7/8(水)判例73 76歳専業主婦で1億1200万円の損害賠償が実現?

判例73 76歳専業主婦で1億1200万円の損害賠償が実現?
(高次脳機能障害2級1号 2016年 さいたま地裁 和解)
 
(1)概要

76歳の専業主婦が、自転車で横断歩道上を走行中、対向右折の加害自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害2級1号が認定されています。

(2)損保の反論
将来介護料については、日額1万円程度を目安に算定すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、自力歩行がままならない身体的機能障害に加えて、認知障害、行動障害、易怒性などの人格変化が認められることを立証し、将来の介護料として、日額1万3000円、総額で4670万円、また、建築設計事務所の意見書と見積書を証拠として提出し、介護住宅への改造費として295万円を請求しています。

2)過失割合では、5:95で、損保との争いはありません。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、歩行障害、人格変化などに注目し、弁護士の立証を認め、将来の介護費用については、日額1万3000円、総額4670万円、介護住宅の改造費についても、弁護士の主張通り、295万円を認定しています。

2)調整金1770万円を含み、和解金は8400万円ですが、自賠責保険金の2810万円を加え、1億1250万円、非常に高額な損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、緻密な立証で将来介護料を獲得したことですが、緻密で丁寧な立証は、いつものことですから、特記すべきものでもありません。

2)本件の被害者では、家族が損保と交渉し、ほぼ自賠責保険範囲内の、2950万円が提示されていたのですが、この示談額に納得できない被害者の家族は、セカンドオピニオンを求めて、本件の弁護士事務所を訪問、受任となったものです。
その結果、提示額の3.5倍以上である1億1250万円の損害賠償を実現することができました。

損保は、支払者側であり、家族との相対交渉では、力のある弁護士が裁判で獲得損害賠償額と比較すると、交渉力のある被害者であっても、50~60%程度しか提示してこないことがほとんどで、お話になりません。

3)ここに登場されているすべての被害者は、高次脳機能障害という重い十字架を背負った、大変お気の毒な被害者ではありますが、優れた弁護士の立証活動により、過失の有無に関係なく、損害賠償面においては、無念を晴らすことができたPrivileged Class、Upper Classの被害者です。

日本では、アメリカほどの訴訟社会ではありませんが、交通事故においては、弁護士特約の普及もあって、訴訟社会に近づきつつあります。
被害者が目指すべきは、間違いのない後遺障害等級の獲得と裁判所における優れた立証です。
それらを実現するために、NPOジコイチは、ネットで情報発信を続けているのです。
皆様も、この流れに、乗り遅れることがあってはなりません。
等級の獲得はチーム110に、裁判での立証は、連携の経験則豊かな弁護士にお任せください。
まずは、フリーダイアル0120-716-110 に相談することから始めてください。

 

 
ジョークねずみ取り?
ああ・・・今日は、なんだかバタバタして 鉢植えのジャスミンに霧吹きで湿り気をやっていたつもりが、 気がつくと持っていたのはファブリーズのボトルだった?

心なしか、香らなくなったような気がする?

 

7/7(火)判例72 幼児の不憫さ、両親や祖母の無念をどう晴らすか?

判例72 幼児の不憫さ、両親や祖母の無念をどう晴らすか?
(高次脳機能障害・脊髄損傷1級1号 2016年 千葉地裁 和解)
 
(1)概要 受傷時1歳 固定時8歳・男性

1歳の幼児(男の子)が、道路を横断歩行中、直進加害自動車が跳ね飛ばしたもので、男の子には、高次脳機能障害と横断型頚髄損傷で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故態様について、被害者の飛び出しは、1mの高さの垣根があることから予測できなかったとして無過失を主張、仮に、加害者に過失があるとしても、被害者は、道路を渡り、祖母の元へ駆け寄ったのであり、祖母を含めた家族の監督責任違反が、大きいとして相当な過失相殺がなされるべきである。

