交通事故110番
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関節の可動域と測定方法?

関節の機能障害、これを私はハードル競争で説明しています。
関節の機能障害は、全く動かない、これに近い状態で 8 級が認定されます。
2 分の 1 以下の制限では、 10 級の認定です。
そして最後は 4 分の 3 以下で 12 級が認定されます。
ハードルは 8 、 10 、 12 級の 3 つが用意されています。
そしてズバリ説明するなら、 37 才の男性では、 5000 、 3000 、 1200 万円の切り取りとなり、
8 級が 10 級となればセルシオ=レクサス LS2 台分がパー、オジャンとなるのです。
間違えた? 知らなかった? どうしよう? 後悔は一切、役に立たないのです。

 

フローレンス・ジョイナーは、このハードルを一足飛びでクリアーして金メダルを獲得しましたが、
被害者はハードルを跳び越えることに慎重でなければなりません。
重要なポイントは、症状固定=後遺障害診断を受ける時期の選択と可動域の計測です。
ここでは、可動域の計測について、徹底研究を行います。

交通事故 110 番には、毎日、全国から沢山の後遺障害診断書が送付されてきます。
その 1 つ 1 つをチェックしていますが、思わず吹き出してしまうもの? これが沢山あるのです。
関節の可動域は、原則として健側の可動域と比較して認定がなされています。
健側も患側も正確な計測が絶対に必要なのですが、
例えば、肩関節! 屈曲・外転とも 180 °が正常値ですが、健側が 160 °とされているもの?
「どこ、見とんねん?」
膝関節の屈曲は 130 °が正常値ですが、 160 °と記載されているもの?
「この被害者には、ふくらはぎがないのか?」
肩関節の内転は、両下肢=太ももでストップ、常に 0 °ところが 25 °と記載されている?
「この被害者は幽霊、お化けのお岩さんか?」
足関節の底屈は 45 °が正常値ですが、 80 °と記載されているもの?
「上海雑伎団で活躍していたのか?」
患側の自動値が 70 °医師が手を添えた他動値が 110 °?
「無理矢理、曲げてんのと違う?」

私は笑って済ますことが出来ますが、当の被害者にとっては深刻です。
実際問題として、計測方法は大雑把で、計測器を使用しない目検討? そもそも正常値をご存知ない?
痛みを無視、無理矢理押し込む? 起点の捉え方が間違っている? たまげた主治医が多いのです。
公表されている計測方法と計測のルールを知っておいて損はありません。
ハッキリ申し上げれば、知らないと、セルシオ=レクサス LS2 台分、大損するのです。

1 計測の 3 原則

( 1 )計測は他動値で判断される?

後遺障害診断書には、自動値と他動値の記載欄があります。
自動値とは、被害者が自発的に曲げた角度、他動値とは、医師が手を添えて曲げた角度です。
後遺障害等級は、他動値の比較で認定されています。
そして、自動値+ 5 °=他動値、疼痛を無視して、無理矢理、押し込むのを他動値とは言いません。

( 2 )角度は 5 °単位で切り上げ、後遺障害は、患側、健側の比較で決定される?

肘関節の可動域で屈曲、他動で 107 °こんな記載の後遺障害診断書が手元にありますが、これは計測方法を間違っています。 
この場合は 110 °と記載します。
角度計を見れば、直ちに理解できますが、 1 °は 1mm 、人間の手で 1mm の精度は期待できません。
肘関節の正常値は、屈曲 145 °日本整形外科学会の公表値です。
12 級 6 号は、 4 分の 3 以下ですから、理論値は 108.75 °以下でなければなりません。
しかし、これも切り上げがなされ 110 °と見なされます。  102 °であれば、 100 °と見なします。
全てが 5 °もしくは 0 °、 1 ° 2 °でキリキリ舞い? 笑われますから、ご注意下さい!

上記の角度計は、整形外科の医師にお願いして買い求めたもので、何と、ステンレス製 5 万円です。
一番下は、手指と足趾の可動域の測定に使用します。
交通事故 110 番には、関節のモデル、シャーカーステン= XP の投影機、角度計が備えられています。
「これで、白衣を着たら、お前、医者やんけ? もう、堪らんなぁ!」 
懇意にしている整形外科医から言われています。
その辺のヤブ整形外科医よりも、詳しいことも事実です。

さて、上肢・下肢の関節の可動域は、左右の他動値の比較で後遺障害等級が決定されています。
健側が既往症でよく曲がらない? 黙っていれば等級は薄まります。
例えば、右肩鎖関節の脱臼で、屈曲・外転とも 90 °これは 2 分の 1 以下の制限で 10 級 10 号に該当します。 
ところが当時、左肩は 50 肩=肩関節周囲炎で屈曲・外転が 150 °であった場合、
左右の比較では、 4 分の 3 以下となり、 12 級 6 号の認定です。
このケースでは、
「左肩関節には肩関節周囲炎が認められ、現在治療中、等級認定では日本整形外科学会の公表値を参考にされたい!」 
後遺障害診断書には、こんな記載が必要です。

今日の午後に後遺障害診断であれば、被害者としても診断前にストレッチ運動を行い、健側の可動域を確保しておく! 
このての努力を惜しんではなりません。

( 3 )関節の運動には、主要運動、参考運動がある?

