマンションでは、室内の車椅子移動ができないこと、また賃貸であることから、自由に、バリアフリー化できないという問題があり、加害者側の、現在の居住マンションを基準とした指摘は、まったく妥当ではないことを立証、反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、家族による介護負担の大きさを認め、職業介護人が必要になることを前提とした将来の介護費用、7000万円を認めました。

2)⇒裁判所は、住宅の新築費用について、介護に必要な範囲を1500万円と認定しています。

3)調整金4500万円を含めた和解額は、1億7500万円でしたが、自賠責保険金3000万円、近親者慰謝料500万円を含めると、2億0500万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)訴訟を提起した段階で、家族が中心となって、被害者の介護を行っているときは、損保からは、決まって、介護の負担は大きくなく、職業介護人は、必要がないとの反論が展開されます。

しかし、高次脳の介護では、身体的な介護に留まることなく、注意力の低下や自発性の低下、あるいは人格変化や妄想など、外部からは見えにくい障害により、介護負担の増大が生じているという現実があります。
そのため、訴訟で、職業介護人の費用を認めさせるには、被害者の障害内容、日常生活の支障を立証し、家族が、かなりの負担を強いられている現状を伝えていくことが重要となります。

本件でも、被害者の生活状況や家族の状況を証拠に基づいて緻密に立証した結果、和解案において職業介護人を前提とした将来介護費用が認定されています。

2)住宅改修費用、特に、新築費用では、通常、その全額が賠償として認められることはありません。
家族も一緒に生活される以上、被害者の介護に、直接、必要な範囲を超えた部分は、賠償の対象とはならないからです。

本件では、弁護士は、総額の50%、2000万円が賠償されるべきと主張していますが、損保は、10%にも満たない300万円が相当であるとして争っています。

弁護士は、これまでに、介護住宅の設計を数多く手掛けている都内の建築設計事務所に依頼し、費用の相当性を立証するために、必要な証拠を確保して、立証したことで、裁判所は、37.5%、1500万円を介護に必要な範囲と認定されています。
安易に、地元の工務店に発注し、後付けで、介護住宅の相当性を主張しても、その工務店に、介護住宅のノウハウがなければ、高額判決を望むことはできません。

 
 
ジョーク美和ちゃんの悩み?

スタバでバイトしています。
お向かいの席で、大声で話す女性の方々がおり、なにげに聞いていると、
「職場の同僚の美和ちゃんが、好きになった男性の名字が三輪さんで、悩んでいる?」
このお話には、吹き出しそうになった。

 

6/4(木)判例49 顧問医の意見書と和解調整金?

判例49 顧問医の意見書と和解調整金?
(高次脳機能障害7級4号、併合6級 2013年 福岡地裁 和解)
 
(1)概要
51歳、兼業主婦が、自転車に乗り、直進中、路外に入る目的の対向右折車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で7級4号、他の後遺障害と併合して6級が認定されています。

(2)損保の反論
損保は、顧問医の意見書を提出し、現在は、症状が改善しており、7級よりも軽いと主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士も、主治医から診断書を取りつけ、損保に反論しています。 そして、通院していた病院のカルテ、家族の陳述書を裁判所に証拠として提出し、被害者の現在症状が7級4号に相当することを立証しています。

2)裁判所の和解案では、3400万円が提示されたのですが、逸失利益の算定方法が間違っていることを指摘し、3750万円と増額することに成功しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保顧問医の意見書を棄却し、等級が7級4号、併合6級であると、認定しました。

2)裁判所は、30%に相当する調整金、880万円を認定しました。

3)和解金は、3750万円ですが、自賠責保険金1296万円、人身傷害保険金500万円を加えると、総額5500万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
医師法20条には、
「医師は、自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書、処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで、出生証明書もしくは死産証書を交付し、または自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。」と規定しています。
損保の顧問医が、裁判所に提出する意見書は、医師法20条をかいくぐる苦肉の名称なのです。
なぜなら、顧問医は、自ら診察することなく、他院の診断書、診療報酬明細書、画像を参考にして、好き勝手な、損保に有利な、評価を書き連ねているからで、これを診断書と呼べば、直ちに、医師法20条違反を構成するので、仕方なく、意見書と呼んでいるのです。