2)将来の介護費について、実際に、公的給付を利用しているのであり、その部分は将来分についても損害賠償額から控除すべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、事故現場を検証し、刑事記録を分析した上で、
①損保が主張する、視界を遮る垣根などは、存在していないこと、
②そもそも、当時、1歳の男の子が過失を理解し、それを問うことができるのか?
③祖母の監督責任については、祖母は当時、男の子の面倒を見ていたのではないこと、
④祖母は、親族ではあっても、同居して生計を同一にしていないこと、
以上により、損保の無過失の主張は、理論的に破綻していることを、細かく立証しています。

2)⇒弁護士は、脳神経外科と整形外科主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の男の子は、高次脳機能障害だけではなく、重度の頚髄損傷に伴う四肢体間麻痺を併発しており、これによって被害者のために必要となる介護体制がどのようなものになるかを緻密に立証し、症状固定までの付添看護料を2000万円、職業介護人併用による将来の介護料として、1億2400万円、介護雑費を含む関係費用として1000万円、建築設計事務所の改造住宅の意見書を証拠として提出し、住宅の改造費1050万円を請求しています。

⇒弁護士は、損保の公的給付分を控除すべきとの主張に対しては、
①公的給付は、被害者の福祉の充実を図る目的で支出されており、損益相殺の対象にならないこと、
②国の財政事情もあり、将来の長きにわたって、現在と同一の公的給付がなされる保証がないこと、
③それらの事情から、これまでの多くの裁判例でも、公的給付の控除が、否定されていること、
以上の事実から、加害者は、全額賠償義務を負わなければならないと強く指摘しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、損保の免責主張を排斥し、被害者の過失を0%と認めました。

2)⇒裁判所は、弁護士の請求の通り、症状固定までの付添看護料としては、日額7500円で、2000万円を、将来の介護料については日額2万7000円、総額1億2400万円を、住宅改造費として1050万円を認定しました。

3)症状固定までの付添看護料2000万円、将来の看護料1億2400万円、住宅の改造費1050万円、 介護関係費用1000万円、慰謝料3300万円、近親者慰謝料700万円、事故受傷から7年を経過しての症状固定であり、調整金は、1億4950万円、これを含む和解金は3億7000万円ですが、自賠責保険金4000万円を加え、4億1000万円の高額損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、弁護士として、いたいけない1歳の幼児の不憫さ、両親や祖母の無念について、どのように緻密に立証して晴らすか! ここにあります。

その意気込みは、過失割合の立証においても、際立っています。
視界を遮っていた垣根が、実際は、存在していなかった?
このことは、裁判所で虚偽の説明をしたことになり、損保側の大失態です。
なぜなら、損保側弁護士が、事故現場に足を運ぶことはなく、すべての案件で、損保から提供された刑事記録を参考に、保険調査員のレポートを鵜呑みにして推測しているに過ぎないからです。

本件では、1歳の幼児ですから、家族には、監督責任が問われますが、同居しておらず、たまたま訪問した祖母に、どのような監督責任を求めるのか? この点も、弁護士は、厳しく追及しています。

2)被害者である1歳の幼児は、高次脳機能障害と頚髄損傷で、ほとんど寝たきり状態です。
傷病名と認定等級が1級1号ですから、これだけでも、重症度が判断できます。

しかし、弁護士は脳神経外科と整形外科の主治医に意見書を求め、カルテ、看護記録、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害所見、神経系統の障害に関する医学的所見、脊髄症状判定などを総動員し、さらに、家族の陳述書を証拠として提出し、具体的な被害者の後遺障害の内容と程度、そのために必要となる介護と、実際に、家族が行っている介護の内容を詳細かつ、適切に、立証しているのです。
文章で説明すると簡単に見えますが、やはり、経験則を積み上げた弁護士のノウハウが詰まっており、弁護士なら、誰にでもできることではありません。

 