部位

主要運動

参考運動

比較

脊柱=頚部

前屈・後屈、回旋

側屈

学会公表の正常値

脊柱=胸腰部

前屈・後屈

回旋、側屈

学会公表の正常値

肩関節

屈曲、外転・内転

伸展、外旋・内旋

左右の比較

肘関節

屈曲・伸展

ありません、

左右の比較

手関節

屈曲・伸展

橈屈、尺屈

左右の比較

前腕

回内・回外

ありません、

左右の比較

股関節

膝屈曲・伸展、外転・内転

外旋・内旋

左右の比較

膝関節

屈曲・伸展

ありません、

左右の比較

足関節

背屈・底屈

ありません、

左右の比較

母指

屈曲・伸展、橈外転・掌外転

ありません、

左右の比較

手指・足趾

屈曲・伸展

ありません

左右の比較

主要運動とは、日常の動作にとって最も重要なものです。
例えば、肩関節の主たる役目は、高いところの物を取る、高いところに物を置くにあります。
伸展とは、真後ろに腕を伸ばす運動で、伸展に制限があっても、日常生活で大きな支障はありません。

参考運動が評価の対象とされる場合があります。
この詳細は、各論で説明しています。

各論で説明している正常値とは、日本整形外科学会が公表しているものです。
等級別の説明では、主要運動と参考運動の全てを 10 %以下、 2 分の 1 以下、 4 分の 3 以下と記載していますが、
必ず、その角度でなければならない? そうではありません。
全てが 10 %以下でなければならないもの、合計値で判断するもの、
いずれかが 2 分の 1 もしくは 4 分の 3 以下で認定されるものが混在しています。
この点、ご注意下さい。

胸腰椎の可動域は特に間違いが多発しているのですが、これは腰椎の 5 番目、 L5 を起点にして計測を行います。 
股関節部を曲げての計測では、前屈 70 °? サーカスも真っ青となります。
L5 を起点に股関節部を曲げないで立位で計測する! シッカリと憶えて下さい。

2 各論

( 1 )脊柱、頚部および胸腰部

部位

主要運動

参考運動

脊柱・頚部

前屈

後屈

回旋

合計

側屈

正常値

60 °

50 °

左右 70 °

250 °

左右 50 °

6 級 5 号

10 °

5 °

10 °

25 °

 

8 級 2 号

30 °

25 °

35 °

90 °

 

11 級 7 号

角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定される、

等級

認定基準

6 級 5 号

頚部と胸腰部の両方に、脱臼・圧迫骨折、固定術がなされていること、
強直=全く動かない状態、可動域が 10 %以下もこれに含まれます。
頚部の前屈は 60 ° 10 %は 6 °ですが 5 度単位で切り上げますから 10 °になります。
全ての主要運動で完全強直もしくは 10 %以下であることが認定の要件です。

8 級 2 号

頚部または腰部のいずれかに脱臼・圧迫骨折、固定術がなされていること、
2 分の 1 以下の可動域制限であること、
頚部では、前屈・後屈と回旋のいずれか一方が 2 分の 1 以下に制限されていること、

11 級 7 号

角度に関係なく、脊柱の奇形・変形で認定されています。

 

部位

主要運動

参考運動

脊柱・胸腰部

前屈

後屈

合計

回旋

側屈

正常値

45 °

30 °

70 °

40 °

50 °

6 級 5 号

5 °

5 °

10 °

   

8 級 2 号

25 °

15 °

40 °

20 °

25 °

11 級 7 号

角度に関係なく脊柱の奇形・変形で認定される、

主要運動と参考運動の関係について、
では、参考運動は何の評価の対象にもならないのか? そうではありません。
例えば頚椎の主要運動の合計値が 100 °の場合、 2 分の 1 + 10 °ですから、 8 級 2 号に該当しません。 
しかし、この場合、参考運動の左右の側屈がいずれも 25 °以下で 2 分の 1 以下の制限を受けていれば、
8 級 2 号が認定されます。