裁判となれば、こんなレベルの意見書であっても、無視することはできません。
弁護士は、主治医から診断書を取りつけて反論しています。
加えて、通院カルテと家族の陳述書で、日常生活の支障を具体的に立証しています。

ところが、多くの弁護士が、損保顧問医の意見書に泣かされています。
主治医に診断書や意見書の作成をお願いするにしても、ドラフトすら書けないからです。
劣悪な顧問医の意見書であっても、反論できなければ、敗訴となります。
高次脳機能障害では、被害者のその後の人生が、判決によって左右されるのです。
弁護士選びは、慎重でありたいものです。

もう1つ、和解の調整金です。
判決では、訴額の10%に相当する弁護士費用と、事故日起算で年利5%の遅延損害金が認められていますが、和解では、原告代理人の弁護士が強く請求しない限り、それらは計上されません。
そして、認められたときの名称を、調整金と呼ぶのです。

このことは、被害者の家族も承知しておかなければなりません。
委任した弁護士が、和解案を示したとき、当初の請求額と比較して納得できるものであれば、
「では、調整金は幾らになるの?」
「弁護士費用+遅延損害金が、調整金の名目で加算されるなら、和解に応じます!」
はっきりと、言わなければならないからです。

 
 
ジョーク理想の彼女?

昨夜の飲み会で、同僚に、理想の女性のタイプを聞いたら、
「スレンダー、女の子っぽい服装が好きで、趣味のカメラが同じ、俺の話で、笑ってくれる子!」
すかさず、同僚の女の子が、「それって、林家パー子じゃん?」
この返しに、大いに盛り上がった。

 

6/3(水)寄り道 シュモール結節 (椎体内ヘルニア)

寄り道 シュモール結節 (椎体内ヘルニア)
 
(1)概要

椎体と椎体の間には、椎間板が存在しています。
椎間板は、中央にゼラチン状の髄核と周囲のコラーゲンを豊富に含む線維輪で構成されています。
そして、この髄核や線維輪の一部が突出した状態を椎間板ヘルニアと呼んでいます。
腰椎、L5と仙椎、S1は、日常生活上、最も大きく重力が作用する部位であり、ヘルニア、ギックリ腰の大多数は、この部位で発症しています。
上図のAは椎間板が後方にせり出し、後方の脊髄を圧迫している一般的な椎間板ヘルニアです。
Bは、髄核が上方に突出しており、シュモール結節=椎体内ヘルニアと呼ばれています。

(2)症状
シュモール結節とは、成長の発達途上で、椎間板になんらかの変性が起こり、椎体内に髄核が脱出した状態のことで、脱出は上下のいずれでも発生しています。
シュモール結節は、椎体内ヘルニアであり、神経根を圧迫することはありません。
ほとんどは無症状ですが、急速に、シュモール結節ができたときには、疼痛を伴うことがあります。
症状は、腰から足先にかけての痺れや疼痛、筋力の低下を主訴します。

(3)画像所見

上記は、23歳、男性のCT画像で、S1の上縁中央部に、シュモール結節が確認できます。

(4)治療
通常は、無症状ですが、疼痛が強いときは、鎮痛消炎剤の内服と安静加療で様子を見ます。

(5)後遺障害のポイント
1)シュモール結節は、他の椎間板ヘルニアと同じく、年齢変性であって、外傷性所見ではありません。
となると、事故時の衝撃の大きさ、症状、通院実績などが、後遺障害等級認定の決め手となります。

2)後遺障害の認定要件は、以下の4つとなります。
①大きな衝撃を受けていること、
②事故直後から、腰部~足先にかけて、痺れや疼痛、筋力低下の神経症状が出現していること、
③6カ月で60回程度の真面目なリハビリ通院を整形外科で続けていること、
④単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの、

3)23歳の男性消防士が、消防車の機械器具点検整備を行うため、消防車最後部に積載してある鉄製のホースカー、重量80kgを同僚職員と2人で消防車から降ろそうとしたととき、両者のタイミングが合わず、荷重が本人の方に片寄り、腰部に激痛を訴えた事例を紹介しておきます。

申請を受けた地方公務員災害補償基金 福岡支部は、
被害者の画像所見は、XPで、L1、2、3にシュモール結節が、MRIで、L4/5に椎間板の変性と軽度の膨隆が認められましたが、これらは、災害発生以前から存した年齢変性と認められるとしています。
そして、被害者が、全く予期していないときに、突然、当該重量が被害者の腰部に負荷されたものであり、被害者の腰部に対して瞬間的に著しく大きな負担がかかったものと認められ、当該動作が、被害者の基礎疾患を急激に著しく増悪させ、腰痛等の症状を生じたものと認められるとして、公務員災害を認めています。ただし、公務との相当因果関係が認められるのは、急激に著しく増悪した部分としての急性症状に限定されるものであるとしています。

 
 
ジョーク織田信長の末裔?