 
ジョークねずみ取り?
新米警官が、スピード違反の車を捕まえた。
「50kmオーバーですな、免許証を拝見します。」
「そんなの持ってないよ、昔っからな、」
「なんだと、無免許運転・・・これはあんたの車なのかね? 車検証を見せてもらおう。」
「いいや、盗んだ、車検証なら、ダッシュボードの中にあったな、さっき、拳銃をしまったときに見た。」
「なに、拳銃だって、あんた、拳銃を持っているのか?」
「ああ、車の持ち主の女を殺すのに使った!」
「な・・・なんだとぉ!」
「死体は、トランクに入れといたよ。」
若い警官は真っ青になって、無線で応援を呼び寄せた。

30分後、駆けつけたベテランの警官に、男は尋問されていた。
「まず、無免許運転だそうだが?」
「免許証は、ここにちゃんとあります。」
「・・・車を盗んで、拳銃がダッシュボードにあるそうだが?」
「とんでもない!ダッシュボードの中は車検証しかないし、名義も私の免許証と同じでしょう?」
「うーむ、トランクに死体があると聞いたんだが?」
「そんなバカな、今、トランクを開けますから見てください、ほら、空っぽじゃありませんか、」
「おかしいなぁ、新米のやつは、君が無免許運転で、車の窃盗、拳銃がダッシュボードにあって、死体がトランクにあると言っていたんだが・・・?」
「とんでもない嘘つきですね。もしかして、私がスピード違反だとも言っていませんでしたか?」

 

7/6(月)判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?

判例71 内縁関係が争われる?
(高次脳機能障害1級1号 2016年 横浜地裁 和解)
 

(1)概要
39歳の兼業主婦が、道路を横断歩行中に自動車に跳ね飛ばされたもので、被害者には、高次脳機能障害で1級1号が認定されています。

(2)損保の反論
1)事故現場は道幅の広い幹線道路であり、被害者には、突然に飛び出した事実が認められるから、被害者の過失は40%を下回らないというべきである。

2)被害者は、事故以前に、内縁の夫のために家事労働に従事していたと主張しているが、同人が内縁の夫であるとは認めることができない。
また、仮に、事故当時は内縁の夫であったとしても、その関係は流動的であって、事故がなければ、将来継続的に内縁関係を継続し、家事に従事していたとは認められないので、兼業主婦ではなく、事故前年の収入240万円を基礎に休業損害、逸失利益を算定すべきである。

3)重篤な被害者の介護としては、施設に入所させる方が、充実した介護を期待できるが、あえて、費用の高い在宅介護を選択することは、被害者の自由であるとしても、その在宅介護の費用を加害者が負担しなければならない謂われはない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、本件事故の過失割合について、事故現場を検証し、刑事記録を分析した上で、被害者の飛びだしを認めるも、加害者にも、前方不注視により、被害者の発見が遅れた過失が認められるところから、被害者の過失は30%が相当であると反論しています。

2)⇒弁護士は、町内会長の陳述書を証拠として提出し、婚姻届は提出されていないが、夫婦として生活しており、家計も同一にしていること、町内の誰もが、2人を夫婦と認めていることなどから、被害者は、実質的にも内縁の妻であり、兼業主婦であるので、逸失利益の基礎収入は、女性の平均賃金350万円を基礎収入として積算されるべきであると主張しています。

3)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出し、被害者の現況を立証した上で、被害者の在宅介護を担っているのは、65歳の母親であって、介護の内容は、常時2名以上の者で行う必要があるほどその負担は重く、また、近い将来、主たる介護者である被害者の母が高齢となり、すべてを職業介護人に頼らざるを得なくなると、現在よりも介護費用が高額になることが見込まれるとして、母親が67歳までは、日額1万7000円、67歳以降は、日額2万円の介護料を請求しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、過失割合について、加害者にも著しい前方不注視のあったことを指摘し、被害者の過失は30%が相当であるとしました。

2)⇒裁判所は、被害者が内縁ながらも、就労しながら家事を行っていた兼業主婦であることを認め、逸失利益の積算では、女性の平均賃金350万円を基礎収入とすることを認めています。