胸腰部については、主要運動の合計が 45 °の場合、 2 分の 1 + 5 °ですから、 8 級 2 号に該当しません。
しかし、この場合、参考運動の左右の回旋が 20 °以下もしくは側屈が 25 °以下で、
いずれかが 2 分の 1 以下の制限を受けていれば、 8 級 2 号が認定されます。 
頚椎は 10 °胸腰椎は 5 °と記憶して下さい。
参考運動が複数ある関節では、 1 つの参考運動が制限されていれば、それで認定されます。

( 2 )上肢、肩・肘・手関節

@肩関節

部位

主要運動

参考運動

肩関節

屈曲

外転

内転

合計

伸展

外旋

内旋

正常値

180 °

180 °

0 °

360 °

50 °

60 °

80 °

8 級 6 号

20 °

20 °

0 °

40 °

     

10 級 10 号

90 °

90 °

0 °

180 °

25 °

30 °

40 °

12 級 6 号

135 °

135 °

0 °

270 °

40 °

45 °

60 °

等級

認定基準

8 級 6 号

屈曲・外転の主要運動で強直もしくは 10 %以下であること、

10 級 10 号

屈曲・外転の主要運動のいずれかの一方が 2 分の 1 以下に制限されていること、

12 級 6 号

屈曲・外転の主要運動のいずれかの一方が 4 分の 3 以下に制限されていること、

主要運動と参考運動の関係について、
主要運動のいずれかが 2 分の 1 + 10 ° 4 分の 3 + 5 °の場合、
参考運動の伸展・外旋・内旋のいずれかが 2 分の 1 もしくは 4 分の 3 以下に制限されていれば、
10 級 10 号、 12 級 6 号が認定されます。

A肘関節

部位

主要運動

肘関節

屈曲

伸展

合計

正常値

145 °

5 °

150 °

8 級 6 号

15 °

5 °

20 °

10 級 10 号

75 °

5 °

80 °

12 級 6 号

110 °

5 °

115 °

肘関節に参考運動は存在しません。

B手関節

部位

主要運動

参考運動

手関節

背屈

掌屈

合計

橈屈

尺屈

正常値

70 °

90 °

160 °

25 °

55 °

8 級 6 号

10 °

10 °

20 °

 

 

10 級 10 号

35 °

45 °

80 °

15 °

30 °

12 級 6 号

55 °

70 °

125 °

20 °

45 °

主要運動と参考運動の関係について、
主要運動のいずれかが 2 分の 1 + 10 ° 4 分の 3 + 5 °の場合、
参考運動の橈屈・尺屈のいずれかが 2 分の 1 もしくは 4 分の 3 以下に制限されていれば、
10 級 10 号、 12 級 6 号が認定されます。

C前腕

部位

主要運動

前腕

回内

回外

合計

正常値

90 °

90 °

180 °

10 級 10 号

25 °

25 °

50 °

12 級 6 号

45 °

45 °

90 °

前腕の回内・回外運動に参考運動はありません。

D母指

部位

MP 関節主要運動

IP 関節主要運動

他の主要運動

母指

屈曲

伸展

合計

屈曲

伸展

合計

橈外転

掌外転

合計

正常値

60 °

10 °

70 °

80 °

10 °

90 °

60 °

90 °

150 °

用廃

30 °

5 °

35 °

40 °

5 °

45 °

30 °

45 °

75 °

Eその他の指

部位

MP 関節主要運動

PIP 関節主要運動

手指

屈曲

伸展

合計

屈曲

伸展

合計

正常値

90 °

45 °

135 °

100 °

0 °

100 °

用廃

45 °

25 °

65 °

50 °

0 °

50 °

手指の関節は、母指にあっては、指先に近い方から IP 、 MP 関節、母指以外の手指にあっては、
指先に近い方から DIP 、 PIP 、 MP 関節といいます。

手指の関節に参考運動はありません。

( 3 )下肢、股・膝・足関節

@股関節

部位

主要運動

参考運動

股関節

膝屈曲

伸展

外転

内転

合計

外旋

内旋

正常値

125 °

15 °

45 °

20 °

205 °

45 °

45 °

8 級 7 号

15 °

5 °

5 °

5 °

30 °

 

 