織田信成さん、できちゃった婚?
着氷には失敗したが、着床には成功した!
本能寺で負けた、ご先祖と、本能に負けた、子孫!

どうでも、いいけど?

 

6/2(火)判例48 症状固定が遅すぎる?

判例48 症状固定が遅すぎる?
 
(高次脳機能障害5級2号、併合3級 2013年 名古屋地方裁判所 判決)

(1)概要
41歳、男性会社員の運転する自動車に、センターラインオーバーの加害車両が正面衝突したもので、 被害者は、高次脳機能障害5級2号、両目半盲症9級3号、右肩・右肘関節機能障害で併合9級、右膝関節の可動域制限8級7号、右膝手術痕で12級相当、右上肢手術痕で12級相当により、併合3級が認定されています。

(2)本件の問題点
1)複合多発損傷であり、症状固定までに、4年6カ月の長期間を要したこと、

2)事前認定では、脳挫傷に伴う神経症状として12級13号であり、高次脳は否定されていたこと、

(3)損保の反論
1)当初の事前認定では、自賠責保険調査事務所は12級13号を認定し、高次脳を否定していること、

2)異議申立で5級2号が認定されているが、被害者は症状固定後に復職し、運動障害もなく、自動車の運転もできていることから、高次脳としては9級10号に留まり、労働能力喪失率も60%を超えないと主張しています。

(4)弁護士の立証
⇒弁護士が相談を受けたときは、事故受傷から4年6カ月が経過していました。 しかも、脳挫傷後の神経障害として12級13号の認定であり、高次脳は否定されている状況です。
しかし、被害者および家族と面談、現実に発生している生活上の支障が、明らかに高次脳の症状によるものと確信できたところから、専門医を紹介、被害者は、高次脳について、新たな神経心理学的検査を受け、異常を立証し、自賠責保険に対して異議申立を行いました。
結果、高次脳は5級2号と評価され、訴訟を提起しています。

損保の反論に対しては、弁護士は、自賠責における事前認定から異議申立てに至るまでの経過および背景を詳しく説明し、自賠責保険が高次脳を認めた理由についても、専門医の意見書、家族、職場の上司、同僚の陳述書を提出し、その判断資料が信用できることなどを詳細に立証し、損保の主張する喪失率60%については、到底認められないと反論しています。

(5)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、判決において、
①自動車の運転を行う能力を残していること、
②問題点は指摘されているものの、復職を遂げ、2年間は就業を継続していたこと、
上記の2点から、高次脳については、7級相当であると認定し、その他の後遺障害を考慮し、労働能力喪失率を5級に相当する79%と認定しました。

2)判決による損害総額は、7200万円でしたが、自賠責保険金2220万円、労災保険からの給付額1160万円、そして遅延損害金の2380万円を合計すると、1億2940万円の損害賠償が実現しました。

(6)NPOジコイチのコメント
1)悔やまれるのは、症状固定の時期が、遅すぎたことです。
NPOジコイチであれば、高次脳は、受傷から1年の経過で症状固定に持ち込んでいます。
右肘と右膝についても、複数回の手術を受けてはいますが、遅くとも、2年で症状固定としています。
傷病名ごとに立証を進め、症状固定とすることは可能です。
すべての治療が完了した後に、症状固定とするのは、間違った判断なのです。

ガンで胃の全摘術を受けた人でも、4~6カ月を経過すれば、全員が職場に復帰しています。
ダラダラ治療を長引かせることは、結果として、被害者に不利益をもたらします。

2)もう1つ、本件のポイントは、事前認定では、脳挫傷後の神経症状として12級13号が認定され、高次脳が否定されているにもかかわらず、異議申立により、高次脳で、5級2号を獲得したところです。

本件は多発外傷であり、高次脳以外でも、併合7級が確定していることから、経験則に乏しい弁護士であれば、高次脳は、そっちのけで、併合7級をベースとした損害賠償交渉に突っ走ります。
であれば、損害賠償額は、どう頑張っても5000万円前後となってしまうのです。