3)⇒裁判所は、在宅介護の必要性を認めましたが、将来的には、被害者が介護施設に入所する可能性も否定できず、それらの事情を考慮するのであれば、将来介護料については、日額1万7000円が相当であるとし、総額で1億0970万円を認定しています。

4)調整金4070万円を含み、和解額は1億5000万円ですが、自賠責保険金4000万円、人身傷害保険金6000万円を加えると、総額で2億5000万円の損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、内縁関係です。

※内縁とは?
事実上は同居して婚姻関係にありながら、婚姻届を出していないために法律上の夫婦とは認められない男女の関係をいいます。
 (出典:デジタル大辞泉/小学館) 婚姻届は提出していないが、夫婦として生活している男女のことです。

※内縁関係の証明に必要な条件は?
①2人が、婚姻の意思を持って夫婦共同生活を営んでいること
②婚姻の届出はしておらず、法律上は夫婦として認められない
③社会的に、2人が夫婦と認められていること

例えば、同居期間が3年であっても、他人に彼女と紹介し、互いの財布も別にしていれば、それは恋人であって、内縁の妻とはいえません。
また、同居期間は、僅か1カ月ですが、結婚式を挙げており、他人に妻であると紹介し、家計も同一にしているのであれば、それは内縁の妻といえるのです。

※重婚的内縁とは?
重婚的内縁とは、すでに法律婚をしている相手がいながら、別の人と事実婚状態にある状況です。
現行法では、重婚を禁止しており、
重婚的内縁の妻は、内縁の妻としての権利を有しません。

NPOジコイチでも、重婚的内縁の妻を経験したことがあります。
17年間も同居し、2人の間には、高校生になる娘も生まれているのですが、妻には、戸籍上の夫が存在しており、内縁関係を立証することができません。

女性は、現在、同居している男性の中古車販売業を手伝っており、事故前の年収が220万円でした。高次脳機能障害で7級4号が認定されたのですが、主婦としての逸失利益の請求は断念することになり、逸失利益の基礎収入は、年収220万円で請求しています。

2)本件では、主として、被害者の介護を行うのが、65歳の高齢の母のみの状況であり、そのため、入院していた病院関係者からも、在宅介護が難しいのではないかとの指摘を受け、そのことを察知した損保側からも、より費用が安くて済む、施設介護とすべきであると主張されています。
残念なことに、それらの事情が、裁判所でも考慮され、「将来的には、被害者が介護施設に入所する可能性を否定できない?」 との判決につながりました。

しかし、在宅介護において、家族が常に寄り添うことが、最善の介護であって、施設介護と比較したとき、感染症の防御や意識の回復を含め、その後の被害者の回復経過が全く別物となります。
さらに、在宅介護では、職業介護人を利用することが可能で、その費用を賠償金として請求することができるとともに、介護保険などの公的支援もあり、充実した介護体制を整えることが可能となります。

 

 
ジョーク中高年の副作用?
景気は不安定、生活不安定、おまけに、天気まで不安定、
安定しているのは、奥様の体重だけ、
妻はエステに通い、旦那はゴミ捨てに通う、風呂から上がれば、妻は脱毛、旦那は育毛、

昔、燃えてた夫婦も、今じゃ、不燃物です。
(綾小路 きみまろ)

 

7/3(金)判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?

判例70 現実収入は僅かな減収であり、労働能力喪失率は30%とすべき?
(高次脳機能障害9級10号 併合8級 2015年 福岡地裁 和解)
 

(1)概要

34歳男性会社員が、バイクで走行車線を直進中、追い抜き車線を走行中の先行加害自動車が、被害バイクを見落とした状態で、急激に進路を変更したことにより、被害者が衝突したもので、被害者には、高次脳機能障害9級10号、両目半盲症9級3号、併合8級が認定されています。

(2)損保の反論
事故前後の給与を比較して6%程度の減収に留まっており、労働能力喪失率は30%を超えないと主張しています。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、カルテ、看護記録、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の障害に関する医学的所見、家族および職場の上司の陳述書などを証拠として提出、被害者には、高次脳機能障害による注意障害、記憶力の低下や、易疲労性による集中力の低下が見られ、両眼の半盲によって自動車の運転ができないなどの支障が生じていることを立証しています。