10 級 11 号

65 °

25 °

25 °

5 °

120 °

25 °

25 °

12 級 7 号

95 °

15 °

20 °

10 °

145 °

35 °

35 °

膝屈曲               内転・外転

内旋・外旋

等級

認定基準

8 級 7 号

膝屈曲と伸展、外転、内転の主要運動で強直もしくは 10 %以下に制限されていること、

10 級 11 号

膝屈曲・伸展、外転・内転の主要運動のいずれかの一方が 2 分の 1 以下に制限されていること、

12 級 7 号

膝屈曲・伸展、外転・内転の主要運動のいずれかの一方が 4 分の 3 以下に制限されていること

主要運動と参考運動の関係について、
主要運動のいずれかが 2 分の 1 + 10 ° 4 分の 3 + 5 °の場合、
参考運動の伸展・外旋・内旋のいずれかが 2 分の 1 もしくは 4 分の 3 以下に制限されていれば、
10 級 11 号、 12 級 7 号が認定されます。

A膝関節

部位

主要運動

膝関節

屈曲

伸展

合計

正常値

130 °

0 °

130 °

8 級 7 号

15 °

5 °

20 °

10 級 11 号

65 °

5 °

70 °

12 級 7 号

100 °

5 °

105 °

膝関節に参考運動はありません。

B足関節

部位

主要運動

足関節

背屈

底屈

合計

正常値

20 °

45 °

65 °

8 級 7 号

5 °

5 °

10 °

10 級 11 号

10 °

25 °

35 °

12 級 7 号

15 °

35 °

50 °

足関節に参考運動はありません。

C母趾の関節

部位

MP 関節主要運動

IP 関節主要運動

母趾

屈曲

伸展

合計

屈曲

伸展

合計

正常値

35 °

60 °

95 °

60 °

0 °

60 °

用廃

20 °

30 °

50 °

30 °

0 °

30 °

Dその他の足趾の関節

部位

MP 関節主要運動

PIP 関節主要運動

足趾

屈曲

伸展

合計

屈曲

伸展

合計

正常値

35 °

40 °

75 °

35 °

0 °

35 °

用廃

20 °

20 °

40 °

20 °

0 °

20 °

足趾の関節は、母趾にあっては、趾先に近い方から IP 、 MP 関節、母趾以外の足指にあっては、
趾先に近い方から DIP 、 PIP 、 MP 関節といいます。

足趾に参考運動はありません。


3 最後に!

ここでは脱臼、骨折、固定術による関節の機能障害=可動域制限を説明しています。
可動域制限は、日にち薬で改善が得られます。

経験則では、受傷から 6 ヶ月を起点とすれば、 7 、 8 ヶ月の経過で一気に改善します。
ところが、後遺障害等級は、症状固定日=後遺障害診断を受けた日の状態で認定されています。
でなければ、いつまで経っても解決しないからです。
であれば、後遺障害の認定を受けるには、ダラダラ通院しないこと! ここがポイントになります。

私が保険調査員時代の、スーパー打ち切りトークをご紹介しておきます。
受傷後 6 ヶ月を経過した被害者を訪問、治療打ち切りと後遺障害診断の打診をします。
「現に、改善しているのに、何で打ち切らなあかんの?」
こんな反論に対しては、「貴方の休業損害は 1 ヶ月で 30 万円、これを後 3 ヶ月払え! 
これなら保険屋さんにそう伝えて認めさせます、簡単なことです。 
しかし現状なら右足関節の可動域制限で 12 級 7 号が認定される可能性があります。 
自賠責保険だけでも 224 万円、任意を含めれば 500 万円程度の支払いが出来ます。 
しかし、後 3 ヶ月もリハビリに集中すれば、貴方の右足関節は 4 分の 3 + 5 °程度の改善が得られるでしょう? 
となると、症状としてはあまり変わっていないのに、後遺障害等級は非該当!
500 万円は雨散霧消、消えてなくなります。 90 万円の休損を取るか、
500 万円の後遺障害を獲得するか、ここは二者択一です!」
「そんなこと、やってみなければ、分からんやないの?」 こんな反論をした被害者は一人もいません。
「何、兄ちゃん、そこんとこ、もう一遍教えて!」 皆さん乗ってくるのです。

従って、 6 ヶ月を経過すれば、被害者は後遺障害を真剣に検証しなければなりません。
後遺症を残したが、等級は非該当? 実利を求める被害者として最悪の選択です。

関節の機能障害には、神経麻痺や動揺関節があります。
上腕神経叢麻痺=神経根引き抜き損傷、正中・尺骨・橈骨神経麻痺、腓骨神経麻痺、仙骨神経麻痺、
前十字・後十字靱帯断裂等が代表的な傷病名です。
神経麻痺では、自動運動は不能であっても、他動運動は正常値を示します。
動揺関節でも、肘や膝関節の可動域に問題を残しません。
これらは立証が別の扱いであることをご理解下さい。




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