高次脳の異議申立では、専門医の意見書なども、裁判所に証拠として提出しなければなりません。
医療ネットワークを構築していない弁護士では、なんの役にも立ちません。

3)異議申立で、高次脳が5級2号と認められても、すでに復職して、自動車の運転もしているとなれば、当然、労働能力喪失率が争点となります。
本件でも、最終的には、高次脳については、7級相当が認定されていますが、その他の後遺障害も考慮された結果、労働能力喪失率は、5級ベースの79%が認定されています。

 
 
ジョークプロポーズ?

以前、私の勤務する沖縄の病院で、「ハブに噛まれた!」 という電話がかかってきた。
きつく縛って、一刻も早く、病院に来るよう告げたところ、
噛んだハブを、きつく縛ってぶら下げた、おっちゃんが病院にやってきた?

 

6/1(月)判例47 介護料は、等級で決まるのか?

判例47 介護料は、等級で決まるのか?
 
高次脳機能障害5級2号 2013年 名古屋地裁 和解
(1)概要

信号機の設置されていない交差点における直進車同士の出合い頭衝突で、26歳男性会社員に高次脳機能障害として5級2号が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者の訴える、うつ症状は、高次脳機能障害を原因とするものではなく、心因性によるものと考えられるので、適切な環境下であれば、就労は可能であること、したがって、逸失利益の労働能力喪失率を79%とするのは過大である。

2)将来の介護料について、被害者のIQは、平均的な知能レベルであって、多少の記憶障害、注意障害が認められるとしても、家族による見守りが必要な場面は、極めて限定されており、福祉的な介護の必要性は認められない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、神経心理学的検査結果に対する主治医の意見書と家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の記憶障害、遂行機能障害、注意障害、自発性の低下、病識の欠如、易怒性などの感情コントロール低下、金銭管理能力低下、自己中心性などの高次脳機能障害に伴う被害者の日常生活および、就労への影響について詳細な立証を行い、決して心因性のうつ症状ではなく、介護が必要な高次脳機能障害であると主張しています。

(4)裁判所の判断
⇒裁判所は、後遺障害が5級の認定であること、症状の程度などを勘案すると、労働能力は相当に制限されていると言わざるを得ず、被害者の請求通りに認めるのを相当とするとしました。

2)将来の介護料についても、被害者の日常生活状況を踏まえれば、介護が必要なことは明らかであり、加えて、母が高齢であることなどから、将来的には職業介護の必要性が生じることも否定できないとして、日額4000円とする被害者の将来介護料の請求は妥当なものであるとして、総額2690万円の将来介護料を認定しました。

3)過失割合は50%の相殺がなされ、6500万円となったが、人身傷害保険から3000万円を先行回収しており、自賠責保険の1574万円と併せると、総額1億1074万円の賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
本件では、将来介護料の必要性が激しく争われたのですが、被害者の記憶障害、遂行機能障害、注意障害、自発性の低下、病識の欠如、感情コントロール低下、金銭管理能力低下、自己中心性等の高次脳機能障害に伴う日常生活および就労への影響について、家族の協力も得ながら事細かく立証した結果、逸失利益、将来介護料ともに、弁護士の請求通りに、損害が認められています。
特に、高次脳機能障害5級の被害者としては、高額な日額4000円の将来介護料が認められたことは特筆すべき点であり、もう1つ、過失が50%であっても、人身傷害保険金、自賠責保険金を加えると、総額1億1000万円の高額賠償金を実現できたことも、今後の参考になる事案です。

 
 
ジョークプロポーズ?

デートで、彼氏と喫茶店に入った。
好きな人と同じ風景を見られるって幸せだなぁ・・・と窓の外を眺めて浸っていたら、
「結婚しないか!」 と言われた。
すっごく嬉しくて、返事が少しでも遅れたらダメと思い、慌てて、「宜しくお願いします。」 と頭を下げた。
顔を上げたら、ポカンとした彼、
少しの間があって、植物の仕切りを挟んだ隣の席から、「・・・はい。」 
女性の声、隣の席のプロポーズに返事しちゃったよ・・・・・ 慌てて店を出たけど、彼に、「俺たちは、もう少しゆっくり考えようね?」 と言われ、さらにガックリした。