2)⇒弁護士は、勤務先の配慮や同僚の援助により、被害者の収入が、ある程度維持されているが、勤務先は、中小企業であり、将来にわたって、これらの配慮が継続される可能性が低いこと、 また多くの裁判例において、現実に減収が生じていなくても、失われた労働能力に対しては基礎収入をベースに等級基準どおりの喪失率が認められていることを主張しています。

(4)裁判所の判断
⇒裁判所は、弁護士の主張を認め、労働能力喪失率を8級の基準通り、45%と認定しています。

2)調整金890万円を含め、和解額は3600万円ですが、自賠責保険金820万円、人身傷害保険金990万円を加えると5410万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
本判例のピンポイントは、逸失利益における労働能力喪失率です。

自賠法では、後遺障害等級ごとに、労働能力喪失率が決められており、例えば、高次脳で9級10号であれば、喪失率は35%とされています。
本来、逸失利益は、単なる収入の差額を保証するだけでなく、その被害者が喪失した労働能力に対する賠償を行うべきものですが、現実の裁判では、交通事故がなければ、被害者が得られたであろう収入と、事故後に現実に得られる収入との差額を損害とする、差額説を前提としつつ、現実に収入の減少がなくても、交通事故により労働能力が低下したこと自体が損害だとする、喪失説を加味した考え方を採用しているのです。

※最高裁判例 S56-12-22 民集35巻9号 1350ページ 仮に、交通事故の被害者が事故に起因する後遺症のために身体的機能の一部を喪失したこと自体を損害と観念することができるとしても、その後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在または、将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はないというべきである。

後遺症に起因する労働能力低下に基づく財産上の損害があるというためには、例えば、事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであつて、かかる要因がなければ収入の減少を来たしているものと認められる場合とか、労働能力喪失の程度が軽微であっても、本人が現に従事し、または将来従事すべき職業の性質に照らし、特に昇給、昇任、転職等に際して不利益な取扱を受けるおそれがあるものと認められる場合など、後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情の存在を必要とするというべきである。

上記の判例によれば、弁護士は、後遺障害が認められていても、現実の減収がなく、事故前の収入を維持しているとき、後遺障害を理由とする将来にわたる逸失利益を請求するには、被害者に不利益が生じる可能性がある以下①~⑦の、特別の事情があることを具体的に立証しなければなりません。

①日常生活上、どのような支障が生じているか?
②実際の仕事において、どのような支障が生じているか?
③被害者が、仕事上、早出・残業、仕事の持ち帰りなど、どのような努力をしているか?
④勤務先が、被害者に対して、どのような配慮をしているのか?
⑤勤務先の規模、事業が将来にわたって存続する可能性は?
⑥被害者が、現在の仕事を将来の長きにわたって、継続することができるのか?
⑦将来の昇進・昇任・昇給などにおいて、具体的にどのような不利益を受けるおそれがあるか?

 

 
ジョーク信心過ぎて、極楽を通り越す?

信心も、度を越すと、害をもたらすといいます。
私は、人間、死ねば土になると、真剣に思っています。
クリスマスはキリスト教、盆と葬式は大体仏教、正月は神道で、そう考えれば、高校は平安で西本願寺、大学は同志社でプロテスタントとバラバラでした。
「信心を通り過ぎて、地獄・極楽関係なし。」 これが私の心境です。

 

7/2(木)判例69 若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?

判例69 若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?
(高次脳機能障害5級2号 2015年 名古屋高裁 判決)
 

(1)概要

小学校4年生の女児が、横断歩道を歩行中、右方から直進中の加害自動車がこれを見落とし、跳ね飛ばしたもので、被害者には、5級2号が認定されています。

(2)損保の反論
1)自賠責保険調査事務所の5級2号の認定に対し、後遺障害診断は時期尚早であり、これから回復していくことを考えれば、等級は、一般就労が可能な9級10号、あるいは7級4号と評価すべきである。

2)横断歩道上の事故ではあるが、被害者に、左右の不注視と飛び出しがあったとして15%の過失相殺を行うべきである。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、主治医の意見書、家族と中学校の担任教諭の陳述書、小・中学校の成績表を証拠として提出し、主治医が高次脳機能障害と診断した具体的な理由を明らかにすると共に、中学生に進級した現在においても、両親や教員から、学習面・生活面のフォローを受けてきたにも関わらず、小学校4年生から学力や精神年齢などの発達が僅かにしか見られない状況であることを立証し、「回復途上にある?」 との損保側の主張を合理的に否定した上で、自賠責保険調査事務所が認定した5級2号が相当な等級であると主張しています。

2)⇒弁護士は、事故現場を検証、刑事記録を分析し、横断歩道上の歩行者は、絶対的な保護を受けるものであって、被害者の存在を見落としている重度の前方不注視がある加害者について、過失相殺は認めるべきではないと主張しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、第一審では和解案の時点から全面的に弁護士の主張を採用し、第一審判決・控訴審判決ともに、被害者の高次脳機能障害を5級2号と認定しました。

⇒裁判所は、第一審・控訴審ともに、被害者の過失は0%であると判示しています。

3)遅延損害金1670万円を含め、判決額は8445万円ですが、自賠責保険金1574万円を加えると1億0019万円の損害賠償が実現しました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、「若年者の高次脳機能障害は、症状固定をいつにすべきか?」 です。

確かに、若年者では、年長者と比べても高次脳機能障害について回復する傾向にあることから症状固定の判断は、2年近くの経過をみて判断することが相当であると考えられています。

ところが、子どもの高次脳機能障害などの専門医である橋本 圭司先生は、発達途上の子どもは、ちょっとした風邪でも、髄膜炎を併発するなど、よく病気をすること、高次脳機能障害を改善させる積極的なリハビリ治療は完成しておらず、経過観察がなされているに過ぎないことから、症状固定は早いほうが望ましいとの意見を述べられています。

※橋本 圭司 医師
前 国立成育医療研究センター医療安全管理室長
現 はしもとクリニック経堂 院長

一般的には、わが子の交通事故では、多くの親は、さらなる回復を強く期待して、症状固定を遅らせ、後遺障害の適正な診断を受ける機会を逸する傾向が認められます。
確かに、わが子の障害を認めてしまうのは、苦渋の決断ではありますが、早い段階から専門医による適切な診断を受け、立証作業に入り、医療上の援助を受けることは、子どもにとっても良い結果を得ることができるのです。
以上から、NPOジコイチは、子どもの高次脳機能障害の症状固定時期については、専門医の診断に委ねるべきと考えています、

2)本件においても、損保側は、被害者が、ソフトボール部に所属していることなどを指摘、相当程度回復しているのであり、高次脳機能障害の程度は5級2号を下回ると主張しています。
これに対して、弁護士は、現在の担任教諭、部活の顧問教諭から、現状を聴き取り、証人出廷をお願いしています。
結果、裁判所においても損保側の主張は排斥されました。

 

 
ジョーク鯉の一跳ね?

まな板に乗った鯉は、一度だけ跳ねるのですが、その後は全く跳ねません。
最後の段階の諦めのよさと、潔さのことを意味しています。

 

7/1(水)判例68 7級4号で将来の介護料が認められる?

判例68 7級4号で将来の介護料が認められる?
(高次脳機能障害7級4号 併合6級 2015年 大津地裁 和解)
 

(1)概要

19歳、女性派遣社員が、原付バイクで直進中、道路前方を走行中の加害自動車が、路外のガソリンスタンドへ入ろうと急に左折したため、これを避けることができず、衝突したもので、高次脳機能障害7級4号、嗅覚の脱失で12級相当、併合6級が認定されています。

(2)損保の反論
1)被害者が事故直後に搬送、入院した病院では、高次脳機能障害の診断がされておらず、被害者に本件事故による脳障害は認められない。

2)被害者は、退院後、一時期アルバイトではあるが就労しており、また結婚・出産を経験して、周囲とコミュニケーションをとり、自ら育児に努めたりしているのであり、やはり、被害者には、高次脳機能障害は存在していない。

(3)弁護士の立証
1)⇒弁護士は、診断書および画像所見、頭部外傷後の意識識障害の所見などを提出し、被害者が、救急搬送され入院治療を受けた病院でも、脳挫傷と診断されており、CT画像でも、所見が認められること、さらに、受傷から4日間については意識障害も確認されており、高次脳機能障害を認定すべき要件を満たしていることを立証しています。
さらに、高次脳機能障害と診断した治療先主治医の意見書、家族の陳述書を証拠として提出、被害者の現在症状を明らかにした上で、当初の治療先が、高次脳機能障害と診断しなかったのは、高次脳機能障害は、医師であっても、医学的知見を有していなければ見落としがちな症状であり、格別に珍しいことではないと主張しています。

2)⇒弁護士は、アルバイト先の店長の陳述書を提出し、被害者は、事故後のアルバイトで無断遅刻や無断欠席を頻発し、易疲労性による集中力の欠如などで、仕事にならないことが多くあったなど、むしろ、アルバイトでの状況からも、高次脳機能障害の影響が出現していたことを立証しています。

さらに、「高次脳があると結婚・出産ができるはずもなく、最低限の意思疎通もできないはずである?」 という損保の主張は、具体的な高次脳、7級4号の認定基準に基づかない偏見に過ぎない。
損保の主張は、被害者の7級4号の認定事実を覆す根拠になっておらず、失当であると厳しく反論しています。

(4)裁判所の判断
1)⇒裁判所は、最初の治療先の見落としを認め、自賠責保険調査事務所が認定の通り、被害者の後遺障害等級が、高次脳機能障害で7級4号であることを認めました。

2)⇒裁判所は、アルバイト先における就労状況からも、高次脳の存在が裏付けられているとし、損保の主張については、偏見であり、根拠が示されていないと排斥し、弁護士が立証した日常生活上の支障を十分に斟酌した結果、高次脳7級4号では異例となる将来看護料について、付添看護料に含める形てはありますが、550万円を認定しています。

3)調整金1890万円を含み、過失10%を控除した和解額は6200万円ですが、自賠責保険金1275万円を加え、7480万円の高額な損害賠償が実現できました。

(5)NPOジコイチのコメント
1)本判例のピンポイントは、初診の治療先が、高次脳機能障害を見落とす? 
この点に、あります。 特に、珍しいことではなく、日常的に発生しています。
これに対抗するには、その地域の、高次脳機能障害の専門医情報を承知していなければなりません。

このことに反論できず、頭部外傷後の神経症状として12級13号で判決が下された被害者も、過去に経験しています。このときは、第二審から弁護士が交代し、高裁で、高次脳機能障害が5級2号であることを立証し、逆転V字判決を獲得しました。

2)本件では、7級4号に対して将来の介護料が認められています。
これは、弁護士が、被害者の結婚・出産においては、両家の両親および夫の献身的なサポートがあって、初めて実現したものであるなど、日常生活上の支障について、丁寧に立証したことが、裁判所で評価されたものであり、一方で、損保側の、耳を塞ぎたくなるほどの暴論、「高次脳があると結婚・出産ができるはずもなく、最低限の意思疎通もできないはずである?」 に対する戒めであると考えられます。

 

 
ジョーク物忘れ?

みんな、きれいだった。
10代 鏡の前で大はしゃぎ、
20代 鏡とにらめっこ、
30代 鏡の前で、貴方は美しく微笑んだ、
40代 遠目の姿に、納得した?
50代 鏡を拭いた?
60代 鏡の前を通り過ぎた?
70代 鏡を捨てた?

(綾小路 きみまろ)